ラマダンの断食に参加して(ブカプアサ、何を食べる?)
ラマダンが始まって約2週間が経過し、間もなく折り返し地点です。わたしは月~木を断食日(プアサ)、金土日を非断食日にするルーティンにして続けています。
今日のテーマ、断食あけ(ブカプアサ)に何食べるですが、ブカプアサとはプアサ=断食、ブカ=あけるで、「断食があける」の意味です。
18時がブカプアサのタイミングと聞いてましたが、実際はもう少し厳密で、初日は18:12で、3日目は18:10でした。
この10分強が、想定外だったためかとても長く感じました。皿を前にお預けを食らっている犬のような感じです。
ブカプアサの3時間前、15時くらいから通りや店頭にテーブルや屋台が並び始めます。
明るい色彩のパラソルが、人々の服装や果物のカラフルさと相まって明るい印象を与えます。
あんたたち普通の家でしょ、というような家までガレージにテーブルを並べて食べ物を売っていますし、わたしの行きつけのナシゴレン屋、「ナシゴレンはやぶさ」は1串1000ルピア(10円)のバソゴレン(バソを団子のように串にさし、サテのように炭火で焼く)を売っていて大繁盛です。
17時を過ぎるとさらに人通りは増え、大人から子供まで、甘い飲み物を手に手にニコニコしながらうれしそうに歩いています。
「お前何買ったの?」「いいね。おれは今これができるのを待っているところ」なんていう会話があちこちで起こっています。
お祭りで出店に並んでいるような雰囲気でウキウキした気分になります。
おそらくわたしもプアサに参加しているため、仲間意識があるからそういう気持ちになるんだろうと思います。
もし参加していなければ、道は混むし通りが狭くなるので邪魔だなと思ったに違いありません。
わたしはブカプアサ用の食べ物(Takjilタクジルと言います)を一通り食べてみようと思い、順番に買って試しているところです。
いきなりメイン料理を食べると胃腸に負担がかかるので、まずは軽い食事Takjilを食べてちょっと休んでからメインコースに移るのが正しいやり方のようです。
Kolak Pisang(コラック・ピサン)
まずは寮のスタッフ一押しのKolak Pisangです。Pisangはバナナです。
KolakまたはKolekといい、甘味はパームシュガーまたはココナッツシュガーで、ココナッツミルクとパンダンの葉が入ります。
色は茶色く、バナナの黄色が混じる感じです。
バナナ入りが一番ポピュラーですが、様々なバリエーションがあり、サツマイモ、タロイモ、カボチャ、ジャックフルーツなどです。
普通は常温かあったかい飲み物らしいのですが、冷やしてしまいました。
わたしのには、バナナ、かぼちゃ、Kolang Kalingというフルーツが入っていました。
このKolang Kalingはナタデココに似た食感で、けっこうはまりました。
Kolak Candil(コラック・チャンディル)
コラックのバリエーションの一つで、果物ではなくキャッサバでできたお餅が入っています。日本だとタピオカという言い方の方が有名かもしれないです。
バンドンはキャッサバでできた餅をAci(アチ)と呼び、様々なAci料理があります。CilokやCimolといったCiで始まる料理です。詳しくはわたしのバンドン名物料理のNote記事を見てもらえれば。
日本の感覚だとお汁粉が近いかもしれません。色はKolak Pisangと同じ黄色っぽい茶色のスープです。
わたしはチャンプルをお願いしたので、バナナも入ってKolak Pisang Candilになりました。
Sop Buah(ソプ・ブア)
SopまたはSupでスープの意味、Buahは果物ですから、果物のスープの意味になります。店によってはSop Buah Aneka(Aneka=様々な)、Sop Buah Campur(Campur:混ぜる=チャンプル)と書いてあるところもあります。
様々なレシピがあり、基本は砂糖とミルクで白っぽくなっているところです。ピンクや薄紫に着色してあるのもよく見ます。
いろいろな果物が入っているほか、ゼリーみたいなのも入っています。
これは冷やして飲みます。
わたしのには、ココナッツ、スイカ、メロン、赤いゼリーと緑のゼリー、バジルシードが入っていました。
