見出し画像

メガベンチャーにいたプロダクトマネージャーがプロダクトの無い20人足らずのスタートアップに転生してもプロダクトマネジメントのスキルを使ってなんとかやっていけそうです。

地味PM meetupのアドベントカレンダー 4日目の記事ために初めてnoteを書く @madai0517 といいます。

今回VALT JAPAN(株)に転生転職したので入社エントリも兼ねて地味な活動を紹介していきたいと思います。
異世界転生モノのラノベ風タイトルが先に思いついてしまったので、タイトルに無理やりこじつけている内容になっています。
くれぐれも真剣には読まず、時間が余っているときにお好きな音楽でも聴きながら流し読みしてもらえると幸いです。

自己紹介

氏名:
  坂上 真大
  「まさとも」ですが読めないので「マダイ」と呼ばれています。
  なのでプロフィール画像は鯛のイラストになっています。
SNS:
  madai0517
略歴:
  株式会社LIFULL、じげんでエンジニアやってました。
  その後独立してフリーランスとして約10年活動した後、ラクスル株式会社で
  正社員としてプレイングマネージャーの形でプロダクト開発部長をやっていました。

  現在はVALT JAPANという障害者雇用のスタートアップで
  採用、コーポレート部門のサポート、カルチャー作り、情シス、業務改善などをやっている
  いちProduct Managerです。

VALT JAPAN(株)という会社について

ここでご存じない方が大半だと思うので簡単にVALT JAPANという会社の紹介をさせていただきます。
全国に約1,500万人いるという就労困難者、そして約950万人の障害者手帳受給者の方々が大活躍できる社会を作るというビジョンのもとNEXT HEROというBPO事業を展開しています。

https://www.valt-japan.com/

障害者の法定雇用率を達成している民間企業は半分に満たない48%だったり、月の平均賃金(工賃)はわずか1.5万円程度しかなかったりという社会課題の解決に取り組んでいる企業です。

詳しい詳細は代表の小野がIVS2020 NASU LAUNCHPAD で登壇した際の動画を御覧ください。(小野のところから始まります)


さて、ここからは私が入社から現在までの1ヶ月ちょっとの間で取り組んできた内容と、その中でプロダクトマネジメントのスキルや経験がどのように活かせたのかについて紹介させていただきます。

入社前

当然ですが入社の意思決定前はVALT JAPANも含めオファーいただいた会社さんについて自分なりに調査しました。
取り組もうとしている社会課題の内容、資金調達のニュース、現在の組織体制やその説明から感じ取る内部の状態…果てはGoogle Mapにある口コミの内容にまで全て目を通しました。ときには追加でお時間をいただいて質問させていただくこともありました。

これらの情報に対し、抽象化したり具体化したり角度を変えてみたりしながら他の会社さんも含めて整理しましたが、ここではユーザーリサーチユーザーインタビューの経験が活きたと思います。

なお、オファーいただいた会社さんにはオファー面談中やオファー後も含めこれらに対して真摯に応えていただき、どの会社に入っても働くイメージが持てる段階にまで落とし込むことができました。
この場を借りて改めて皆様にはお礼と、私からの出来る限りの応援(Twitterで拡散したり転職しようとしている人がいたら紹介するくらいですが)を今後もしていきたいなと思っています。

どの会社さんもとても良い印象で具体的に働くイメージが持てた分、意思決定には相当悩みましたが決断のポイントは友人からの一言でした。

「坂上さんが選ばなかった会社には他の人が働くことになるけど、他の人に譲れない会社はどこ?」

私自身が障害者手帳を持つ子供の親であること(うちの子供は370gで生まれた超低出生体重児で自閉症が強く出ております)、
そしてこの障害者雇用の分野で頑張っている企業が「ホントに事業成長できるの?社内体制大丈夫?他に熱量持って取り組める人いる?」と考えた結果、この環境で身を粉にして取り組めるのは自分しかいないと決断し一番オファー条件の悪い(笑) VALT JAPANに入社しました。

