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風の谷のナウシカに手紙を書いてみた

コロナの影響で映画館が閉鎖され、残念な数ヶ月を過ごしていましたが、なんと本日6月26日(金)より、全国372館の劇場で『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ゲド戦記』が上映されます。(詳しくはこちら

「一生に一度は、映画館でジブリを。」

というキャッチコピーの通り、今まではテレビでしかみれなかったジブリ作品が久しぶりに大画面で劇場で観れるということで、とても楽しみです。

ジブリの映画が多数ある中で、一番思い入れがあるのが「風の谷のナウシカ」。

中学生の頃、レコードでナウシカのLPを2枚。
大好きでジャケットをたえず部屋に飾っていたのを思い出します。
いまだに手元にあるジャケット。

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もちろん、アニメージュで欠かさず原作を読んで、全7巻の漫画も今では息子が部屋に置いて愛読書になるほどの「風の谷のナウシカ」。

ジブリのアニメブックやCDなども色々と手元に留めながらも、ときおり見返してしまうのですが、今回は映画館での上映に感謝してナウシカに手紙を書いてみようと思います。

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拝啓 ナウシカ様

あなたに、はじめてお手紙を書きます。
風の谷を王蟲の群れが大津波のように襲ってきた大海嘯から、あなたが世界を救われたのは、「火の7日間」と呼ばれる最終戦争から1000年後のことでした。
私たちは、その「火の7日間」よりも数百年か数千年前に生を受けた人類ですので、あなたは私たちのはるか未来の子孫にあたることになります。

未来のあなたに送る手紙としては不思議な感覚ですが、2020年の世界は、あなたが腐海の森でマスクをつけるように、私たちも外に出た際には、皆マスクをつけてコロナウイルスという目に見えないものたちから身を守っています。
腐海の森に入るあなたとは異なりますが、皆がマスクをつけなければ生活ができないことに変わりはありません。

2020年の私たちはあなたがメーヴェに乗って空を自由に飛び回るほど、文明がまだ発達していません。どこかに出かけるときは、車に乗ったり、公共交通機関に「密」の状態で通勤・通学を行なっている旧時代の人類です。

そんな私たちが子孫であるナウシカに残せるものが何かを必死に考えて、最終的に人類が残したのが1000年をかけて地球を浄化していくシステムである「腐海の森」でした。その「腐海の森」にあなたたちが生きながらも苦しめられていることは因果なものですね。本当にごめんなさい。

2020年という年は、地上の汚染はひどくて環境破壊が進んでいく中、コロナの影響で経済活動をストップしてみると、大気汚染が解消され、遠くの山々をみることができるほど視界が良好となり、私たち人類は経済活動自体を止めることが「腐海の森」のシステムと同様の効果をもたらすことがわかった年でもあります。

それでも人類は、これから先も経済活動を行い続けて、未来において「火の7日間」が起こることが想定されています。

そんな世界にしたくない
腐海なんか残したくない


その念いから手紙を書いています。

2020年の私たち人類にできることはなんだろう。
世界中がこのまま経済活動を止めることは難しいでしょう。
緩やかに再開しながらも、これまでの止まっていた期間の機会損失を取り戻すかのように、急速にまたアクセルを踏むでしょう。

2020年に「ニューノーマル」という言葉が誕生しました。
不思議な用語ですが、本当の意味の「ニューノーマル」はもう少し先に訪れるような気がします。2020年は、世界が変わったように一見思われますが、実際のところは何も変わっていないからです。

ナウシカにバトンを渡すまでに、まだまだ時間がありますが、どんな形でバトンを渡すのかはまだ何も決まっていません。
わかっていることは、今ここにある世界をなるべく壊さないようにしてバトンを渡して行こうということを必死になって様々な取り組みを行なっているのですが、なかなかうまくいかないことです。

1982年にあなたをモデルにして宮崎駿さんが漫画を描きました。そして1984年に映画になります。
たくさんの方が未来のあなたを知り、未来のあなたたちに何が残せるのかについて真剣に考えました。
宮崎さんが映画を作ってから36年経った2020年。
さらに多くの方に未来のあなたを知ってもらうべく、再度映画館で上映されることになりました。

時代を超えて、あなたというバトンを何度も何度も繰り返して見ることが、私たち人類ができる身近なバトンを渡す形のようです。

中学生だった私が、今年中学生になった息子とあなたの映画を見ています。
私から次の世代へはバトンが繋がったようです。
でも、あなたの映画を見るだけでは本当の意味で繋いだことにはならないこともわかっています。

一人一人が、ナウシカに触れることで、何を感じて何を成すか。
それぞれが多様性を持って小さな小さなバトンがたくさん未来へ送られていくことが大切なことなのだと、今では理解しています。

私が選んだバトンは、書家として「書く」という営みを未来へ残すことです。
人類は話すだけで文字が表示されるシステムを手に入れました。
近い将来には、考えただけで文字として言語化されるシステムを手に入れるでしょう。

そんな時に、「書く」行為が何をもたらすのかについては諸説色々あります。

・書くことで覚えられる
・書くことは脳の活性化につながり、認知症対策になる
・書くことは脳の発達に不可欠である

など、様々ですが、学術的に証明されていること以上に私が書くことを残す意義としては、

「念いを伝える手段として残したい」

ということに尽きます。

手書きで書かれたものは、時間がかかりますから、その時間を費やすことにこそ意味があるように思えるのです。
未来のあなたに、本当は手書きで残したいのですが、今回はnoteで残しています。(すみませんw)
もちろん、手書きの方が、きっとあなたに伝わるはずです。
あなただけでなく、未来の人類に伝わるはずです。

2020年の現時点で、人類は3600年以上前に刻んだ文字を見ることができているのですから。
その時代に生きていた人類の念いが、書いた文字から知ることができているのですから。

もちろん、多くの方々が書に限らず、自分にしかできない、次の世代へ残せるものを残して行きます。繋いでいきます。

ナウシカ。あなたも次の世代へ何かを繋いでいくはずです。

あなたの世代でも、人は争うことを辞めていません。それはとても残念なことですが、さらにその先の未来では、争うことのない世界となっていることを心から願って。

敬具

追伸
今年、ナウシカが使っているマスクをみんなで作りました。夏は暑そうです。。。

ナウシカマスク

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前田鎌利(MAEDA KAMARI)
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