美味しいパン屋を見つけるのは難しい at 天津
私が日本にいたころ、小さなパン屋であれ、デパートの一角にあるパン屋であれ、どれも一定のレベルを超えたパンであった。
コンビニができてから、適当にソーセージパンやメロンパンを食べても、普通の美味しいパンが食べられる。個人的に言えば、北海道チーズケーキをトースターで焼くのが好きだ。
スーパーのパン屋であれば、明太子フランスパン、ガーリックトースト、ピザパンが好きで、よく食べていた記憶がある。
当たり前のようにそこにあるものをとれば、当たり前の味が確約される。それは成功率100%の確約のようなもので、クリームパンやチョココロネといった数々の美味しいパンを想像することができる。
また、パンを軸に置いた漫画なども出て、日ごろからパンに触れてきたように思える。長いフランスパンを見ながら、これを買う人はどれぐらいいるのだろうかと想像することもあった。
そこから天津に来てみると、どれだけ自分がすごい世界にいたのかを痛感させられる。当たり前が当たり前ではなくなり、そこにあるものは、「パン」と言えるのだろうかと悩んでしまう。
もちろん、今では中国のパン技術は上がり、普通にトーストを食べたり、あん入りロールを美味しく食べることができる。もちろん謎に甘いトーストなどもいまだにあったり、ロシアの黒パンが鎮座したりしているが。
中国でパンを食べようと思うと、大都市のパン屋を除き、日本のパンの想像とは全く違うものが出てくる。一番有名なのが、「肉松」という甘い肉そぼろもどきのものであろう。これが大人気で、パン、寿司などなんでも入れる。これと海苔を合わせたパンが人気のように思える。
学生に聞いてみても、そこまでのこだわりを持っていない人が多かった。学生によっては、日本のコンビニで買うパンがおいしいという声も挙がった。
そうした天津のパン事情の中で、「美味しいパン屋といえば?」という質問でほとんどの確率で取り上げられるのがこのお店である。「岡岡」パンと言われて、「うん?」という疑問が出るのは仕方のないのだが、これが結構おいしい。
クロワッサンに明太子フランスパン、こうしたパンの種類は日本で「日常的に」食べられるパンである。それが、普通に味わえる、それこそが贅沢なのである。
他の店では、「小麦」の味が強かったり、「甘味」が強かったりしてきちんと適正値に入ってこないというのがある。
ただ、このパン屋も「カレーパン」はなかった。日本ではよく食べた揚げたての、もしくはトースターで温めるとサクサクとした食感が味わえる、あの「普通の」カレーパンを中国でも食べてみたい。
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