営業する飲食店とメディア
『雇用を守るため』
たびたびこういう言い分で営業しているお店の記事を目にします。
だいたい『従業員を守るため、悲壮な決意で営業せざるをえない店主』みたいな論調になってるんですが、従業員の給料を払うためだったらセーフティーネットは色々あるんですよ。雇用調整助成金を筆頭に、緊急雇用安定助成金、(名前忘れたけど)従業員本人からの申請が可能な休業手当などなど。
それらの制度を使えば給料はほぼ100%、国が払ってくれます。日額上限が15000円くらいだったと思うけど、アルバイトや飲食業社員でこの日額を超えるケースってのはそう多くないでしょう。
制度を知らんとか申請手続きがよく分からんとかは言い訳にならないと思います。確定申告を筆頭に、自営業者の仕事の何割かは申請業務です。役所の説明が分かりにくかろうが、頑張って読んで時には問い合わせ、出すべき書類は出す。それを『分からん』で片付けるのは事業者としての適性が無さすぎる。
ま、営業したいんですよね。今、深夜営業や酒提供すれば確実に儲かるし。
要請だの命令だの曖昧な言葉遊びで商売を制限しようとする行政側にもかなり非はあるので、営業自体は勝手にやればいいんじゃない?というのが個人的な意見。ウチはやりませんが。
ただ、やるんだったら『従業員のため』みたいなカッコいい詭弁で逃げるんじゃなくて、『これが俺の選んだ道だ!黙ってろ!』くらいの覚悟を見せてほしいところです。
あと、なにげに問題なのがこうやって取り上げるメディア。
取材した記者は冒頭のセーフティーネットを知っているんだろうか。
知らないとしたら勉強が足りなさすぎる。
知っていたとしたら何故こういう記事ができあがるのか。店主に対して助成金を使わない理由を問うくらいの取材をした上で、社会問題として提起すべきじゃないのか。
店主に聞いたことを「ふんふん、そうなんすねー」って言ってそのまま記事にするだけって、レベル低すぎやしないか。
それとも、政権批判になればなんでもいいから、そこまで突っ込んだ記事にする必要はないのか?
メディアの凋落っていうのはどうすることもできないだけに歯がゆいものです。