インドネシアの島めぐり34日目 ガセねたに踊らされセーラム島を往復する160キロの旅
ここ最近のわたしの中の最優先事項は、バンダネイラにいく方法を見つけること。とにかく情報がなく、今のところ最短で1月26日発のフェリーしかない。
これだと1月中にバンドンに戻れないのでもっと早い便を見つけないといけなかった。
とにかく取れる手は全て取るんだと突っ込んでいき、失敗に終わったという一日の記録である。
トゥレフ港でセーラム島(アマハイ港)行きの船のチケットを買う
朝8時にホテルを出て、ネット情報でサパルア島行きのスピードボートとバンダネイラ島行きのスピードボートが出ているというトゥレフ港へ向かう。
とにかく街なかにいては情報がとれないので、港に行って直接確かめるしかないという、いつの時代の話なんだという状況だ。
トゥレフ港はアンボンの中心地から20キロ離れており、グラブバイクを呼んだ。74,000ルピア。
港には30分弱で到着し、チケット売り場を探したがない。なぜか港で売っていないらしい。
港の職員に聞くと「外でチケットを買ってこい」というので、どこにあるんだと聞いて見たが、要領を得ない。
普通こういう時は地図を掲示するものだよなと思いつつ、道に迷っている時間はないので、オジェックに頼んで往復してもらった。
港を出て左折し200メートルくらいのところにある建物がチケット売り場だった。看板もなく全くわからない。よく見れば前に車がたくさん止まっていたり、人の出入りが多いので気づくレベルだ。
わたしはすでにサパルア行きの船が毎日あることは港で確認できたので、バンダネイラ行きの船について聞いてみた。
「バンダネイラ行きのスピードボートが週2回この港から出ると聞いたので、いつ出るのか聞きたい。あとチケットも買いたい。」というと、
「バンダネイラへの船はここからは出ない。アンボンの港から出る。スピードボートはここではなくセーラム島から出るので、まずセーラム島へ行け」と言われた。
聞いていた話と全く違う。アンボンの港から出るペルニ船はわかる。昨日旅行代理店で1/26に出ると聞き、スケジュールが合わないので断念したやつだ。
スピードボートは本当にセーラム島から出るのか、甚だ疑問だった。距離で言えば遠回りになるし、おまけにアンボンの方が人口も多いから普通はアンボン発にし、セーラム島はせめて経由なのが普通だろう。
しかし、毎日船が出るというし、飛行機も出るという(船会社ではなくオジェックの運転手の発言)ので、まずは行ってみて様子を見てみようと思った。飛行機があれば乗るつもりだった。
トゥレフ港からのスピードボートはチャーターになるようで、オジェックの運転手は12百万ルピア(12万円)と言っていた。真偽のほどは不明だ。
もしセーラム発の航路がガセねたと分かればすぐ船に乗って戻ってくればいいだけだ。その場合、おそらくバンダネイラは今回諦めるしかない。
船賃は80キロも距離があるからか高く、148,000ルピアもする。
9:00発の予定だったが、アマハイからの船が到着しておらず、スタッフによれば11:00発じゃないかとのことだった。
港の様子は写真だとこんな感じだ。
セーラム島のアマハイ港へ
アマハイ港からの船が到着したのが10:00、乗船を始めたのが10:30、船が出航したのが10:40とインドネシアとは思えないスピーディーさに驚く。
わたしはエコノミー席なので1階席、VIPは2階席。クーラーの効きと混み具合が違うくらいで大した差はない。
船は右手にハルク島、左手にセーラム島を見ながら進む。ハルク島を過ぎれば次はサパルア島が右手に見えてくる。
この船はのんびりしたもので、「航行中は開けないでください」と表示してあるドアが開けっぱなしになっており、そのまま柵もなく海に落ちてしまう状況だ。
良いところは、船のへ先に出られるので、みんなの憧れ?の映画タイタニック号のポーズが取れるところ。
小舟ならいざ知らず、大型の船でへ先に一般乗客が立ち入れるのは、わたしは初めての経験だった。
地元の若者たちとかわるがわる写真を撮る。
船は時間通り2時間でアマハイ港に着いた。
アマハイ港の様子
一見してスピードボートは影も形もないことがわかる。わたしたちの乗ってきた船と、漁船のような小舟が波間にぷらぷらと揺れているだけだ。
外に出ての第一印象は「とんでもないところに来たぞ」というもの。何もない。
