スマトラ島の温泉をめぐる旅 9日目 ブラスタギの絶景温泉
ブラスタギは、暑いのが苦手だったオランダ人が避暑目的で開発した、標高1400メートルにある高原都市だ。
この町の近くに温泉街があるので、今日はそこに泊まる計画にしている。
1.ブラスタギ行きのバスに乗る
メダンからブラスタギへ行くバスはたくさんあると言うものの、どれにすべきか困り宿で相談したところ、Murni Expressにしといたらどうかと勧められた。
グラブを呼び、チケット売り場(Loket)まで行ってもらう。
派手なミニバスがたくさん停まっている。Murni社はピンク、紫、緑のイメージカラーだ。
内装はこんな感じ。ちょっとコンセプトがわからない。
20分ほど待ち、客でいっぱいになったら出発した。エアコンはないがヘビースモーカーだらけなので、むしろこっちの方が良い。
ブラスタギには1時間半で着いたのだが、誰も降りないので、つられて町外れまで行ってしまった。
キャベツの像が町外れの目印だ。
温泉街に行くバス乗り場が分からず、あちこちさまよってようやく見つけた。メインストリート沿いに停まっていた黄色いバンだ。Karya Transport、略して「KT 」(カーテー)という。
料金は7000ルピア(70円)
ブラスタギと温泉の位置関係
2.温泉めぐり
今日泊まる予定のホテルに荷物を置かせてもらい、温泉めぐりに出かける。
周りを山に囲まれた地形で、いかにも温泉が出そう。目の前には煙をあげるシバヤッ山が聳え、絶景風呂に期待が膨らむ。
(1)Persona Sibayak View
最初に向かったのは、シバヤッ山を眺めながら温泉に浸かれる、その名もシバヤッ・ビュー温泉。
水着を忘れ300円で購入する。
水分補給しながら売店のおばちゃんと話していて日本人だと言ったら、日本人の知り合いがいるという話になった。
トシというらしい。近くに住んでいるようだ。こんな場所に日本人がいるのかと驚く。
奥さんはインドネシア人で、店のおばちゃんのお母さんのいとこなんだそうだ。
トシさんは60歳と聞いた。もしかするとジャカルタか海外で出会い結婚し、引退後に奥さんの実家のそばに来たのかもしれない。
ここには12種類のプールがあり、それぞれ温度が違う。
一番きれいに山が見えるプールは、一番奥まった場所にあり、温度も低めなので混み合っている。
山の割れ目から噴気が出ているのが見え、絶景だ。
山がきれいな温泉は日本にもたくさんあるが、けむりが出ていてしかも出ている場所が見えるのはさすがにないだろう
ここの凄さはそれだけではない。敷地内に高温の温泉がいくつも自噴しているのだ。
泉質は多分土類泉で、色と香りが違う場所もある。ポカリスエット色や緑色の温泉もあるのだ。一度に複数の源泉を楽しめる本格的な温泉だ。
滑り台つきプールの見た目に騙されてはいけない。
(2) Ring Pandiata温泉
温泉街の入口を示すゲートの手前にある温泉だ。町外れということ。
ここを選らんだのは、ある訪問者の感想「私には熱すぎるように思える」が気になったからだ。
熱いということは空いている可能性が高く、本格的な温泉かもしれない。
入場料15000ルピア(150円)を払って入ると、きれいに整えられた庭園のような温泉だった。
行きのミニバスで一緒だった子連れの大学生がいて、聞くとここが実家で長期休みなので家族で帰省中らしい。
熱いから人気がないと思っていたのに、10名以上人がいる。
もっとも、屋根のあるところでまったり寝転んでいるだけだが。
足をつけると熱い。でも45度はないくらいだ。
少しぬるめの湯で42度以上ある。激熱かあつ湯しかない
このお湯の味は苦い。初めてかもしれない。匂いはどこかで嗅いだ記憶がある。
ここの源泉は敷地内にあり、プールに投入しきれない温泉が溢れて小川となって流れる。
とんでもないことになっている。
(3) Mitra Sibayak
温泉街のはずれ、山の裾ぎわという、いかにも温泉が出そうな場所だ。
ひと気のない林道のような道を通って行く。もしかしたらひなびた温泉に出会えるかもと期待に胸をふくらませて到着すると、芋の子を洗うような込み具合。
人気があるのと時間帯のせいだろう。
18時は避けるべきだった。
温泉は見た目も匂いもまさに硫黄泉。いくつもあるプールはそれぞれ温度が異なる。
よく観察すると、お湯を迂回させたり貯めたりして温度調整しているようだ。
温泉へのこだわりに好感が持てる。
ここはインドネシア人の大好きな打たせ湯(パンチュラン)がある。ここが洗い場になっているので、プールのお湯が汚れなくて良い。
源泉の様子を見に行くと、2メートル四方の大きなマスがあり、底から大量の湯が沸いていた。
かろうじて触れる温度なので、50度位だろう
3.町を見下ろすカフェ&レストで夕食
地熱発電所の横にKamuna Gardenという宿があり、そこの最上階がKamuna Rooftopという食堂になっている。
ビールが飲めることを昼に通りがかった時に確認済みだった。
ここは見た目がいい割に一泊100,000ルピア(1000円)と安く、こっちにしておくんだったと思った宿だ
温泉はやたらと混んでいるのに、このレストランには誰も客がいない。昨日までは横浜から来た日本人がいたそうだが、この町にわざわざ泊まるのはよほどの温泉好きだろう。
地球の歩き方にも、ロンリープラネットにも、ブラスタギの近くに温泉があるとしか書いていない。日帰り前提なのだ。
この町は確かにブラスタギに比べれば不便に違いない。観光客が喜びそうなレストランやカフェはすくなく、地元客向けの店ばかりだ。コンビニもない。
それでも酒は飲めるし24時間営業の店が多く、何も困ることはない。
何よりホテルがたくさんある。インドネシアの田舎には珍しいくらいだ。
話をレストランに戻す。
わたしは焼きビーフン、空芯菜の炒め物、ビールを頼んだ。味は一般的だが温かい食事を楽しめるのは嬉しい。
風がよく通る場所で寒いくらいなのだ。長袖を持参されることをおすすめする。
4. ホテルについて
一泊600,000ルピア(6000円)もする高級ホテルに泊まることになった。1番安い400,000ルピアの部屋は売り切れだった。
パリバンホテルという町で1番いいホテルだ。
そもそもなぜここにしようとしたかというと、ここの温泉の評価がとても高かったのだ。ブラスタギで温泉に行きたいというと、決まってここか、シデブデブ温泉に行けと言われた。
Google mapのコメントはパリバンが10,000超え、シデブデブが5000超えだ。他の場所は桁がいくつも下。
人気があるということは、昼間は日帰り客で激混みだろうから、宿泊者の特権で彼らがいなくなった時間帯にゆっくり温泉を楽しもうと思ったのだ。
ところが、目論見に反して人々はいっこうに帰る気配を見せない。もちろんピークよりは減ったが20:00でもこんなにいる。
しかも、ゴザなど出して寝転がり、ここで夜を明かす気満々に見える。
食べ物屋は午前2時まで空いているらしいから何も困らないだろう。
寒くなれば風呂が入り放題だ。
最後に温泉街の地図。歩いている人はほぼ見かけないが小さい町なので徒歩で温泉めぐりを楽しめる。