Kolakに比べるととてもさっぱりとした飲み物です。
クルマ(干しナツメヤシ)
伝統的な食べものです。英語ではデーツと言います。
日本でも食べられる食物で似ているのは干し柿、プルーンで、とても甘い。
伝統的な食べものと言ったのは、イスラム教の開祖ムハンマドも断食明けに食べていたと言われる食物だからで、宗教色を感じる食べ物。
中東原産です。
断食明けに食べる食べ物としては糖分と栄養補給に最適のようで、昔の人の知恵です。バナナのように吸収が早いそうです。
食べる時の注意点としては、必ず奇数の数だけ食べるスンナ(ルールまたは慣習の意味)になっていることです。わたしは全く気にせず食べていましたのでご注意あれ。
インドネシアでは一年中売っていますが、特に店頭に大量に並ぶのはラマダンが始まる数週間前からで、これを見るといよいよ始まるなという感覚になります。
わたしは干し柿があまり好きでないのと、そもそもフルーツ自体あまり食べないので、クルマを好んで食べる気にはなりませんが、ブカプアサのときは別です。
クルマにも低級品から高級品があり、わたしは中東土産だという真っ黒なクルマを一度食べさせてもらったことがあります。まったく味が違いました。干し柿よりもプルーンに近い味です。これはおいしかったですね。
安いやつはスーパーの野菜のように発泡スチロールのトレーに入れられ上からラップがかかっています。20,000ルピア(200円)を切るくらい。
高いやつは海外みやげのチョコレートみたいな箱に入って売っています。高いのは50,000ルピアから100,000ルピア(500円~1000円)します。量は500gと多いので、1個あたりの単価はそんなに違わないかもしれません。
今読んでいるハディース(教祖マホメットの言行録)にもナツメヤシの話は頻繁に出てきます。
Es Campur(エスチャンプル)
直訳すると混ぜ氷。果物やゼリーを何種類か入れた飲み物です。Sop Buahとどう違うのかよくわかっていません。
クラスメイトに聞いたら、同じという人やほぼ同じという人しかおらず、違いはあまり認識されていないようでした。
Bubur Sum Sum(ブブル スムスム)
ブブルはおかゆの意味で、ブブルスムスムは糊状になるまですりつぶして更に甘くしたものです。
これをトッピングで入れます。
コラックピサンやコラックチャンディルに入れてもらいます。
味は美味しいとも不味いとも感じず、食感以外は存在を消しています。
Cimin (チーミン)
ブカプアサの食べ物か分からないのですが、普段見ない食べ物で、いつ見ても大人気です。調理に時間がかかるので行列になっているだけの可能性はあります。
わたしも食べました。おいしいはおいしいのですが、なぜここまで人気なのかは分からないままです。
Ci(チ)が付く料理なのでキャッサバ粉をつかったモチ状の食べ物です。CiはAciの略でスンダ語でキャッサバ粉の意味です。
Ciminは小さくちぎったキャッサバ餅を油で炒めて味付けして食べます。たこ焼きより大きなくぼみに入れて裏返しながら焼きます。
それを専門の容器に入れ、味つけの粉をかけたら一気にかき混ぜてから持ち帰り用の容器に移し替えます。
Gorengan(ゴレンガン)揚げ物
これもブカプアサ用の食べ物というより普段の食べ物なんですが、一番人気です。
寮のスタッフの食べているものを観察すると、毎回ゴレンガンを食べています。通りでも行列をなしている確率が高いのはゴレンガンの屋台です。
やはりお腹がすいているとこってりした脂っこいものが食べたくなるのかもしれません。わたしも若い時に登山で何日も山にいると、無性にかつ丼とかこってりしたラーメン(わたしの場合は野方ホープの豚の背あぶらをイメージ)が食べたくなりましたので同じかもしれません。
断食の習慣はムハンマドがイスラム教を始めた600年くらいから続いているので、やり方はしっかりと確立されています。
クラスメイトにいつから断食を始めたのか聞いたら、小さい時からやっていて、最初は半分の時間からはじめて長くしていくそうです。そして、できたらご褒美に親からお金をもらえると言っていました。
このお金を握りしめて小さい子供たちがうれしそうに屋台で食べ物(タクジル)を買っていたんですね。