山盛り検索タイム

自然を背景にしてパソコンで作業するのが好きだ。外には広葉樹の山がそびえる。パソコンに疲れたら、山をながめる。風でなびく葉っぱ。葉っぱは徐々に紅葉し、強い風で落葉するのが見える。それに癒されてまたパソコンに目を戻す。こうやって自然を待ち受け画面にして作業している。

最近、パソコンを新しく買い換えようかと思い、CPUやメモリについていろいろ検索している。小学校のころ、家庭教師と一緒にパソコンをつくって以来、あんまりパソコンの内側に魅力を感じたことがなかったが、4K動画の編集が当たり前になったいまでは、今使っているラップトップでは手に負えず、本格的な「脳みそ」を用意しないといけないと切実に感じている。そういうのは、まさにいまこの文章を打ち込んでいる最中、ずっとキーボードの奥からウィーンというモーターの回る音がこれまでよりも大きくなっており、「脳」に違和感を抱えたまま働いているパソコンくん。このままお陀仏になる前に、先にデータを移さなければ、今までの記憶がすべて吹っ飛び、自転車操業中の我が活動も「営業停止」せざるをえなくなってしまう。

それでさまざまに検索するのだが、「脳みそ」は奥が深く、どの組み合わせが自分のベストか、どれだけ調べても最適解が出ない。最後は直感で決めることになりそうだ。だが、答えが出ない間にどんどん知識が増えていく(ついでにパソコンの熱もどんどん上がっていき、もはや微熱ではない)検索して答えを導き出そうとするのには時間が山ほどかかる。そんな簡単に答えにたどりつかない。corei7じゃ足りなそうだけど、corei7もアップデートを繰り返し、質が上がっているみたいだし、i9とサイトでCPU比較しても個人的には差を感じないな。ビデオカードも編集に適したのを選びたいが、CPUも含めて全部好きなのを選ぶためには結局自力でカスタマイズしたほうが早い気がしてきた。あれこれ比較して、「あぁ自分に必要なサイズ感はこれくらいか」と大体わかってくると、最初に調べ始めたころに見ていたサイトがいかに上っ面で、中身がなかったかと感じたりするほど知識がぐっと増える。そうなってくると、だんだん実際に物を見たくなってくる。そう思って秋葉原を検索すると、東映ランドが閉店するニュースが飛び込んできた。

街中に人がやってくることが少なくなって売り上げが減ったらしい。ネットで買えるようになっても、東映ランドのように、ふらふらしているうちに、「いいものあるじゃん!」と発見して買うリアルな喜びを「売り」にしている店は切迫するだろう。

検索は、単なるネット検索だけではなく、こうした「オフライン検索」もまた含まれていて、ネット検索とオフライン検索両方やりまくると、答えが出る前に時間がものすごくかかることになる。

だが、一方でそのプロセスのなかでさまざまな知識を覚えるので、使える知識として定着することが多い。そう思うから、子供たちにもわからないことがあったら検索するように言うのだが、どうもそれには根気がいるようで、検索して自力で答えを導く、あるいは答えに近付く子はあまり多いくない。ただ検索すればいいだけやん、と思うのだが、そう簡単ではないらしい。検索ワードが悪いことに気づかなかったり、あるいは同じサイトをぐるぐる回っているだけで、自分の欲しいと思っている情報が一体なんなのかあやふやなまま調べているようにみえる。

これはダイアローグができていないというのが根本的な問題だろう。一体自分は何を探しているのか?それを見つけ出すためには、まず何を探す必要があるのか?そしてその前に調べておくことは何なのか?

検索できないのなら横に紙とペンを置いて、探しているものをリストアップしていくなどの準備が必要だろうが、どうも子供たちはそれすらも面倒くさがって、ただネット上をサーフィンして、結局目的をどこかに置き去りにしてきてしまうようだ。


検索は自学自習に必要不可欠の能力である。学校のオンライン学習でも検索を重視した教育をおこなってほしいと切に願うのだが、結局願いは願いのままかもしれない。

とりあえず自分に関わる子供たちだけでもこうした検索能力を身につけてもらえるようにしていこうか。そのためにはまずはパソコンを見まくってもしんどくならないように、自然が必要である。

明日も奥多摩で焚き火の会。

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