海に流れるプラスチックゴミ問題〈サステナ学習帳#27〉
毎年、世界の海には約800万トンものプラスチックゴミが流れ込んでいる。プラスチックは自然に分解されるまで数百年かかるため、海に蓄積され続け、生態系に深刻な影響を与えている。この問題を解決するためには、私たちの生活や社会全体での取り組みが必要だ。
【プラスチックが海に流れる原因】
プラスチックゴミの多くは陸上から流れ込む。都市や住宅地で適切に処理されなかったゴミが、風や雨で河川を通じて海に到達してしまうのだ。また、近年では、日本国内での適切な処理が進んでいるものの、雨や強風、台風などの自然現象によって発生するゴミ流出は依然として大きな課題だ。都市部の排水溝や河川が一時的にゴミを抱え込むことで、そのまま海へと流れ込むケースも少なくない。これらの陸上からの流出が、海洋プラスチックゴミの8割を占めるとされている。
【海の生き物に与える影響】
海に蓄積されたプラスチックゴミは、海洋生物に大きな被害をもたらしている。ウミガメの半分以上がプラスチックを餌と間違えて飲み込み、海鳥の9割以上がすでに体内にプラスチックを持っているという報告もある。毎年、100万羽の海鳥や10万匹の海棲哺乳類がプラスチックの影響で命を落としている。また、2050年には海に存在するプラスチックの重量が、魚の重量を超えると予測されている。さらに、プラスチックは微細化されマイクロプラスチックとなり、魚や貝などの小型生物に取り込まれ、食物連鎖を通じて私たち人間の体にも影響を及ぼしている。このマイクロプラスチックがどのように人体に影響を与えるかについては、まだ研究段階だが、長期的な健康リスクが懸念されている。
【海のプラスチックゴミ対策】
この問題を解決するためには、システム全体での取り組みが不可欠だ。国や自治体は、プラスチックの生産量を抑えるための法規制やリサイクルシステムの強化を進め、廃棄物管理を徹底する必要がある。プラスチックの代替素材の開発や、包装材の簡素化なども検討されているが、これらの取り組みはまだ道半ばだ。企業もまた、使い捨てプラスチックの削減や、環境に配慮した製品の開発を加速させることが求められている。
【まとめ】
個人レベルでは、使い捨てプラスチックの使用を減らす、ゴミを正しく分別するなど、日々の行動を意識することで、海洋プラスチック問題の解決に貢献できる。家庭での小さな選択が未来の海を守るための一歩となり、私たち一人ひとりが意識を高め、持続可能な社会を目指すことが重要だ。ゴミだらけの海を未来の世代に残したくはない。