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グチ温泉とテガル観光2泊3日 2025年2月

グチ温泉は歴史ある名湯として知られており、前々からぜひ一度訪れてみたいと思っていた温泉です。
ジャワ島の北岸、中部ジャワに、テガルという小さめの街があり、そこから山に向かって40キロほど行くと温泉に着きます。

チルボンとスマランの間にある街

テガルには昔イスラム王国があり、一時期は繁栄していたものの、今は全く面影すらありません。
王宮や古いモスクがないのです。
かろうじてコロニアル風の建築物が数個見られるのと、小さめの中華街があるくらいです。

テガルを有名にしているものは、Warteg(ワルテグ)です。
おそらくインドネシアに在住の方は見たことがあるのではないでしょうか。
見たことが無いと言う人はおそらく気づいていないだけと思います。
それくらいたくさん目にします。

ワルテグとは、ワルン•テガルの略で、ちょっとした食事ができる24時間営業の小店です。
ジャカルタにもバンドンにも至るところにあり、安いためかよく人が入っています。

カウンターとガラスケースが特徴

経営者はテガル出身者が多く、組合形式を取っていると聞きます。仲間で協力し合っているのです。
元々はジャカルタに出稼ぎに出たテガル人の男性が肉体労働をし、一緒に付いてきた奥さんが食堂を開いたのが始まりのようです。


1.グチ温泉

テガルから南に40キロほど行ったスラメット山のふもとにあります。
歴史のある名泉として有名ですが、場所が大都市から離れているためチアトルほどには有名ではありません。
インドネシアには珍しく、温泉発見の伝説がはっきりと記録されている温泉です。かつ湯量はとんでもなく豊富です。

金曜日に願いごとをしながら湯に入ると願いがかなうと信じられており、その日は激混みらしいです。写真を見るとうんざりします。

わたしがこれまで訪問した温泉の中で、1番賑やかな場所かもしれません。

温泉に向かう道沿いに店が並んでいる
平日かつ雨で客は少ない

(1) 温泉の行き方

テガル市内からグラブバイクで向かいます。
約40キロで111,000ルピア(1100円)
1時間ちょっとで着きますが、山に登っていく感じで、特に最後の方は急カーブの坂道が続きます。
この日は雨が降ったり止んだり、霧がかって展望はありません。

しかも標高が高く肌寒いので、ずっと雨具を羽織ってました。

グチ温泉のエリアに入るのに、ゲートで15,000ルピア(150円)払います。

戻りはグラブもゴジェックも捕まらず、仕方なくホテルの人にオジェックをアレンジしてもらいました。20万ルピア(2000円)かかりました。

グチにはバスもアンコタもないんです。

みんなどうやって街まで出るの?と聞いたら、自分のバイクだと言ってました。車やバイクがないと生きていけないので最優先で所有するものなんだそうです。
日本の田舎と一緒ですね。

(2) 温泉その1. Pancuran 13 (パンチュラン13)

インドネシアの温泉でパンチュランと言うと、打たせ湯のことを指します。お湯が注ぎでている口を指し、シャワーヘッドもパンチュランになります。
日本語だと湯口(ゆぐち)が近いです。

ここはグチ温泉を代表する場所で、大きな滝を見ながら、下流の川で水浴びしつつ温泉も楽しめる最高の組み合わせです。

入場料は高めで25,000ルピア(250円)
パンチュラン13と、小道を挟んで向かいにあり温泉プール施設の2カ所に入ることができます。

パンチュラン13

13個の壺からお湯が出ているグチ温泉で最も有名な場所です。
ここがグチ温泉の源泉で、発見された時から変わりません。

どばどばに温泉が出ていて壮観
日本でドバドバ温泉として有名な温泉を10とすれば、ここは10×20で200くらいのドバドバぶりです。

この奥にも更にどばどばの浴槽は続き、1番奥は滝を眺め眺めながら打たせ湯を楽しめます。

このあたりが若干お湯の温度が高めです

わたしが行った時はガラガラで、心静かに素晴らしいお湯と共に滝の勇壮な景色を堪能しました。

道を挟んで向かいの温泉

追加料金なしで入れます。
こっちの方が浴槽の数が多く、若干広いです。
下の写真は上から撮ったところ

入口に近い方
奥まった方

わたしは1番上にある浴槽が温度も比較的高いので気に入りました。

階段で上にあがったところにある。

(3) 温泉その2. ホテルの温泉

温泉プールのあるホテルがあったので、ちょっと高いけど朝食付きだからいいやと思い泊まることにしました。

2Tang、タンタンという名前の紅茶ブランドがあり、そのオーナーがやっているホテルと思われる

雨の中、荷物を持って温泉めぐりをするのがつらかったのもあります。朝走ってから洗った服も生乾きになっていて早く干したかったのです。

1番安いスタンダードルームで、平日料金45万ルピア(4500円)