振り返ってみるとプロダクトマネージャーはなんでも屋になりがちだからこそ、プロダクトマネージャーしかできないことを意識しなければならないということだなぁと思います。

入社初日

オンボードについては正直全く期待していませんでした。
20名そこそこのスタートアップでオンボード用のプログラムが用意されていることはないだろうし、自分で考えていかなきゃいけない。
そもそもドキュメントすら無く、社内制度でさえもどこまで整っているかも怪しいものだと思っていましたし、初日から放り出されるだろうなというつもりでいました。

実際確かにオンボードについては何もなく、自ら考えていかなければならない状況だったので今現在社内プロジェクトとして整えている段階ではありますが、一方でコーポレート部門によって下記スクショのようにきちんと分かりやすいドキュメントが用意されていました。
コーポレート部門は会社の土台だと思っているので「この規模・この時期のスタートアップでここまでコーポレートが頑張っているならいける!」と思ったことを覚えています。

この事例ではプロダクトマネージャーがよくやる期待値コントロールがうまくいったケースですね。(どんだけ低く設定してたんだという話は置いといて)
なお余談ですが、地味PM meetupの第二回でLTさせていただいた際にはめちゃくちゃ時間オーバーすることがわかっていたので冒頭で「時間超えます!すみません!」と謝罪することで同じように期待値コントロール?をさせていただきました。
本記事の冒頭でもやっています。たぶん癖です。悪い癖です。良い子は絶対に真似しないように。

最初の取り組み

前述の通りオンボードプログラムは無かったので、自己紹介をしつつ、今この会社はどういう健康状態にあるのかを知るために最初の2週間は全社員と1on1をさせてもらいました。

そもそも「プロダクトマネージャーって言葉をはじめて聞きました。エンジニアなんですか?」という質問が来るくらいITの世界における「プロダクト」というものへの解像度が低い状態だったので、
「コストを削減していくものをシステム、それ自体で売上を上げられるものをプロダクトと考えてみてください。そのプロダクトの方向性を定めていく仕事なんですよー」と説明していたのを覚えています。

この辺は事前に @kakomoe3 さんのオンボードされる側に関するこちらの記事が、自分のことをどう伝えるか?など準備の参考になりました。

また、この1on1では自己紹介が目的ではなく会社の現状把握が目的だったので、自分でしゃべるよりも皆さんにしゃべってもらうために先程のユーザーインタビューの経験もそうですが特に積極的傾聴を意識して取り組んでいました。

積極的傾聴について簡単に紹介すると、受身的に相手の話すことを聞くのではなく質問や言い換えなど聴き手からも発言することによってより深いコミュニケーションに取り組むことです。

  • 共感的理解

  • 無条件の肯定的関心

  • 自己一致

というロジャーズの3原則があるので、興味のある方は調べてみてください。

その結果、だいたいカレンダー上では30分で1on1の予定組むのですが1時間以上話すことが多く、社員皆さんとの最初の関係値作りと現状把握がうまくできたかなと思っています。

※余談ですがこの「最初にみんなと1on1をする」は今後社内のオンボードプログラムに組み込まれることになりました。

課題整理

皆さんと1on1をすることでわかった現在の会社の課題に対し、当然整理を行っていきました。
この課題整理に関してはプロダクトマネージャーは常にプロダクトバックログ構築のために日々やっていることなので、私めが今さら述べたところで…というところではありますが、簡単に書くと

  • 抽象化

  • 集約

  • 構造化

  • 優先順位付け

の順に取り組んでいます。(収集は1on1で終わったので)

整理した課題は経営陣とのMTGで展開し、解決に向けどのように実行していくかをすり合わせて合意形成していきました。

ここで注意していたのは合意形成後の実行にあたって経営陣との方向性のズレが生じないようにすることでした。
勝手にやって進めていった結果「違う、そうじゃない」となるのは非常に困るので、代表の小野とは毎週2日(今では頻度増えて2日に1回)1時間の1on1をやるようにしています。

