【BL二次小説(R18)】 共に堕ちて⑯終
「それはそうと」
東堂はニヤリとして言った。
「聞いたぞ。貴様ら、怠けて闇カジノに入り浸っていたそうだな」
「勝手に話デカくすんナ。ただのパチンコ屋だ」
「尽八まで知ってるのか。参ったな」
「先月突然フクから連絡をもらってな。貴様らの話をした後、オレをスカウトしたのだ。フクは言っていたぞ。……貴様らは必ず入団テストを受けに来る、とな」
「!福ちゃんが……!!」
「それ、ホントかい!?」
衝撃を受ける二人。
東堂は両手を大きく広げて言った。
「これがどういう意味かわかるか!フクはな!壮大な計画を立ち上げたのだ!わははは!」
「壮大な計画?」
「勿体ぶってねェで早く言えバカ」
「チーム箱学再結成だ!!」
「!!」
「!!」
チーム箱学再結成 ──!
そんな夢のような計画を。
あの福富が。
二人は信じられないという表情で互いに顔を見合わせる。
「実はオレは海外のチームに内定していたのだ!しかしそれを蹴り!フクの計画に乗った!なぜなら!チーム箱学はオレの存在無くしては成立し得オイ聞いているのか貴様らどこへ行く!」
東堂に背を向け門をくぐろうとしている二人を慌てて呼び止める。
「聞け!……フクはな。ずっと貴様たちと同じ思いだったのだ」
「エ……?」
「同じって?」
東堂は真面目な顔で語り出す。
「フクもずっと……箱学の頃の栄光が忘れられなかったのだよ」
「!」
「!」
「しかし不器用な男だ。そんな気持ちを表に出すわけにはいかず、ずっと悩んでいた。隼人が引退してしまった時は相当落胆したそうだ」
「寿一が……!」
当時は自分の事だけで頭がいっぱいで、福富の気持ちまで考えている余裕などなかった。
新開はそんな自分を恥じる。
東堂は荒北の方を向いて言う。
「フクはこうも言っていた。“オレのアシストは荒北にしか出来ない”とな」
「!!」
驚く荒北。
「……福ちゃん……!」
荒北の頬をツーと涙が一筋流れた。
それを見て、新開は荒北の肩を優しく抱く。
「フクは貴様らと先月パチンコ屋で会った時に、貴様らの思いが自分と全く同じだった事を知り、今回の再結成を決意したそうだ。あとは入団テストの場を用意してやれば、貴様らはきっと自発的にやる気を起こしてくれるに違いない、とな」
「エ……?じゃアあの時オレ達を突き放したのァ奮起させる為にワザと……?」
「ははっ。完全に読まれてたな」
東堂は続ける。
「速いだけの選手など腐るほど居る。しかし、ロードはチームスポーツだ。重要なのは、呼吸だ。誰とでも組めるわけではない。……オレもずっと、貴様たちと同じ思いだったのだよ」
「べつにオメーは居なくてもイイ」
「ヒルクライムは除外出来るしな」
「ふふふ……そんな事を言っていると、極秘情報を教えてやらんぞ」
不敵な笑みを浮かべる東堂。
「なンだ早く言え」
「言いたくてウズウズしてるくせに」
東堂は腰に手を当て、極秘情報を大声で言った。
「フクが言っていた!来年は泉田と黒田をスカウトする!再来年は真波だ!とな!」
「マ……!マジかよ!!」
「それじゃホントに……チーム箱学そのものじゃないか!!」
驚愕する二人。
「黒田は当時のIHメンバーではないが、黒田と泉田はセットの方が実力を発揮出来るからな。きっと後輩共もみんな同じ思いだろうよ!わははは!!」
高笑いする東堂。
「更にフクの野望は止まらんぞ!」
「まだあンのかヨ!」
「早く教えてくれ!」
前のめりになる二人。
東堂は天に向かって指を差して宣言した。
「フクの目標はチーム箱学の日本一!そして最終目標は、世界一だ!!ふわーっはっはっはっはっ!!」
「世界一……!」
二人はゴクリと唾を飲み込んだ。
「意外と……無謀な話でもないかもしれないぜ」
「アア……。チーム箱学なら、可能性はある……!!」
顔を見合せ、武者震いする二人。
「うおおオォォォォーーっ!テンション上がってきたあアアァァ!!」
両拳を握り、雄叫びをあげる荒北。
「ああ!まずは入団テストをクリアしようぜ!」
「ィよっしゃアア!どんな手を使ってでも受かってやるぜェェ!!」
「コラ反則はいかんぞ荒北!待て!オレを置いて行くな貴様ら!」
門をくぐり意気揚々と中へ突入する二人を、東堂は慌てて追いかけた。
箱学を卒業して数年。
4人の思いはずっと同じだった。
チーム箱学再結成!
このドリームチームが世界を制覇する日は、きっとやってくる ──!
おしまい
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