涼しいから空調がないのは良いとして、雨模様なのも相まってかなり湿気がある部屋です。
それ以外は文句はありません。
バスタブはありませんが、マンディー用の水貯め場はあり、なんと温泉がでてきます。
かなり嬉しい。

プールは25メートルプールのような大きさで、おまけに深い。
1番深い場所は180センチくらいありそうです。

夜の温泉プール インドネシアでは珍しく気温が低いので湯気が立っている

プールの横に子供用の浅い小さめのプールがあり、入ってみると結構熱かったです。
42度くらいあるかも。

1人占めで、贅沢に朝風呂を楽しみました。
やっぱり朝の1番風呂は最高です。

朝食のとき誰もいなかったので、もしかしたら他に泊り客がいなかったかもしれません。

(4) 温泉その3. その他の温泉付き宿

Onsenという名称をつけている温泉がありました。
Onsen Omaheと言います。
泊まったホテルの横にあるので、見に行きました。

眺めの良い丸い形のプールが重なりあって並びます。

お湯はかなりぬるめ。

部屋は4部屋あり、45万から55万ルピア(4500~5500円)で朝食付きです。
プールが目の前にあり、晴れていたら気持ち良さそうです。

45万ルピアの部屋

(5) グチ温泉もろもろ

この温泉はとにかく湯量が豊富で、そこら中から溢れ出ているかのようです。
雨季に訪問した影響は当然あるとしても、川の数、水量が多く、水が豊富な地だから温泉も豊富なのでしょう。

泉質
硫黄泉ではないと思います。
しかし、口に含むとはっきりミネラル分が感じられ、間違いなく濃い温泉です。塩気、金気臭はほとんど感じません。

山代温泉、山中温泉、四万温泉に似た感じの柔らかい温泉ですから、泉質が同じと仮定すれば、ナトリウム•カルシウム - 硫酸塩•塩化物泉でしょう。
硫黄成分は入っているとしても、硫黄泉に分類されるまでは含まれてないと思います。

飲泉に向いているはずなのに、なんでしないのだろうか。

万人受けする素晴らしい温泉で、名泉の名にふさわしい名湯です。

温泉の歴史

1767年にデマク王家の血を引くRaden Aryo Wiryoという人が政治やお家騒動に飽きて、奥さんといっしょに出奔。(Raden:ラデンは、貴族につく名称で、今でもRadenとつくインドネシア人はいる。名家の子孫ということがわかる)
マタラム王家に仕え、チルボン統治を命じられる。
あちこち探索しているうち、スラメット山の麓の地(現在のグチの地)が、気に入り定住。

Kyai Elang Sutajayaがイスラム教の布教のため当地にやってきた。(Kyai:キアイはイスラムの指導僧につく名称)
その頃グチでは、地滑り、皮膚の痒みを伴う疫病が流行っていて、Kyai Elang Sutajayaの力で壺の水を聖水に変え、壺の水を飲むとたちどころに治った。

その水が湧き出る場所は、今パンチュラン13のある場所で、それから人々は温泉を利用するようになった。

https://id.wikipedia.org/wiki/Guci,_Bumijawa,_Tegal

壺に入った聖水伝説から、パンチュランは壺の形をしています。
また、インドネシア各地のパンチュランも真似をして、壺型をしています。
チアトル温泉のパンチュランも壺型です。

わたしは伝説の辻褄が合わないところは、この壺への異常なこだわりのせいではないかと思っています。
「法力で壺の中の水を聖水に変えた」といいながら、「壺の水が湧き出る場所が温泉」というのはおかしいんです。法力で変えたのではなく、最初から効力を持った水が出ていることを伝説は示しているのです。

