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廃棄物ゼロ社会の実現は可能か?テラサイクルの挑戦〈サステナ学習帳#52〉

廃棄物ゼロ社会の実現は、多くの国や企業にとって最重要課題となっている。そんな中、リサイクルが難しい製品の回収を行い、再利用する取り組みで注目されているのが「テラサイクル」だ。今回は、テラサイクルの活動内容やその意義、そして廃棄物ゼロ社会の実現可能性について確認したい。

【テラサイクルの創設と理念】

テラサイクルは2001年、ハンガリー生まれのトム・ザッキーによってアメリカで設立された。当時プリンストン大学に通っていたザッキーは、「廃棄物ゼロ」の理念に基づいて、リサイクルが困難な廃棄物を再利用する活動を開始した。その目的は「すべてのものには価値があり、廃棄されるべきではない」というもので、テラサイクルはこの理念のもとで活動を広げている。現在では、20か国以上で事業を展開し、リサイクル可能な製品を増やすとともに、持続可能な社会を目指している。

【テラサイクルの活動内容】

テラサイクルは、通常リサイクルが難しいとされる製品を回収し、それを新たな資源として再利用する取り組みを行っている。日本では、おくすりシート、化粧品、ペットフードの包装材、歯ブラシ、食品パッケージなども回収の対象だ。また、企業と連携して、消費者が回収ステーションに廃棄物を持ち込むシステムを提供し、消費者参加型のリサイクルを推進している。

【ループシステムとは?】

テラサイクルのもう一つの注目すべき取り組みが「ループ(Loop)」という再利用プラットフォームだ。ループでは、製品の容器を回収して洗浄し、再度使用することで廃棄物を削減する。このシステムは、かつての牛乳瓶のように、使い終わった後も容器が再利用されるモデルに基づいている。ループ対応の商品には、ハーゲンダッツのアイスクリームやP&Gの洗剤などがあり、これらの製品は消費者が使用後に返却し、再利用される。現在、ループはアメリカやヨーロッパで広く展開されているが、日本ではまだ限られた形でしか導入されていない。

【廃棄物ゼロ社会の実現は可能か?】

テラサイクルの取り組みは、廃棄物ゼロ社会の実現に向けた重要な一歩である。しかし、現実的にはいくつかの課題が存在する。まず、消費者の意識改革が必要だ。多くの消費者は依然として使い捨て製品を日常的に使用しており、リサイクルへの意識が高まるには時間がかかる。また、企業側も製品設計の段階で循環経済を考慮する必要があり、従来のサプライチェーンの見直しが求められる。

【まとめ】

テラサイクルの活動は、廃棄物ゼロ社会の実現に向けた革新的なモデルを提示している。リサイクルが難しい製品を回収し、再利用することで、廃棄物を資源に変える彼らの挑戦は、今後も重要な役割を果たすだろう。ループのような再利用システムが日本でも広く普及すれば、持続可能な社会への道が一層明るくなることが期待される。

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