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バーチャルウォーターとは?見えない水の消費を考える〈サステナ学習帳#107〉

バーチャルウォーターとは、製品や食品の生産過程で使用される「見えない水」のことを指す概念だ。私たちが直接使用する水は飲料水や洗濯、調理に使うものが多いが、間接的にはこれをはるかに上回る水を消費している。たとえば、牛肉1kgの生産には約15,000リットルの水が必要とされ、これは家庭の蛇口から得る水とは比較にならない量だ。本日は、私たちの消費行動が地球環境に与える影響を把握するうえで重要な指標となる、バーチャルウォーターについて確認したい。

【具体的なバーチャルウォーターの例】

コーヒー1杯を生産するには約140リットルの水が必要と言われている。この水は主にコーヒー豆の栽培、洗浄、輸送に使われる。また、1枚のTシャツには約2,700リットルの水が必要で、これは綿花の栽培から製造に至る過程で消費される。このように、普段何気なく手にするものの多くが、見えない形で水資源を大量に使用している。

【国際的なバーチャルウォーターの流れ】

バーチャルウォーターは、食料や製品の国際貿易と密接に関係している。たとえば、水資源が豊富な国は大量の農作物や製品を輸出し、水不足に悩む国はそれを輸入することで自国の水消費を抑えている。オランダやアメリカなどの水資源を多く持つ国は、輸出を通じて他国の水消費を支える役割を果たしている一方で、水不足が深刻な中東諸国は食品や日用品を輸入することで間接的に水を「購入」している。この流れは国際的な水資源の効率的な利用を可能にしているが、貿易が特定の地域に水ストレスを生むこともあり、持続可能性の観点から課題となっている。

【日本の水消費と輸入依存】

日本は自給率が低く、多くの食品や製品を海外から輸入しているため、間接的に大量のバーチャルウォーターを消費している。たとえば、日本が輸入する穀物や肉類の生産には、大量の水が使用されている。国内では水資源が比較的豊富とされているが、実際には他国の水資源を消費している構図だ。たとえば、1kgの輸入大豆には約2,000リットルの水が必要とされ、これが積み重なることで、日本は世界の水資源に大きな影響を与えている。

【持続可能な行動を目指して】

バーチャルウォーターを削減するためには、個人の消費行動の見直しが重要だ。地元産の食品を選ぶ、食品廃棄を減らす、持続可能なファッションブランドを支持することなどが具体的なアクションとなる。また、企業の取り組みも重要で、リサイクルや省水型製造技術を採用することで、水資源の無駄を削減できる。たとえば、日本の大手飲料メーカーでは、ペットボトル製造時の水使用量を20%削減する技術を導入している。こうした具体的な事例は、バーチャルウォーター削減の可能性を示している。

【まとめ】

バーチャルウォーターは目に見えないが、私たちの消費行動を通じて地球に確実に影響を及ぼしている。この概念を理解し、日々の選択を見直すことは、持続可能な未来を築くための重要な一歩だ。水資源の利用を効率化する行動は、一人ひとりが地球の環境保護に貢献できる具体的な方法となる。

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