日本のよくある伝説であれば、空海が杖で地面を強くたたくとそこから温泉が湧き出てきた(修善寺温泉)話のように、法力によって温泉を噴出させます。

グチ温泉は、壺に力が宿ったという話にしないといけない事情が何かしらあったのだろうと推測しています。

2.テガル観光

テガルで一番の観光地は海岸で、わたしは朝走りに行きました。
宿から片道3キロちょっとです。

(1)海

ゲートのところで5000ルピア(50円)払って奥に行くと看板があり、砂浜があります。

美しい自然の砂浜(直訳)

強い風が海から吹き寄せ、波が非常に荒く日本海を見ているようです。

遊泳禁止

晴れたら綺麗なのだろうか?
ここが一番の名所なのか疑問に思うほどの閑散とした浜辺です。

カップラーメン屋、お湯を入れてくれる

唯一よさそうだと思ったのは、ハンモックがずらりと並んでいるところで、晴れた日にハンモックで揺られながら昼寝をするのは気持ちよさそうです。

(2)中華街

それなりに商売があったようで中華街が形成されています。

テガルというよりは東に40キロほど行ったところにあるプガロンガン(Pegalongan)という町が、インドネシア最大の砂糖プランテーションがあった場所で、バティックでも有名な場所です。
ユネスコに登録されています。

なので、テガルはプカロンガンのおこぼれにあずかったのかもしれないと思っています。
というのも、テガルは紅茶のブランドがたくさんあることで有名で、ポチ(Poci)と呼ばれる陶器の急須に氷砂糖を入れ濃いくず茶を飲むスタイルを発祥させた場所です。

砂糖とお茶の商人がいたのかもしれないなと想像を膨らませます。
昔の倉庫らしい建物も残っています。

中華街はメイン通りから折れて入っていく道沿いにあり、立派な寺院も建っています。

ただ、中華街らしいのはそれだけで、バンドンの中華街と同じく活気はないです。

(3)テガルの名物料理

サテが有名です。

Cempe Lemuチェンペレム

仔山羊のサテが名物で、Cempe Lemuと言います。

高いけど抜群にうまい

Cempeとはジャワ語でまだ乳離していない仔山羊のこと、Lemuとはジャワ語で脂肪のことを指します。
「脂ののった仔山羊」という感じでしょうか。

わたしはチルボンでまさにこの仔山羊のサテを食べました。調べてもチルボン名物とは出てこないのに、やたらと目につくのです。
テガルから近いので、店が多かったのかもしれません。

肉と脂身を混ぜて串に刺す

同じように、テガルでチルボン名物をよく見ます。タフグジュレットとかナシレンコなど

Cempe Lemu の元祖みたいです

別の店にも行きましたがそっくりでした。
チェーン店か暖簾分けかもしれません。
あるいはパクリか。

Soto Tauco ソトタウチョ

テガル名物と言われてますが、少し離れたプカロンガンの名物とも言われています。
ソトはスープで、全国にご当地ソトがあります。
タウチョは初めて食べました。大豆の発酵食品で、味噌そのものです。
和歌山県湯浅の金山寺味噌に似た甘じょっぱい味わいで、大豆の粒が完全に残っています。

調べたら華僑が300年以上前に持ち込んだみたいです。

ソトタウチョの材料は、鳥肉、もやし、ネギ、バワンゴレン、タウチョです。ご飯にかけて食べるのは、ソトスマランと同じです。

底の方にご飯が入っている

タウチョの味噌が効いて、優しい風味が最高。わたしはかなり好きな味です。
宿の近くの華僑の店で食べました。

お客さんも華僑が多い

初めて見る並びのカレンダー

グチ名物Getuk Goreng

伊香保の温泉まんじゅうみたいな名物がありました。
そこら中で売っています。

2万ルピア(200円)はインドネシアにしては高いけど買ってみました。

かなり好きな味です。
黒糖が効いたモチモチ系のドーナツですね。
一気に1人で食べたせいでお腹いっぱいになってしまい、晩御飯に影響が出ました。

ホテルに戻って調べたところ、Getuk Gorengの発祥の地はGuciから南に30キロほど行ったところにある、Banyumas県のSokarajaという町のようです。
材料は小麦ではなくキャッサバで、道理でモチモチしているはずです。

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いかがでしたでしょうか。
グチ温泉はかなりおススメですので、インドネシアの温泉はどんな感じだろうかとご興味を持たれた方はぜひ一度訪れてみてほしいです。

わたしはテガルの横にあるプカロンガンにとても興味があるのですが、付近に温泉がないので優先度は下がります。

おわり

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