正しいスクワットとは?
アスリートが運動指導者として活躍する為に必要な学びを提供しているメディアです。
今回の記事は、タイトルを見るとテクニカルな内容に思えますが、毎度のこと運動指導者として必要な「考え方」に関するお話です。
ズバリ!スクワットについてです。
スクワットとは?
アスリートの皆様なら、積極的にトレーニングとして導入している人も多いであろう「スクワット」。
"King of Exercise"などとも呼ばれることもある、いわば筋トレの王様で、簡単に言うと、
「立っている状態からしゃがんで、また立つ!」
この一連の動作のことですね。
英語では"SQUAT"という綴りになることから、"SQ"という風に略して表記されることも多いです。
スクワットのバリエーション
スクワットのバリエーションは多岐に渡ります。
その決定要因は、脚のスタンス(例えば足幅を広くするとか狭くするとか)や、何を持つか(ダンベルを持つのかバーベルを持つのか他の物を持つのか)、あるいは何も持たないのか、スピードをどうするのか、主な対象となる筋はどこか、などが挙げられ、非常に細かく分類されることになります。
細かい種目名や定義はこの記事で説明する必要はないと思いますので割愛しますが、それぞれに名前が付いていて、例えば背中(肩)にバーを担ぐ方法を"バックスクワット"と呼びます。
Back Squatなので、BSQと略すことがありますが、だいたい「SQ」が付いたらスクワットのことですから、プログラムを見る時は参考にしてみて下さい。
正しいスクワットとは?
SNSや動画サイトでは「正しいスクワットの方法」なんていう記事や動画がたくさんアップされています。
ですが、全て違うフォームです。苦笑
「膝を前に出すな」
「すねと上半身は平行にしろ」
「太ももが地面と平行までしゃがめ」
「しゃがめるところまでしゃがめ」
…………どれが正しいのでしょうか?
結論から申し上げますと、どれも正しくありません。
いずれの手法も、それが適切な場合もありますし、不適切な場合もあります。
なぜなら、「何を目的とするか」という、トレーニングにおいて最も大切にしなければならない要件が抜けているからです。
何か意図があってやっているのであれば、「膝を前に出さない」のが正解になることもあるでしょうし、「すねと上半身が平行になる」瞬間があるかもしれません。
ですが、「それは何故?」と問われると、それを提唱している人の多くはその理由を真っ当に答えられないはずです。
特に、「ダイエットの為にスクワット」なんて言う触れ込みであれば、そもそもダイエットは食事の話だから理論が破綻していて何が何だか分かりません。
ちなみにベーシックとされるスクワットは、膝は爪先よりも前に出る方向で動き(すねは前に倒れる)ますから、「膝を前に出さない」というのは特段の理由がない限り強調する必要のない言葉です。
「すねと上半身が平行になる」かならないかは、それこそ目的によりますしわざわざ強調しなくても良いと考えられます。
「太ももが地面と平行になるまでしゃがむ」のか、それとも「しゃがめるところまでしゃがむ」のかも目的によりますし、目的に見合っていれば恐らく「正しい」ということになると思われます。
この様に考えていくと、「正しいスクワット」は存在しません。
あるとしたら「適切なスクワット」でしょうか。
適切なスクワットとは?
では「適切なスクワット」とはどういったものでしょうか。
それは「目的に見合った手法で実施されているスクワット」です。
大殿筋に最大限の刺激を入力したければそうなる様にスクワットをして、大腿四頭筋に最大限の刺激を入力したければそうなる様にスクワットをすればいいのです。
目的に対して手段が見合っていれば、それは「適切な手法」です。
しかし、大腿四頭筋に刺激を入れたいと思っている人に、大殿筋により刺激が加わるスクワットをレクチャーしていては、それが見た目には綺麗なスクワットだとしても「不適切な手法」をチョイスしていることになります。
(※シシースクワットという一般的に見れば特殊なスクワット種目があり、それによって大腿四頭筋が強化されます)
足幅や、使用するツール、動作パターン、実際に起こった反応、それらが、目的通りであった時が適切なのです。
自分の手法を押し付けない
目的が同じでも、体格やトレーニング習熟度などの要件が異なると、実質的に取り組む内容は変わってきます。
アスリートが指導者になった際、「私はこうやっているからあなたもこうしなさい」といった、自分の経験だけに基づいた指導をしてしまうケースがよく見られます。
しかし、これはあまり褒められた指導ではありません。
アスリートとしての経験値は大きな武器になるのですが、それはあなただからできることであって、他の人にはできない可能性が高いのです。
その手法には「何故」取り組んでいたのでしょうか?
その手法は本当に「適切」だったのでしょうか?
その手法は指導対象者にとって「適切」でしょうか?
こう考えていくと、やはり「正しいスクワット」など存在しないことが分かります。
より良い指導の為に
「本に書いてあったから」とか「あの人が言っていたから」とか「常識的にこうだから」と言った理由を鵜呑みにせず、指導に当たれるようにしましょう。
なんならスクワットが必要ではない場合だってあるでしょう。
その為にも、まずは自らスクワットやその他様々な種目を色々な手法で試してみることです。
その経験は必ず糧となるでしょう。
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