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アスリートが運動指導者として活躍する為に必要な学びを提供しているメディアです。
今回は運動指導を生業としていく上で大切なお話をします。
技術とか知識に関するお話ではありませんが、私が仕事をする上で非常に重要だと感じていることを共有したいと思います。

アスリートという特殊な人種


学生アスリートだろうが社会人アスリートだろうがプロだろうが、アスリートだった(あるいは現在もアスリートである)というのは非常に特殊な経験値です。
もしあなたが全国大会出場経験があったり、地方大会であっても優勝した経験があったりすれば、より特殊です。
ですからその経験を活かして運動指導をするというのは、それだけでも差別化(ブランディング)に繋がることなので、大いに胸を張ってよいと思います。
アスリートとして何かひとつの目標に向かって取り組んだその経験や、その中で得た感覚、或いは実際に取り組んだトレーニング等は、教科書に載っていないものですから、運動指導をしていく上で大いに役立つはずです。
ただし、その経験や感覚は非常に特殊なものですから、一般化してはいけないというのがこちらのnoteで常々申し上げてきているところです。
経験を生かすも殺すも、自分次第ということですね。

世界は狭い


例え話をしましょう。
あるスポーツで小学校や中学校時代から優秀な成績を納めていた人がいるとします。
その人は高校も大学もスポーツ推薦で進学し、それぞれの時代でも全国大会に出場するなどします。
大学は体育あるいはスポーツ系の学部に所属をして、引退後に運動指導者になるという人生を歩みます。

よくありそうな話ですよね。
ちなみに自分で「優秀」と言うのは少し気が引けますが、客観的に見れば私自身がそうです。笑
そんな私自身がぶち当たった壁でもあるのですが、こんな人生を歩んでいたら自分の周りにはスポーツをやっている人かスポーツに興味のある人しかいなくなります。
スポーツ観戦が好きな人は多いですが、自分でスポーツをする人はそんなに多くありません。
ましてや運動が苦手だという人の方が圧倒的に多いこの世の中において、アスリート経験があって運動指導者になろうとする人間なんて数えるほどしかいないのです。
でも自分の周りに自分と似たような人ばかりいると、自分はマジョリティであると錯覚してしまいます。
残念ですが、私たちは圧倒的にマイノリティです。

その世界は狭いのです。
その世界の常識は世間では非常識ですし、良かれと思って取り組んだことがあまりにも世間のニーズとかけ離れているということはよくあります。
例えば今の日本を見てもそうでしょう。
政治家の人たちが考えている世界と、私たち庶民が考えている世界ってどこかズレていますよね?
経営者の人が考えている世界と、従業員の人が考えている世界もズレています。
それぞれがそれぞれの世界の基準で物事を考えているのです。
これでは埒(らち)が明かない。
そんなものなのですが、運動指導者を生業とするのであればそのズレは致命傷。
食いっぱぐれるわけにはいきません!

世界は広い

ではどうすればよいのでしょうか?
ここはせっかくなので私個人の体験談をお話しましょう。

お客様と食事に行く

私は学生アスリートをしながら競技スポーツを専攻して学んでいました。
とても世界の狭い人ですね。笑

そして引退後はフィットネスクラブに就職をします。
似て非なるもの、それがスポーツとフィットネスです。
そのギャップに戸惑う私が最初にとった手段は、フィットネスクラブのお客様と食事に行くことでした。
会社的にOKだったのかどうかはよく分かりませんが、とりあえずお客様と仲良くなって食事に行きます。もとい、呑みに行きます。
若くてお金もなく独り暮らしだったので、お客様にご馳走になるというのが有難かったというのもありますが、そこで「こんなサービスしてほしいねんな」とか「あのプログラムはこう思うで」といったリアルな声を聴けるわけです。
そこで気付くのは、ほとんどの人はスポーツで一番になりたいとか、次の試合に向けて仕上げたいなどとは微塵にも思っていないということです。
要は楽しく毎日を過ごす中にフィットネスクラブでの運動やそこでの会話があればOKということです。
このことはフィットネスクラブで働いていればそのうち気付けることだったとは思いますが、やはり仕事中に聴ける話とプライベートでのそれは質が違います。

勤務時間外にお客様と会うなんてとんでもない!と思う人もいるかも知れませんが、私はそれについては気にならなかったのでむしろいい時間だったと思います。

異業種の人と知り合う

運動指導者は運動指導者とつるみます。
これは情報交換とか協力し合うという意味では重要です。
しかしそれでは足りないと私は考えています。
何故なら、一般のお客様を相手にした運動指導の仕事をしたければ、世の中にあるあらゆる仕事の特性であったり、あらゆる職種の人の考え方であったりを知っておくほうがよいからです。
運動指導者は運動指導者の頭を持っていますが、お客様として目の前に現れる方は運動指導者の頭ではないわけです。
私は独立してから、この異業種の人と知り合うことに注力をしています。
単なる人への興味というところもありますが、色々な人から色々な話を伺っておくことで、セッション中の言葉や話題の選択が的確になってきます。

職人の感性に触れる

面白いのは職人的な仕事をしている人の感性に触れることです。
カメラマン、デザイナー、スタイリスト、ダンサー、モデル、医師、飲食関係……枚挙に暇がありませんが、私は沢山の職人さんとコンタクトを取っています。
多くの方が独特な身体に対する感性をお持ちであることに気付きます。
そして全ては身体から生み出されているのだということにも。

そこで思い知らされるのです。
私たちはなんて狭い世界で物事を考えているのだと。
なんて世界は広いのだろうかと。
更には私たちの仕事の可能性は無限大かもしれないと。

アスリート経験があれば、職人の感性は腑に落ちるものが多いはずです。
何故ならアスリートと言うのもある種の職人だから。
その狭い世界で得たものを、広い世界へ還すのです。

関係なさそうな本を読む

身体のことを勉強しなければこの仕事はまともに務まりません。
ですから専門書を読むのは当然ですね。

しかし私がオススメしたいのはそれと同時に、ちょっと仕事には関係なさそうな本を読んでみることです。
これは別に漫画でもいいかなと思いますが、いずれにしても仕事とは関係ないものを選びます。
そうすれば自分の仕事との共通点みたいなものが浮かび上がってくることがあります。
サムネで上げた本はたまたま写真があったので使いましたが、例えば「木を見て森を見ず」という状態はどの業界でも言われていることなのだとか、「言葉の定義を誤ってはいけない」ことが重要だとか、運動指導に繋がる話があるわけです。

そしてこれは職人の話にも繋がるのですが、本を書いている人というのはそれがどんな本かは置いておいて、やはり頭がいい人が多いはずですね。
そんな人たちに思考に触れるという点でも本読みはおすすめです。
繰り返しになりますが漫画でもいいです。
漫画もモノによるでしょうが、長く愛されている作品だったり根強いファンがいる漫画は確実に奥が深いですからね。
下手に教科書を見るよりも感性が高まる可能性は高いのではないかと思います。

まとめ

さてさて、長くなってしまいましたが最後までお読み頂きありがとうございます。
まとめとして申し上げておくと、私たちが歩んできた世界はある意味ではとても狭いということです。
もっと広い視野が持てるように、お客様の真の声に耳を傾けたり、異業種の人の話を聴いたり、職人的な人と仲良くなったり、一見関係なさそうな本を読んでみたりして下さい。
本当に世界が広がると思います。


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