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寒冷化から温暖化へ?様々な科学者たちの気候変動論争を見る〈サステナ学習帳#45〉

昨日、『人類と気候の10万年史』について取り上げたが、同書には他にも興味深い気候変動に関する議論が数多く紹介されている。特に、過去の気候変動を巡る学術的論争や、現代の気候変動に対する異なる視点は、私たちが今後どのように気候変動を理解し、対応していくべきかを考える上で重要な手がかりとなる。本日は、1970年代の「寒冷化論争」と、ラジマン教授の説について紹介し、現代の気候変動理解に向けた様々な視点を確認したい。

【1970年代の寒冷化論争】

1970年代には、地球が次の氷期に向かっているという「地球寒冷化」の説が注目されていた。1940年以降の世界的な気温低下を根拠に、寒冷化が進むとの見解が広がり、科学者たちの多くもこの説を支持していた。さらに、当時のメディアも「次の氷期が来る」と大きく報じ、社会全体で寒冷化が進行するというシナリオが信じられていた。しかし1980年代に入ると、一転して「地球温暖化」が新たな関心事となり、寒冷化の議論は次第に影を潜めることになった。このように、寒冷化と温暖化という正反対の学説が短期間で登場したにもかかわらず、いずれもその時代の人々に説得力を持って受け入れられていたことは、興味深い事実である。

【ラジマン教授の温暖化ガス説】

一方、ラジマン教授の研究は、温暖化ガスが現代に限らず、数千年前からすでに増加していたことを示している。特に、8000年前からヨーロッパで進行した大規模な森林伐採や、アジアでの農耕の拡大が、メタンや二酸化炭素(CO2)の放出に影響を与えたとしている。この研究によれば、地球は本来、自然の気候サイクルに基づいて次の氷期に向かっていたはずだが、人類の活動がそのサイクルを変え、寒冷化の進行を遅らせた可能性が高いという。これは、産業革命以降の温室効果ガスの排出だけでなく、古代からの人類の活動も地球の気候に影響を与えてきたことを示唆するものであり、現代の気候変動論を考える上で新たな視点を提供している。

【まとめ】

現代の気候変動に関しては、さまざまな意見や学説が存在する。科学的な見解が日々更新される中で、私たちはそれを盲信するのではなく、自分の考えを持ち、どのような対策が最も適切かを判断する力を養うことが必要だ。

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