![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/162812832/rectangle_large_type_2_80b63a5ab1c2c5608824c0a125a9dd3d.png?width=1200)
2030年 世界が目指す自然保護目標とは?〈サステナ学習帳#100〉
地球上の生物多様性は、気候変動や土地利用の変化によって危機的な状況にある。国連が主導する生物多様性条約(CBD)では、これに対処するために「30by30」と呼ばれる目標を掲げている。これは、2030年までに地球上の陸域と海域の30%を保護区域として指定し、生態系を回復させる取り組みだ。本日は、この目標の背景と現状、達成のための課題について確認したい。
30by30とは何か
「30by30」とは、2022年12月にモントリオールで採択された生物多様性枠組み(Kunming-Montreal Global Biodiversity Framework)の主要な目標の一つである。この目標は、地球全体の陸と海の30%を保護区域とすることで、生物多様性の損失を食い止め、気候変動の緩和にも寄与することを目指している。保護区域とは、国や地域が指定した自然環境を守るための区域であり、森林伐採や過剰な漁業などの人為的な活動が厳しく制限される。
30by30の現状と進捗
現在、世界の陸域の約17%、海域の約8%が保護区域に指定されている。30by30を達成するためには、各国がさらに保護区域を拡大し、既存の保護区域の管理を強化する必要がある。一方で、地域ごとに自然環境や社会的背景が異なるため、統一的な基準で保護区域を設定することが課題となっている。
例えば、アマゾン熱帯雨林では森林伐採の進行が続き、これが生物多様性の減少につながっている。同様に、サンゴ礁の保護が急務とされる太平洋地域では、海洋酸性化や乱獲が深刻な問題となっている。これらの地域を保護区域に指定することが、30by30達成の鍵となる。
日本の現状と取り組み
日本では、陸域の約20%、海域の約13%が保護区域として指定されている。2030年までにこれらをそれぞれ30%に拡大することを目指し、以下の取り組みを計画している。
保護区域の拡大: 既存の国立公園や海洋保護区の範囲を見直し、新たな地域の指定を検討している。
管理の強化: 保護区域内の生態系を維持・回復するため、適切な管理計画を策定し、実施している。
地域社会との連携: 地域住民や関係団体と協力し、保護活動への参加を促進している。
これらの取り組みを通じて、日本は30by30の目標達成を目指している。
達成に向けた課題
30by30の実現には、多くの課題が存在する。特に次の3つが指摘されている。
1. 資金の確保
保護区域を拡大・管理するには、十分な資金が必要だ。しかし、多くの発展途上国では資金が不足しており、先進国からの支援が求められている。
2. 地域住民の関与
保護区域に指定されることで、地域住民の伝統的な生活や経済活動に影響が出る場合がある。そのため、住民の理解と協力を得るための仕組みが重要となる。
3. 国際協力の強化
自然環境は国境を越えて広がるため、各国の協力が欠かせない。特に海洋保護区域では、沿岸国間での合意形成が必要不可欠だ。
まとめ
30by30は、生物多様性を守るための歴史的な取り組みだが、その実現には国際的な協力と強固な意志が求められる。陸域と海域の30%を守るという目標は、人類が持続可能な未来を築くための重要なステップであり、各国が共に取り組むべき課題である。