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衣料ロスをゼロにするBRINGの取り組みとは?〈サステナ学習帳#95〉

毎年、世界で約9200万トンの衣類が廃棄されている。日本においても、2020年には約51万トンの衣類が廃棄されており、この問題への対策が急務である。本日は、古い服を新たな資源に生まれ変わらせる衣料回収プロジェクト「BRING」について確認したい。

【BRINGとは何か】

BRINGは、株式会社JEPLANが推進する衣料回収プロジェクト。このプロジェクトは、2010年に開始され、使い古したポリエステル衣料をケミカルリサイクル技術で分解し、新たな素材として再利用する点に特徴がある。リサイクルされた衣類は衣料品や他のプラスチック製品として再生される。BRINGは、廃棄物を出さない循環型社会を目指す先駆的な取り組みである。

【具体的な取り組みと成果】

BRINGは全国各地に回収ボックスを設置し、不要になった衣類を回収している。回収拠点は3,000か所超、約200のブランドが参画している。例えば、アディダスや無印良品などの大手ブランドがBRINGと協力し、リサイクル活動を推進している。回収された衣類は分別・加工され、新たなポリエステル素材として蘇り、リサイクル素材を使用した新しい衣料やプラスチック製品が製造されている。このような取り組みは、資源循環の推進に大きく寄与している。

BRINGの回収実績は、これまでに約3,000トンの衣類を回収し、これはTシャツ約1,500万枚に相当する。この具体的な成果は、BRINGの取り組みが実際に効果を上げていることを示している。

【衣料リサイクルの可能性と課題】

BRINGの取り組みは、衣料廃棄に伴うCO₂排出削減や資源の有効活用につながっている。一方で、リサイクルにかかるコストの削減や、消費者の回収参加率を高めるための啓発活動がまだまだ必要である。また、ポリエステル以外の素材のリサイクル技術開発も、循環型経済を実現するための鍵となる。

【まとめ】

BRINGの取り組みは、衣料廃棄問題の解決に大きな可能性を秘めている。消費者が気軽に参加できる回収システムと大手ブランドの協力体制が、その成功を支えている。このプロジェクトが広がることで、衣類が「捨てるもの」ではなく「資源」として認識される社会が現実となる。

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