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#短編小説

短編 「水の記憶」

短編 「水の記憶」



「結界ごと斬れる業物ってある?」
 と半年ぶりに顔を見せた妹は、口にした。
「それ、大業物だからね」
 店の商品を物色していた彼女は、淡々とこちらを向いた。
「あるの?」
 ない訳ないでしょう、と思ったが口にはしなかった。第一、千年から続く我が家の蔵に何があって、何がないのか、帳簿係の私ですら把握していないのだ。ひょっとして神代の刀が出てきても不思議じゃない。
「何に使うの?」
「うーん、仕

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短編 「私、あなたを好きで好きで好きで、愛しているから、あなた私を愛してくれますか?」

短編 「私、あなたを好きで好きで好きで、愛しているから、あなた私を愛してくれますか?」

1.

 ××くんを妊娠させたい。
 男の子ってレイプされると死んじゃう生き物だから、なるべくやさしく乱暴してあげて、私が君のこと愛してるよって、伝えたい時に殴られるんだって学習させて、痛みを感じるたびに、私の愛を感じられるように、××くんの脳の中の神経配列を組み替えちゃいたい。
 できることなら、××くんの頭の中に手を突っ込んで、よだれと涙をだらだら垂らしながら、あうあうとあえいでいる唇にそっと

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魔女の贄 左

魔女の贄 左

 泉の水はこんこんと湧き出し、陽を浴びて、七色に光る。
 静かな午後、水路を辿り、家へと帰る私は、街のブルーベリータルトを二つ、贅沢して、軽い足取りで森の道を歩いていた。読みかけの本と一杯の紅茶が、この昼下がりを満たしてくれる。
 水路では、持ち主を失くした笹船が堰を越えて、街へと下る。大航海の大冒険、波瀾を横目に、勇者の旅立ちを私は見送る。マストのない小舟でも、森の奥から、おだやかな風が背中を押

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