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秋の話 3 「公園の道」
「去年は歩いてない」と、君が言った。去年の秋は行ってない。あの、公園の道。「この間の春は歩いたけど」と言う。
じゃあ、僕の記憶はいいかげんだから、やっぱり君が必要だなって笑う。
「気持ちを憶えていてくれるから」
それでいいんだって。そうだといいけどなあ。
まあ、なんでもいいからいっしょにいさせてよ。僕も君もお互いに必要なんだって、思っていたいんだよ。
ほんとうは違ってもさ。
もうそろそろ寒くなる。雪が降ることにいつまでも慣れない。ちゃんとした冬用のコートがあったほうがいいって言って、結局買ってない。外になんか行かなくていい、家にいればいいって言う。君は僕より寒さに強い。じゃあ、くっついて歩けば寒くないよ。
「しないくせに」だって。そのとおりだなあ…。
ならんで歩く。
ひとりで先に行っても、何かに気を取られて遅れても、とくに気にしない。そういう距離で、君と歩く。
冬の公園には、あんまり行ってないな。今度の冬は歩いてみようか。きっと、腕を組んで歩いたりはしないだろうけど。
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