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【観劇レポ】『ギア-GEAR-』East Version

『ギア』とは。

日本発×日本初のノンバーバル(=言葉に頼らない)パフォーマンス『ギア-GEAR-』。
光や映像と連動したマイム、ブレイクダンス、マジック、ジャグリングによる迫力のパフォーマンスで感動のストーリーを描くと共に、セリフを使わない “ノンバーバル”という演出により、小さなお子さまから大人まで、そして外国の方までもが、言葉の壁を越えて楽しんでいただけます。
『ギア-GEAR-』は大きさや形、色の異なる歯車が噛み合い、大きなうねりを生み出す日本独特の和の文化である「調和」をテーマとして公演を開始。
2019年4月に京都ロングラン8年目に突入、100席限定の劇場で観客動員数20万人を突破しました。

京都の『ギア』公式HPより転載。

京都での成功を経て、2017年12月からイースト(千葉)でも上演が開始し、ロングランを続けていましたが、2019年9月29日の600回公演の節目で長期メンテナンスに入るとのこと。その前に絶対に見ておけと友人に強く勧められたので最終日から二日前になんとか滑り込んできました。

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ほんとのほんとに常設!すごい!!

あらすじ。

人の心が起こす、再生の奇跡

人間型ロボット「ロボロイド」が働き続ける、忘れ去られた古い元おもちゃ工場。
人間が去った今も働き続けるロボロイドたちの前に、かつてこの工場で作られていたおもちゃの人形「ドール」が現れる。
ロボロイドは、異物に対する解析機能を通じて、ドールと触れ合い、ドールが持つ不思議な力により、思わぬ能力を発揮する。
一方、ドールはロボロイドたちとの「遊び」を通じて、少しずつ人間に近づいていく。
そんな楽しそうな時間もつかの間、あることをきっかけに工場が大暴走を起こしてしまう。

そして……

京都の『ギア』公式HPより転載。

演者は5人。「ロボロイド」役の4人と「ドール」役の1人。たった5人...!

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ロボロイド役の4人はそれぞれ、パントマイム、ブレイクダンス、ジャグリング、マジックという特殊な能力を持つ上におそらく身体能力もとても高いのでしょう。効果音も手伝って登場時には本当にぎしぎしいうロボットにしか見えない。そして演出としてうまいと思ったのが最初に完璧なまでのロボット仕草を披露して観客の脳裏に彼らはロボットであるという事実を刻み込むこと。その後のストーリーの盛り上がりによって人間らしさが表出したとしてもすでに組み込まれた観客にはもう彼らはロボットにしか見えないのです。最初の10分くらいしか使われなかった小道具もうまかったですね。

さて、そしてドールとの出会いでスムーズに体が動くようになってからが各パフォーマーの本領発揮です。目が乾くほど凝視してしまいました。圧巻。誰もがソリストでありその場主役であり、そしてサポートに回った際にはそれぞれの見せ場を最大限に盛り上げる。
それぞれの役には何人かのキャストがいるので、この日私が観た5人が常に同じチームとして動いているわけではないでしょう。その日その日で相手も変わる中、その日のチームとしてのまとまり方やあうんの呼吸といったものが出来上がっていて安定感があったことも素晴らしかった。
(どうやら私は身体表現が多い作品に惹かれるのかもしれません)

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そしてやはり特筆しておきたいのがノンバーバル(=言語に頼らない)ということ。

公式の説明でも触れられていますが、年齢問わず楽しめるだけでなく、言語を介さないので、国境も越えることができます。言語という壁が取り払われた瞬間に世界と向き合うことができている。実際に日本人以外の観客もいらっしゃいました。映像と音楽と体を駆使したら言語に頼らなくてもここまで伝わるのです。注意事項以外は日本語を聞きませんでした。

そしてね、『ギア』のノンバーバルって言語には頼らないのだけれどそれは言葉がないんじゃないんですよ。言語としての形をとらないだけで演者が演者の言葉で投げてきたものを観客は観客の言葉で受け取ることができるんです。人形、ロボット、ノンバーバルということでしゃべらないんだなと勝手に油断していた私はあるシーンで涙することになります。正直どうしてそんな展開になっていたのか記憶がない。急展開だったのか、それともあまりの衝撃に感情以外の記憶がかすんでしまったのか。おそらく後者です。
これ以上はこれから見る人のために言いません。

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最後に舞台セットについて。

常設の強みか、やはりかなり作りこまれている...!
可動部の作り方も、映像の差し込み方も。大きい会場ではないし、ものすごく大がかりというものでもない(たぶん。笑)。でも丁寧に作りこまれてそこでそう動かなければいけないのよ、そうなのよ!という納得感に、細やかに作品によりそった舞台設備だと感じます。

ギアが小劇場としての常設の可能性を切り開いてくれているということが、これから作品を作る人たちに及ぼす影響ってすごいことなんじゃないかというこの日感じた想いはいつかまた書きたいと思います。
というか小原啓渡さんにインタビューさせていただきたい…!これを考えて実現された方の思考をもっと知りたいし広めたい…!

いま現在、ギア・イーストは大メンテナンス中ですが、また東に戻ってくるはず。ぜひその時にご自身の目で、耳で、心で確かめてみてください。
京都では今も開催中ですしね。次は京都で観たいかなあ。西と東の違いを楽しむのもよさそう!

ギア・イーストの最新情報はTwitterでご確認くださいね。

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よこやままどか
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