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インドネシアの島めぐり4日目 スンバワ島の温泉に行く
バイクに揺られ2時間、マロンゲという町にあるマロンゲ(栗毛)温泉にいってみた。
スンバワブサールに滞在したのは、この温泉に近くてホテルがありそうな町がここしかなかったというのが理由で、それでも温泉はホテルから36キロも先にある。
この島は大きくそして人の活動の密度は低い。
スンバワ島2日目なのでまだ何もわかっていないが、この島は乾燥しており畑作もしくは牛の放牧が中心のように見える。田んぼはたまに見る程度で、とうもろこし畑の方がよっぽど多い。
多くの人口を養うだけの肥沃な土地がないのだろう。
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とにかく牛はたくさんおり、ジャワで見るような水牛よりジャージー種の牛のような茶色い毛の牛がたくさんいる。首には大きな鈴をつけており、歩くとカランコロンと乾いた音を立て、そしてあまり鳴かない。
あと犬も多い。ロンボック島でも多かったが、この島も同じ傾向にあるようだ。ニワトリとヤギもよく見かける。これはスンバワが珍しいというわけではなく、インドネシアでは普通の光景だ。
ネコはいるにはいるが、バンドンのネコたちのような存在感はない。人の陰に隠れながら、ふとしたはずみで見つかるといった感じだ。
そして人間はといえば、顔立ちはさまざまで、どの人が土着のスンバワ族なのか確信が持てない。
この島の人口は全体でも100万人と少なく、西のスンバワ族、東のビマ族に大きく別れる。
ロンボック島の人口が300万人で7割以上がササック族ということを考えれば、西ヌサトゥンガラ州は面積ではスンバワ島の1/3に過ぎないロンボック島のササック族が中心となっている。
宿のオーナー夫婦に「スンバワブサールの観光名所でオススメはないか?」と聞いたところ「ここにはなくビマに行けばある」とのことだった。スンバワ族の歴史や民俗といったものは史跡としては残されていないのかもしれない。
前置きが長くなったが温泉の話
マロンゲ(栗毛)温泉は原っぱの真ん中にいきなり出現したような立地で、まばらな木、田んぼか畑かわからない枯れた整地、牛がところどころ群れているといった光景の中にぽつんとある。
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誰が書いたのかポップなタッチの効能の案内があり、こじんまりとした中にもみんなに愛されている空気を感じる。
実際温泉では1人しか会わなかったものの、行く途中の細道で二人乗りのバイク、4人乗りの車とすれ違い、いずれも温泉からの帰り、もしくはこれから温泉に行く人たちだった。
この温泉を事前に調べたら、湯治目的で利用している人々の新聞記事がいくつか上がってきた。またYouTubeにはお祭りのような場面が出てきており、宗教に関連している可能性もある。
効能あらたかな温泉なのだろう。
温泉はふつふつと湧き出ている源泉を丁寧にかこってあり、そこから流れてくるお湯を浴びるスタイルになっている。
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そして、池のような場所がある。
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ここの住人だというサドゥー(ヒンドゥーの修行僧)のようなおじさんによれば、この池に入るのが正しい入り方だという。
おじさんは英語が話せる。俺についてこいといい、池の中に入って行った。お湯は熱い。40度強だろうか。
おじさんはこっちだといい、真ん中に向かっていく。そこは底から熱いお湯が湧き出ている場所で、そこにしゃがみ込み頭ごとお湯に潜り込んでいた。
底の泥を足で掘って、そこに足の裏をつけろという。
熱い。
おそらくこのやり方が伝統的に良いと言われている入浴の仕方なんだろうと思う。40分つかっていろと言っていたのであまりに長いと思い、インドネシア語でも40分か確認したらやはり40分とのことだった。
ぬる湯なら良いが、結構熱いので一度に40分は危ないと思う。何かの修行なんだろうか。
10分くらい入って出ると、おじさんも出て、たくさん水分を取れという。「水を持って来たんだ」と言ってリュックから水を取り出そうとしたら、「違う。これを飲め。」といって、もう一つの源泉から流れ出ているお湯に口を近づけ、大きな口を開けたままガブガブと飲み始めた。
わたしも飲んだ。癖のない味で単純温泉じゃないかと思われる。温泉成分の証である析出物が付着しており、塩類泉に分類される程度の成分もあるのかもしれない。
おじさんは「それでは家に帰る」と言って去っていった。
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タンボラ火山について
もしも噴火した火山をひとつだけ覚えておくとすれば、タンボラ火山と覚えておくと良い。
人類史上最大の噴火と言われており、世界から夏を奪い去り、遠く離れたヨーロッパにも冷夏の記録が残っている。今から200年あまり前の1815年のことだ。
地球の気温は噴火から数年の間、2〜3度低下したそうだ。
タンボラ火山はスンバワ島にある。
噴火前に4000メートル近かった山が、噴火により2800メートルになり、かつ深さ1300メートルの穴が空いたという。
一体どれほどの土砂とガスが噴き出したのか、東京ドーム何個分なのか、数える気力さえ起きない。ここではインドネシア人に倣って、バニャック(インドネシア語でたくさんの意味)とだけ言っておく。
スンバワの中心地だったタンボラはこの噴火により死滅し、タンボラ語も数語を残して消え去ったという。