スマトラ島の温泉をめぐる旅 19日目 パダン近郊の山の温泉を訪ねる
パダンの東50キロほどの距離にいくつか温泉がある。
1200メートルの峠越えを嫌がられるかもと心配していたが、3人目でようやく交渉が成立した。
往復と3カ所の温泉を回ってもらい30万ルピア(3000円)だ。
1.温泉までの道のり
まだ町をでていない頃だった。
運転手が突然ベンケル(道ばたの簡易修理場)で止まると、何やら言い始めた。
よく聞いて見ると、かなりの山道で危ないからタイヤを新しくする必要があるという。
俺のバイクは新しいから大丈夫とか言ってたよなと思いタイヤを見ると、確かにかなりすり潰してはいる。
だが、今いうか?という気持ちもあり、反論してみたら、ミナン人だけあってかなり雄弁に説得してくる。
わかったけど、いくらするの?払わないよ、と言うと、料金から差し引きでいいと言う。
25万ルピアだから差し引き5万でいいと言うことだな、としつこく確認し同意し代金を払った。
大金が入るので気が大きくなったのか分からないが、交際費ではなく設備投資に回すのだから健全だろう。
一方で、わたしは金を先払いした形になったのが気がかりだった。わたしが温泉に入っている間に逃げ出すかもしれない。
なにしろグラブを経由したのは片道だけなので、何の証拠もない。
そのうち、最悪逃げられても大した金ではないし、人が住んでいる場所であれば、町に戻る手段はあるはずだと思い、景色を楽しむことにした。
とにかく峠道からの眺めが最高なのだ。
2.最初の温泉は絶景
ここまで登るかというくらい、山の中腹まで登っていくと小さな集落があった。
温泉に行くには道にバイクを止め歩いて細道を下っていかないといけない。
進んで行くとモスクが見え、その下に素晴らしい絶景とともに満々とお湯をたたえたプールが見えた。
思わず呻き声が出てしまったと思う。
わたしは興奮のあまり早足になりながらかけ寄ると、パンツ一丁になり入った。
熱い。
43度か場所によって44度はある。
底からも湧き出しているようだ。
熱すぎてじっと足をつけられない。特にモスク側の壁際から出ている。
お湯は上からも滝のように注ぎこまれていて、わたしは味みをした。
単純温泉だ。
十分に温泉と景色を堪能したら、周囲の観察に移る。
横には、インドネシア人の好きな打たせ湯コーナーがある。身体はそこで洗っているようだ。お湯は山の斜面から勝手に湧き出ているように見える。
普通はこんなに周囲がひらけた場所に出ないので、かなりの幸運だろう。
風呂の楽しみ方が違うので仕方ないが、正面の木は邪魔なので切るべきだろう。
3.日本を感じる露天風呂
次の温泉は5キロくらい離れている。
尾根伝いに下っていく。
気持ちのよい道だ。
運転手は「田舎だけど道はいいな」と失礼なことを言っていた。
温泉は道沿いにありすぐに分かる。
事前調査で、この集落には全部で4ヶ所温泉があることは分かっており、見て回った。
どれも違う。こんなのではない。
ひなびた共同浴場の画像をみた。
うろついていると、ついに見つけた。壁に書いてあるWanita(女)Laki2(男)の文字を。
すると、小川に木が渡してあり、その先に湯坪があった。
近くで見ると、センスのある石組みや流れ落ちる湯口が、日本の露天風呂のようだ。
こんなにいい露天風呂を作ってくれて、どうもありがとうと言いたい気持ちだった。
胸までの深さの湯船に浸かり、お湯に打たれながら、いつまでも入っていたいと思った。
お湯は単純温泉で、温度は38度くらい。
源泉は山の斜面から出ていて、露天風呂には直接注ぎ込んでいる他、一度ためて分配しているお湯もある。
3.最後の温泉は見つからず町に戻る
3つ目は帰り道にあるので寄ってみたが、誤った情報のようで見つからなかった。
わたしは正直とても満足していたので、どうでも良くなっていた。
運転手に戻ることにしようと声をかけ、バイクの後ろに乗る
結局裏切られることはなかった。ただの良いおじさんだった。疑って申し訳ない。
証拠写真まで撮ってしまった。
道はのろい大型トラックで登りも下りも大渋滞だ。なんで登坂車線を作らないのだろう。
ホテルに戻ったら3時を過ぎていて、そのまま寝てしまった。
4.パダンの古い街並みを散策
川沿いに古い建物が残っているので行ってみた。
往時を忍ばせる川
わたしはPadang Old Townで食事をした後、ゲストハウスのバーで飲み直した。
明日も街中の観光を続ける。
今日の地図
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