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ラーメン知財を考えさせられる「ラーショ」商標登録と「インスパイア」されたネギラーメン

ことし4月に、弊所のポストに1枚のチラシが入っていました。
「うまいネギラーメン」新橋に開店‥‥

ある種独特のデザインのチラシだったのと、「いまどきネギラーメンって何?」という感想で、その時は特に気にも止めなかったのですが、お昼時に店の前を通ると行列になっているときもあり、
「へー、なんか有名な店なのかな?」というぐらいの気持ちでした。

それで本日、目にした知財関連ニュースがこちら

一読して何なのかわかりづらいのですが、どうも柏にあるラーメン店のボスであり、カリスマ的な人気を誇る清水さんという方がいて、その方が『柏ネギラーメン ラーショ』という店名でラーメン店を経営されていたのに、知らない誰かに、
『ラーショ』
を商標登録されて、店名を変えたということのようでした。

そこで、ん?ネギラーメン?と思い、調べたら冒頭で述べたお店でした。

とりあえず行ってみました。

定番のネギラーメンとチャ飯

おいしかったです。

食レポではないのでこれ以上のコメントは差し控えますが、確かに、中で働いている店員さんが「ラーショ」と書かれたTシャツを着ていたのが印象的でした。

しかし、ラーショってなに?

なんでも、羽田にあるラーメンショップを元祖として全国でゆるいフランチャイズチェーンを展開しているお店の総称みたいな感じでした。

愛好者からは「ラーショ」の名称でなじみがあるようでした。

調べると「椿食堂管理有限会社」を権利者として、1件だけ登録商標がありました。

元祖「ラーメンショップ」の登録商標

なぜか指定商品役務は「微生物を利用した排水処理剤」
ラーメンじゃないじゃん…

こういうよくわからない知財管理は個人経営や中小企業にはありがちかもしれません。

これに対して、↑の記事で言われていた「『ラーショ』を違う人に商標登録された」というのはこれのようです。


「ラーショ」登録商標

確かにこれは「ラーショ」の名前で「飲食物の提供」を役務として取得されていますね。

権利者の名前で検索すると、独自のフランチャイズを展開しているような情報が得られました。

「ラーショ〇猫(ミャー)」を展開されているようです。
それはそれで登録商標とは違うような…。

つまり、どうやら「ラーショ」はフランチャイズ「ラーメンショップ」系列の略称として親しまれていたのに、登録商標が取得されてしまったということのようです。

昨日の「ゆっくり茶番劇」事件との類似性も感じますね。

私はこれまで「ラーショ」は存じ上げなかったので恐縮ですが、「ラーメン次郎」とか、「〇〇家」とか、「天下一品」ならわかるので、言うなれば、「ジロリアン」、「家系」、「天一」などが、商標登録されてしまった、という感じでしょうか。

それはそれで、対処しようと思えば何とかなるのでは?と専門家としては思うところあるのですが、当事者ではないのでこれ以上の意見は差し控えます。

ラーメン屋さんなど飲食関係は特に、料理のレシピなどを知的財産権で抑えるということは難しいですし、そういう制度があったらあったでまた問題もあるので、難しいなと思います。

そして、ラーメン屋のように、のれん分けのような慣習があると、屋号や商標を誰が使うことができるのか?といった問題も生じやすそうです。

今回も、「ラーショ」は一体だれのものなのか?といった問題提起がなされたと感じています。
元祖ラーメンショップのフランチャイザーの会社が商標登録をしっかり管理していればこのような問題は生じなかったのかもしれません。

前川知的財産事務所
弁理士 砥綿洋佑