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【トレーディングじゃんけん】カードゲームのプロ、ゲームを作る

有料記事設定をしていますが、全文無料です。開発のご支援をお願いするために有料設定をしております。ご容赦ください。

軽く自己紹介

トレーディングじゃんけんというゲームをリリースしました!

こちらのリンクから遊べます
インストール不要、ユーザー登録不要、広告なし、無料です。

遊んでくれた方はありがとうございます、まだの方はこれからぜひ。

はじめての方のために自己紹介しますと、私、茂里憲之は2021年までMTGのプロカードゲーマーをしており、その後一線のプレイヤーというよりは、ゲームにかかわる体験のための記事書きをやってきました。このnoteでは主にカードゲーム全般で勝つための理論「一般TCG理論」を書いています。

私の名前でぐぐると出てくる画像。写真は紙のカードをやっているところですが、メインはデジタルゲームです。

ゲームに関わる体験をよくすることを考えているうちに、自分でゲーム作るのが一番手っ取り早いのではないか?と考えるようになります。

そうしてできた一作目がトレーディングじゃんけんです!結論から言えば思った以上の反響があり、強いカードゲーマーがたくさん遊んでくれました。悲しいことに初動のアナリティクスは導入失敗していて見れていませんが、3日目でも700人のアクティブユーザーがいました。(一発物のゲームなので、日ごとに減少すると思われます。)

スコアボードで開発者の私が80位しか取れていないことも、ユーザーが面白がってはまってくれたことがわかります。開発者が高すぎるスコアを取ってあっても寒いのではとリリース前は心配しましたが、杞憂でした。

サーバーの無料リソースは4日で尽きたため課金しました。(ゲーム開発を続けたいので、面白いと思ったらこの記事でご支援お願いいたします!)

駆け出し開発者の自分がゲームについて語るのは烏滸がましい気がする一方で、素人が作ったダサくてわかりづらいUIにも拘わらず遊んではまってくれる人がいることは、私のカードゲームのプロとしての経験のおかげであり、それに関しては自信を持って共有する価値があると考えてこの記事を書いています。

この記事ではトレーディングじゃんけんの設計思想について書きます。有料部分に開発の日記です。技術選定や開発プロセスなど、こちらは素人なので参考になる部分は少ないかと思いますが、トレーディングじゃんけんを面白いと思った方や、今後のゲーム制作を応援してくださる方はご支援をお願いします!

じゃんけんっぽいカードゲームがいいに違いないと思ったわけ

最終的には、ガチなDCG(デジタルカードゲーム)を作りたいです。

とはいえ、いきなりShadowverseのようなカッコイイものを作るのは、UIやグラフィックスはもちろんのこと、カードプールやゲームバランスなどの自分の知見の深い分野ですら難しいです。そもそもゲームなんか作ったことがないので何もわかりません。

なので、まずは一回、自分の面白いと思う要素を面白いと思ってくれる人がいるか検証しようというのが起点の開発モチベーションとなっています。ゲームの設計思想としては最小限なもので、しかし自分が作りたいものはしっかり入れるという方針です。

シンプルにすることで開発期間を短くし、早くユーザーの反応を見てモチベーションを維持できるようにする。わかりやすいUIデザインなんかまったくわからないから、そもそものユーザーに理解してもらう要素を可能な限り少なくする。このような思想で、一度出してフィードバックをもらうサイクルの一周目を作って確立するのが目的でした。

簡単にするために、誰でも知っているゲームをベースにしようと思いました。難しいルールをわざわざユーザーに理解してもらうのは大変ですし、そのためのUI, UX設計の知見も一切ないからです。誰でも知っている最も簡単なゲームは何か?じゃんけんに違いない。誰でも知っているじゃんけんをベースに、自分の得意分野であるカードゲームの面白さを持つものを作ることに決めました。

ではカードゲームっぽい要素はどうするか?TCG、トレーディング・カード・ゲームという名前に含まれる「トレーディング、交換する」要素を思いつきました。トレーディングじゃんけんは、はじめグーチョキパー3枚のカードを持ってスタートし、出したカードを相手が出したカードと交換するゲームです。

中には、グーチョキパー以外の特殊カードもあります。

カードゲームの持つ確率的判断の奥深さ、今勝つことと後で勝つことのトレードオフなどの面白さを単純ながら再現できたと考えています。

トレーディングじゃんけんを面白いと確信できたわけ

カードゲームは何が面白いのか?人それぞれ答えがちがうとは思いますが、私はカードゲームは常にアマチュアゲームである判断のゲームという側面が好きです。

カードゲームは練習すると強くなれますが、囲碁や将棋と違い一か月真剣に練習した初心者がベテランに勝ち越すこともできます。これはカードが定期的に追加され、知見のリセットがされるということです。これを解き明かすよろこびが私は何よりも好きです。囲碁将棋もそれで言えば未解明ですが、今最先端に行くには膨大な蓄積をする必要があります。それをせずに問題を解明していく快感を感じられるのがカードゲームであると考えています。

