【BL二次小説】 ノロケ話③
「ど、どんなって……」
「やっぱり、舌入れたりするの?」
あまりに直球でグイグイ来る悠人に怯む新開。
「そ、そりゃあ、な。恋人同士だし」
「すげー!」
目を輝かせる悠人。
「ディープキスするとさ、とろけちゃうって、ホント?」
「う……」
経験者からの体験談を聞きたくてしょうがない。
弟のその純粋さに新開は圧倒された。
「そ、そうだなぁ……」
新開はディープキスしている間の荒北の様子を思い浮かべた。
「うん……確かにとろけちゃってるな靖友」
「すげー!」
「そういえば初めてディープキスした時に……」
「うんうん!」
当時の事を思い出す新開。
前のめりになる悠人。
「靖友、なんか膝ガクガクになっちゃってさ。必死でオレの袖にしがみついてきて。それをオレがこう背中に手を回して支えて……」
「マジ!?すげー!すげー!」
キラキラとした目で興奮して聞いている悠人。
そんな姿を見ていると、新開もついつい、詳しく語ってあげなくてはという気になってしまう。
「靖友はさ。舌を甘噛みされるのが好きなんだ」
「舌を甘噛み!?」
「舌を舌で誘い出して、軽く噛むんだ。すると“アン”って、喘ぐんだよな。それが可愛くて可愛くて」
「す、すげー!靖友くん、すげー!」
やはり体験談は想像の域を超える。
悠人は鼻息を荒くした。
「でも……信じられないな」
前のめりになっていた悠人が、急にボフッとソファに深く座り直し天井を見上げた。
「え?何が?」
「だってさ。あの靖友くんだよ?あの野獣と呼ばれて恐れられているバイオレンスな靖友くんが、そんな可愛くなるなんて……」
「悠人」
なんだそんな事か、というように新開は微笑んだ。
「そこがたまらないんじゃないか。オレだけに見せてくれる誰も知らない靖友の可愛い面。……だけど、オレは気付いてたよ。付き合う前から、靖友にはそういう面があるって」
「ギャップ萌え!?」
「そう!」
兄弟はお互いにバキュンポーズをしてアハハと笑い声をあげた。
「てゆーかさ、そもそもどっちなの?」
「どっちって?」
「どっちが上?……タチとかネコとか言うんでしょ?攻め受けだっけ?」
「ああ……」
当然の疑問である。
同性の場合、どうなるのだろう。
新開は答えた。
「オレが攻めだよ。靖友が受け」
「そうなの?でも、イメージ的に靖友くんの方が攻めっぽくない?」
「そこもギャップ萌えだよ。想像してごらん。あの勇ましい靖友を力でねじ伏せてアンアン言わせるのがもう……」
「おおお!なるほど!」
だんだん理解が深まってきた悠人。
「最初どうやって決めたの?ジャンケンとか?」
「いや……自然にそうなってたけどな」
「たまには交代したりするの?」
「いや、しないよ。靖友が上に乗る時でも受けだし。それで揉めたことは一度も無いな」
「へ~」
「でもこれはカップルそれぞれだと思うよ。うちはたまたま上手く収まったんだろう」
「そうなんだー」
結構重要なことだと思う。
自分だったらどっちになるのだろう。
悠人は考えた。
「受けってどんなんだろ。想像出来ないな。ホントに気持ちいいのかな」
「オレも経験無いからわからないけど……靖友の様子を見てる限り、かなり気持ち良さそうだぜ」
「マジ?どんなふうに?」
「そりゃもう、“アア~ン新開ィィもっとォォ”って大声あげるぐらい」
「すげー!」
悠人はヨダレが出そうになり、慌てて口を拭った。
「でもそれじゃ、隣に声が漏れちゃわない?」
「悠人」
新開はニヤリと笑い、ウインクした。
「アパートとマンションの違いは何か知ってるかい?」
「え?わかんない」
「隣に声が聞こえるか聞こえないか、だよ」
「そうなの!?マンションは聞こえないの!?」
驚く悠人。
「箱学寮の頃は苦労したからなぁ。枕を口に当てたりさ。だから、卒業したら絶対マンションに住もうな、って二人で決めてたんだ」
「ヒュウ!さすが!」
兄から聞く話は勉強になる事ばかりだ。
悠人はもっともっと聞きたくなった。