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【BL二次小説】 ノロケ話⑤終
「靖友くーん!」
悠人が両手を挙げてバタバタと玄関に走って来た。
「エッ?悠人?」
居るはずのない人間が現れ驚く荒北。
悠人は叫んだ。
「靖友くんはエロ過ぎる!!」
「いきなりナニ言ってんだこのガキ!」
ゴン!!
悠人の頭をゲンコツで殴る。
「痛てー」
「そりゃ殴られるよ……」
殴られたとこを押さえ、涙目で背後の新開を振り向く悠人。
「隼人くんの嘘つき!オレの知ってる靖友くんはやっぱりこれだよ!このバイオレンスな靖友くんだよ!」
「ケンカ売ってンのかゴラ。ア?やんのか?ア?」
両拳を構える荒北。
新開は苦笑いしながら答えた。
「ギャップ萌えだよ悠人……」
「はっ!そうか!」
悠人は再び荒北に向き直り、ファイティングポーズの荒北の姿を上から下まで舐め回すように眺めた。
「……この勇ましい靖友くんを力でねじ伏せてアンアン言わせる……」
「ナニ?」
ぼそぼそと何やら呟き出す悠人。
「舌を甘噛みすると“アン”と喘ぐ……」
「なッ!」
「ゆ、悠人!」
「ソファで大股開きで隼人くんを受け入れる……」
「!!」
「ちょ!」
荒北は自分のことを言われているのだと確信した。
「“アア~ンもっとォォ”」
「こ、コイツ……!!」
「悠人やめろ!」
顔を真っ赤にしてワナワナと震え出す荒北。
「靖友くん……はぁはぁ」
「このガキ!勃起してやがる!」
「悠人!」
「オレを男にして!!靖友くん!!」
「うわあァァ!!」
「待て悠人!!」
大興奮して荒北に襲いかかる悠人。
慌てて止めに入る新開。
「靖友くん!靖友くん!」
「ッざけンなマセガキ!てか近けェ!」
「悠人落ち着け!」
玄関で揉み合う3人。
「オレにもデレ北見せて靖友くん!」
「なんだデレ北ってェ!」
「悠人!それは内緒だって!」
荒北は悠人を羽交い締めにして玄関ドアを開けた。
「出てけ!!」
「嫌だ!今夜はここに泊まるんだ!」
「うるせェ帰れクソガキ!」
「嫌だーっ!帰りたくないーっ!」
暴れる悠人を外へ引き摺り出す荒北。
「泊まるー!泊まるー!」
「タクシー!」
キッ。
目の前にタクシーが停まった。
「このガキを箱根学園まで!」
「嫌だーっ!嫌だーっ!」
バタン。
ブロロロ……。
「靖友くーん!隼人くーん!」
泣き叫ぶ悠人を乗せ、タクシーは走り去って行った ──。
「さてと……」
パンパンと手を払いながら部屋に戻ってくる荒北。
「……」
クッションを抱き締めて、ソファで青ざめ震えている新開。
「……オレ達の関係、誰にも秘密って、決めたはずだったよなァ、新開チャン……」
冷たい表情で新開を見下ろす。
「きゅっ、急に来たんだ!目を離した隙に寝室を見られて……」
怯えながら弁解する新開。
「オレ達のセックスライフを事細かにベラッベラとォ……」
指をポキポキと鳴らす荒北。
「お、おめさんの魅力を語り出したら止まらなくなって……!」
「ガキに聞かせる内容じゃねェよなァ……」
「ノロケ話したかったんだよ!ごめんよ靖友!ごめん!」
荒北はクルッと背を向けて言った。
「もうオメーはソファで独りで寝ろ。これからずっとだ」
「えっっ!!」
リビングを出ていく荒北。
「そっ!そんな!」
愕然とする新開。
「オレ!おめさんの温もりが無いと眠れねぇのに!」
バタン。
ガチャ。
荒北は一人で寝室に入り、鍵をかけた。
「靖友!許して靖友!靖友ぉーーっ!」
シクシクと涙を流しながらソファに横たわる新開。
なぜこんなことになってしまったのだろう。
どこで展開を間違えたのだろう。
荒北の居ないリビングは、ガランと広く、寒々しい。
反省文を何枚書いたら荒北は許してくれるのだろうか。
新開はいつまでもいつまでも後悔していた ──。
おしまい
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