プラスチックゴミを輸出する日本でよいか?〈サステナ学習帳#28〉
日本はリサイクル技術が発達しているイメージがあるが、実際には多くのプラスチックゴミを海外に輸出している。特に、汚れたプラスチックや分別が不十分なゴミが国内でリサイクルできず、東南アジア諸国に送っている現実がある。
【日本のゴミ輸出の背景】
日本国内でのリサイクル能力には限界がある。プラスチックはリサイクルされる際に、食品の残りや油が付着した汚れたプラスチックは、洗浄や再処理に多くの手間とコストがかかるため、国内での処理が難しい。特に、自治体の指定に従って出されたゴミが、全て国内で処理されるわけではない。これらはしばしば経済的な理由で、引き取ってもらえる東南アジア諸国に輸出されている。また、アジア諸国から日本への商品輸送の際、船舶が空で帰ることを避けるために、プラスチックゴミを積んで輸送するケースもある。これにより、日本は比較的安価にゴミを輸出する手段として、アジアへのゴミ輸出に依存している。この状況が続いているのは、ゴミ輸出が経済的に合理的であるからだ。
【輸出がもたらす環境負荷】
輸出されたプラスチックゴミは、現地で適切に処理されないことが多い。現地の処理能力が追いつかないため、不法投棄や焼却処分が行われているケースが報告されている。これにより、大気汚染や水質汚染が引き起こされ、現地の住民や生態系に深刻な影響を及ぼしている。特に海に流れ込んだプラスチックゴミは、海洋生物に誤飲され、食物連鎖を通じて人間の健康にも悪影響を及ぼす恐れがある。
さらに、輸送そのものにも環境負荷がかかっている。輸送時に発生する二酸化炭素排出量は無視できない規模であり、これは気候変動にも影響を与える。つまり、国内のリサイクル問題を他国に押し付けるだけでなく、輸送過程で新たな環境問題を引き起こしている。
【他国の状況】
日本だけがプラスチックゴミを輸出しているわけではない。例えば、ドイツやイギリスなどの先進国も同様に、プラスチックゴミを東南アジア諸国に輸出している。しかし、世界的にはプラスチックゴミの輸出に対する規制が強化されており、今後はこれらの輸出も制限される可能性が高い。国際的な取り組みが求められる中、日本は国内での処理体制を強化する必要がある。
【まとめ】
日本はプラスチックゴミを他国に輸出している。これにより、国内の問題を他国に押し付ける形で解決を図っているが、それが現地の環境問題を引き起こし、さらに輸送時の環境負荷も生んでいる。この問題を解決するためには、国内でのリサイクル能力の強化が不可欠であり、私たち一人ひとりがゴミの分別や削減を意識して、より持続可能な社会を目指す必要がある。