では解明の面白さには何が必要か?
一つ目は問題のある程度の難しさです。ある程度困難でなければ解けてもうれしくありません。これはカードゲームと同じく確率要素を入れることで実現しました。常にこうなるという問題より、確率的に状況が変わる問題のほうが難しいです。
もう一つは、解明過程が面白くてかつはじめやすいものであることです。難しいだけなら数学の問題でもよいでしょう。しかし、簡単にはじめることは数学の問題ではできない人が多いです。カードゲームは強くなくても遊ぶことができます。その中での気づきがあります。よくわからないけどとりあえず遊んでみていたら、なんらかの法則が見えてきて、世界の見え方が変わってくるアハ体験があります。

トレーディングじゃんけんでは、3回連続であいこになると勝ち扱いになります。ではそのうえで、この状況ではどれを出すべきでしょうか?相手の手はランダムで、自分の手を手前から選びます。

まずチョキを出した場合:
1/3で相手はパーを出して勝ち、手はグー・チョキ・パーになります。
2/3で相手はグーを出して負け、手はグー・グー・チョキになります。

ではグーを出す場合:
8/27で相手はグーを三回連続で出して勝ち扱い、手はグー・チョキ・チョキになります。
残りの19/27で相手はそのどこかでパーを出して負け、手はチョキ・チョキ・パーになります。

勝率は一回目でチョキを出す場合の1/3=9/27のほうが、三回連続であいこになる確率8/27より高いです。しかも、勝った時の手がグー・チョキ・パーの三種で取れる選択も多い。ほかの組み合わせはいずれも同じ手二つと別の一つという組み合わせになる。(厳密にはこの組み合わせには強弱があるが無視)

・・・ということを考えるとどちらがよいかわかるが、直感的にはなかなかそれがわからず、目先の確率が2/3のグーを出す人が多い。数字に強いエンジニアの友達でも、「ユーザーの反応を見たいから一回よく考えずにやってみて」と言ったらグーを出した友達もいました。

これは攻略しようとすれば、比較的序盤にある気づきです。なんとなくグーがよさそうと思った人は、一見した直感と正しい選択が違うことに気づくことになります。

プレイ画面。ザリガニはチョキの上位互換、札はパーの上位互換。

また、チョキの上位互換で、グーに負けてパーに勝ち、チョキにも勝つという「ザリガニ」や、全てとあいこになる「バリアー」などの上位手と特殊手を入れています。対戦してそれらの特殊手を含むカードと交換をしながら、5回負けるまでに何回勝てるかを競うゲームです。強いカードを手に入れ、どこで使うかを考えるというカードゲームの醍醐味があるわけです。

あまり開発者が語るのも野暮なのでこれぐらいにしましょう。ぜひご自身でプレイして、気づきを得てください。

単純ながらカードゲームの様々な面白さを込め、面白いゲームにできただろうと思っていました。確信に変わったのは、テストプレイをした友達がハマってくれたことでした。カードゲーマーのコミュニティとエンジニアのコミュニティでテストプレイをしてもらったところ、開発者の私よりも高いスコアを出す友人が複数人現れ、食事がてら目の前でプレイをしてもらったら、友人同士が攻略の議論をし始めたこともありました。自分が作りたいユーザー体験が目の前で起きていたため、これは公開したらウケるぞ!と確信に繋がりました。

これから

冒頭にも書いた通り手ごたえは上々でした。UI、UXデザインはこれから勉強していきますし、技術も勉強します。もしお金にできそうであれば、外注するかもしれません。いずれにせよ、よりよいものづくりをしていきます。

現状、トレーディングじゃんけんは「飽きること」が提供できる最高のユーザー体験です。気づきの経験は、シンプルなゲームでは無限に提供されないからです。気づきと熱中は飽きで終焉します。飽きはネガティブな意味合いで使われる表現ですが、トレーディングじゃんけんに関してはポジティブにとらえています。ユーザーに学習機会を提供するどころか奪い、時間を使わせ続けるゲームより飽きられるゲームのほうが美しいと思います。

とはいえ、新たな気づきの機会による飽きまでの延長や、リセットをカードゲーマーである私は愛しています。トレーディングじゃんけんへのカードやルールの追加によるものになるか、新たなゲームかあるいは別のコンテンツになるかはわかりませんが、今後も気づきの喜びを作りたいと思います。

道半ば、というのも烏滸がましい、道を一歩踏み出しただけではありますが、二歩目三歩目を応援してくださる方は支援をお願いいたします。フォローや拡散も励みになっております。ありがとうございます。

以下有料部分に開発日記を書きます。お値段は1545円、トレーディングじゃんけんを運用しているVercelのProプランの月額20ドルの半分で、購入いただけると半月分のサーバー代になります。

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おもろいこと書くやんけ、ちょっと金投げたるわというあなたの気持ちが最大の報酬 今日という日に彩りをくれてありがとう