小さい食堂が1軒、キヨスと呼ばれるワルンが2つだけ。
わたしは群がるオジェックどもを追い払いながら、船の事務所に行ってみた。
「お昼休み中のところ申し訳ないが、バンダネイラ行きの船がここから出ると聞いたのだが、いつ出発か?」と聞くと、「ここではなくアンボンからしか出ない。」というではないか。
はるばる80キロも船に乗らされ、たらい回しされる心境にもなってほしい。
わたしはこうなったら徹底的に聞くしか無いと思い、そこら中にいる職員やら客やらに聞いてみた。皆苦笑いだ。騙されるにも程があるだろという反応や、こんなちっちゃい港から出るわけないじゃん、という呆れた反応ばかりだった。
正直ガセの可能性はあると覚悟していたが、ここまで酷いガセネタとは思っていなかった。飛行機はあるんじゃないかとワラにもすがる思いで聞くと、親切な事務職員が友達に聞いてやると電話してくれ、「週1らしい。ただ風向きが悪いとダメ、風が強くてもダメで滅多に飛ばない」とのことだった。
飛行場はアマハイ港から徒歩圏内にある。
アンボンに戻る船は14時出航なので、2時間近く時間潰しをしないといけない。ここはインドサットの電波は飛んでおらず、ネットサーフィンという手段は使えない。
仕方なく港の外をぶらっとしてから食堂でソトアヤム(鳥スープ)を食べた。
メニューのなかでそれしかやっていなかったのだ。
待っていると、エクアドル人の熟年カップルがやってきて、注文できずに苦労していたのでサポートした。
ソトアヤムは口に合わなかったようで「このスープはなんでできているんだろう。美味しくない。」と言っていた。
彼らは19日の船でバンダネイラに行けると言っていて、出発場所はアンボン港だそうだ。チケットどうしたのと聞いたら、まず港のペルニ船事務所に行って、その後教えられたトラベルエージェントでいくつかの日にちの選択肢から19日を選んで購入したというようなことを言っていた。
彼らは英語はそんなに得意じゃなく、正確な情報かは確信が持てない。わたしも同じエージェントに昨日行って26日しか無いと言われたのに、この違いは何なんだろうかと思ったが、彼らは1週間前に取ったらしい。
自分の中でようやく諦めをつける決心がついた。今回はバンダネイラはやめだ。
ちなみにこの港もチケットは港の建物ではなく裏にある別の場所で買う仕組み。今回は気の毒に思ったのか、職員が場所を案内してくれた。
トゥレフ港に着いてガセネタを流した奴らに一言いう
船は16時に出発地点のトゥレフ港に着いた。この船は港に着くと大勢の男たちが我先に船に飛び乗ってきて、ポーター仕事やオジェックの営業をするしきたりになっている。
そうした飛び込み組に、わたしにガセネタを流したオジェックの運転手もいた。「アマハイ港からバンダネイラ行きの船はなく、アンボンからだけと言っていた。飛行機はあったが毎日ではなく週に一回飛ぶかどうかだ」と言ったら、「そうか、ないのか。ところで町までオジェックはどうだ?」と何の反省も見せず謝りもせず営業をかけてきた。
わたしは「なぜ毎日船が出ているとか飛行機が飛んでいると言ったの?嘘だよね。」と言ってやった。
すると、ようやくこの人に馴れ馴れしく営業してはいけないとわかったようで、こそこそと去っていった。
次に文句を言わなければいけないのは、チケット売り場の職員たちだ。港を出て歩いて行くとまだチケット売り場は開いていた。
中にはいって「アマハイ港に行ったがバンダネイラ行きの船なんてなかった。誰からの情報なんだ。」と告げた。
すると職員は半分開き直りながら「他の港のことはよくわからないんだ。」と返してきた。
わたしは「わからないのであれば、わからないと言うべきだったんじゃないの?2度とこういうことは客に言ってはならない」と言い、明日のサパルア島行きの船の時間とチケット売り場の営業時間を確かめた。
船は9:00発、チケット売り場は7:00オープンだ。
アンボンにて
ホテルにチェックインして、ダメ元でバンダネイラ行きのチケットをどうやったら手に入れられるか聞いてみた。するとやはりわからないという返答だった。
旅行会社とかに知り合いはいないか?聞いてみてくれないかと言っても、船はちょっとわからないという。
バンダネイラの行きづらさは想像以上だった。今回は縁がなかったのだろう。またいつの日かチャレンジしたい。
わたしの中の死ぬまでに行きたい場所リストがまた一つふえた。