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Directors’ Selection – FOCUS

Tezukayama Galleryにて開催中の展覧会に伺いました。

ディレクターさんが選出した3名の企画展でした。

フライヤーのアイキャッチに惹かれて観に行きましたが

端的に言うと3名ともめちゃくちゃ良かったです。

木村 剛士さん

作品の元ネタになっているのは作品後方にミニチュアとして作製されたブランクーシの“無限柱”
砂を使って彫刻が拡がるイメージが可視化されている

木村 剛士さんの彫刻作品、彫刻作品は正直観方が探りさぐりで自分なりの観方ですが、形作られたそのものも作品なんですが、それがあることで変化するその空間や環境が作品だと思っていて、元ネタとなる自転車の後方に設置されたブランクーシの“無限柱”を元に車輪に転用し走れば走るほど広がる彫刻でまさに環境を形どる作品でめちゃくちゃ良い!!となりました。

杉山 卓朗さん

白抜きされた部分をよく見ると「んと」が観えてくる。落書き禁止の看板があった風景の写真を描き起こしている
IllustratorやPhotoshopのようなペイントツールの“ブラシ”を思わせる筆致
恐ろしいことにフリーハンドの手描きだそうです。でも緻密で精緻なことが作品の主題でないのが更にかっこいいそらしめ
“そらしめ”という作品、よく見るために少し目をそらし、周辺視野を使うことで逆にはっきりと認識できる天文の世界でよく使われる見る技術
ディレクターさんに何回も本当に手描きですか?フリーハンドの?と聞いた。そうらしい、、

杉山 卓朗さんの絵画は、大好きなメタ視点系の作品だと思っていて、落書き禁止の看板をサンプリングし、そこに落書きのようなグラフィックを重ねる。デジタルペイントっぽい線が描かれている(イラレのブラシのような)けどそれを元にアナログで描き起こしてるそうで写真(リアル)を絵画化(虚像)、デジタルの線(虚像)をアナログの塗り(リアル)として行ったり来たりしててめっちゃヤバい!!となりました。

別の作品では最小限の絵画としての線と面を使った画面作りをされていて、シンプルな見た目の作品ですが深みがあり、ソリッドでストイック。人の視覚と認知をハックされたような研究対象としての絵画という感じで惹かれました。

平野 泰子さん

左右の上から1/4あたりにポッとなにかある
これに近いものが他の作品にも別の形でなんとなく描かれているような感じも
いずれの作品も画面の真ん中あたりが一番明るく、四隅に行くにつれビネットがかかったように暗くなってるような印象

平野 泰子さんの絵画については今回もっとも観えない作品かな~と思いましたが、どの作品も同じ風景を描いているとお聞きし、改めて見直すと、画面は違うように見えますが確かに同じような位置にポイントが有り、周辺光量が写真のビネットがかかっている感じにも見え、たしかにモチーフは同じなのかもと観えてきました。風景画の抽象画で、印象派っぽい光の捉え方をされてるのかも?とか思いながら作品を見比べ思いました。ヒントはないかな~と画面中を隅々まで観たりしながら距離を取ったり、近づいたり、楽しい鑑賞体験でした。

終わりに

なかなか見応えがあり、長居してしまいましたが説明してくれたディレクターさんもとても丁寧で楽しかったです。写真以外にも作品はありますし、まだ会期に余裕があるので、ほんと是非行って観て欲しい展覧会です。

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Directors’ Selection – FOCUS
木村 剛士 / 杉山 卓朗 / 平野 泰子
2022.01.21 Fri - 2021.02.19 Sat
@tezukayama_g

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