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「地球は崩壊しない」—科学者が明かす気候変動の真実〈サステナ学習帳#53〉

気候変動は、メディアや政治家の間で頻繁に取り上げられ、破滅的な未来を予測する声が強まっている。しかし、科学的データと予測には多くの不確実性が含まれていることを強調するのが、スティーブン・クーニンの著書『気候変動の真実』だ。本日は、この本を基に、気候変動に関する主流の認識に異議を唱える視点を確認したい。

【気候変動モデルの不確実性】

クーニンは、気候変動に関するIPCCの報告書で示されている未来の予測、たとえば「2100年までに世界の気温が1.6℃上昇する」といった内容に対して、その前提には多くの不確実性があることを指摘している。気候モデル自体が非常に複雑であり、さまざまな仮定に基づいて計算されているため、すべてが正確なものではない。これにより、特定の地域での影響や時期に関しても予測の幅が大きく、私たちが抱くイメージほど確実なものではない。

【自然変動の重要性】

気候変動に対する主流の議論は、ほとんどが人為的要因に焦点を当てているが、クーニンは自然変動の影響も大きいことを強調している。たとえば、1991年のピナツボ火山の噴火は、地球の気温を一時的に0.6℃下げたことがある。こうした自然現象が気候に及ぼす影響も無視できず、気候変動を議論する際には人間活動だけに注目するのではなく、自然の変動要素も加味するべきだと彼は主張する。

【CO2削減と途上国の課題】

CO2削減が気候変動における主要な対策として提唱されているが、クーニンはこの取り組みの限界にも言及している。特に、21世紀に入り、途上国が排出するCO2量が急激に増加しているため、先進国がいくら削減を進めても、その影響は限定的である可能性が高いという現実がある。これは、発展途上国におけるエネルギー需要の増加が原因であり、気候変動対策を進める際にはこの現実に目を向ける必要がある。

【気候災害と誤解】

気候変動によって災害が激甚化しているという認識は広く浸透しているが、クーニンはこれも慎重に解釈すべきだと指摘する。IPCCの報告書に基づく極端気象のデータでも、すべてが人為的な要因によるものではなく、自然変動の要素が大きく影響している。これにより、気候変動がすべての災害の原因だと断定することは、科学的に不正確であると彼は警告している。

【まとめ】

スティーブン・クーニンの『気候変動の真実』は、気候変動に関する議論に新たな視点を提供している。CO2削減の重要性は否定しないものの、気候モデルの不確実性や自然変動の影響を見逃してはならないと強調している。私たちが冷静に、科学的根拠に基づいた多角的な視点で気候変動に向き合う必要があることを、この本は改めて教えてくれる。

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