なんか好きでよくこの画像使ってます

計画

整理し合意形成できたところで計画と実行に移っていきます。
ここで出てくるのはロードマップです。
本アドベントカレンダーでも初日に @_nagacy さんからロードマップに関する良記事が出ていました。
述べたいことはほぼほぼ書かれているのでここではいまさら詳細語れません。こちらの記事を必ず読んでください。

いまのところ私がVALT JAPANで作ったロードマップは経営陣向け、のべちょるというECサイトがあるのでそのステークホルダー向けの2つになります。よって抽象度はかなり高めにしています。

せっかくなので私がよくやっているテクニック的なことを書くと、抽象度高めのロードマップのときはパワポ(スライド)1枚で納まるレベルを意識して作っています。
また、記載する内容は短期・中期・長期の時間軸において、対象とするものがどういう状態になっていくかを記載するようにしています。
5W1Hで言うWhenとWhereでマトリクス表を作るようなイメージです。

これによって状態変化のベクトルが可視化され、認識の齟齬が無くなったりメンバーからアイディアを求めやすくなる効果があります。
(これに限らず自分は様々な場面でベクトルを可視化するということを結構意識して取り組んでいます。ベクトル習ったことないけど)

追記
このベクトルというやつは「ストーリーとしての競争戦略」という本で以下のように紹介されている一文がとてもわかりやすかったです。

戦略を構成する要素がかみあって、全体としてゴールに向かって動いていくイメージが動画のように見えてくる。全体の動きと流れが生き生きと浮かび上がってくる。これが「ストーリーがある」ということです。

楠木 建. ストーリーとしての競争戦略 (Hitotsubashi Business Review Books) (Japanese Edition) . 東洋経済新報社.

実行

あとはやるだけ…なのですが、スタートアップだからというわけではなく今までやれていなかったところなのでたいてい人手が足りません。
よって自ら実行していったり、旗振り役になって協力を仰いだりしながら推進していっている今真っ最中という感じです。

ここで重視しているのは

  • 現場と経営陣のハブになること

  • 自ら姿勢を見せること

  • 自分に続く2人目が出現するように応援すること

です。
職場におけるいろんな人のハブになることが多いプロダクトマネージャーにとっては慣れたものですね。
ここでのコミュニケーションで意識していることは

  • (先程も出てきたように)ベクトルを可視化して伝えること

  • Whyを伝えること

です。
Whyについては手前味噌ですが以前、Subway Map to Agile Practices縛りのLT会でユーザーストーリーに関するLTをやったときにValueまで明示するということを発表しているように、価値にフォーカスした会話をするよう心がけています。

残りの2つはリーダーシップの話かなと思うので(長文に疲れてきたこともあって)ここでは詳細割愛させてもらいます。

また実行中は(組織が整っていない状況では特に)様々な隙間がうまれ、ボールが落ちやすくなっているので、積極的に自分が拾うようにしています。
※その結果、採用・情シス・会議体設計・オンボードプログラム構築・カルチャー作り・業務改善などなどを現在やっております。

この辺のスタンスについては地味PM meetup第一回の久津さんによる発表内容に完全同意しかなく↓のスライド以外に特に語れることが無いのでそちらを御覧ください。

その他に組織のモメンタムを上げるためにやったこと

一旦以上になります。長かった…
既に十分な文章量になったと思うのでその他に取り組んできた更に地味な活動を紹介して本記事を締めたいと思います。
(最初こっちの内容で記事を書くつもりでした)

  • Slack絵文字を大量に追加する

    • 100個くらいしかなかった絵文字を現在600個まで増やしました

    • 3万個くらいダウンロードできるものもありましたが、内容の精査が必要なので敢えて絞っています

      • シモネタ、嘲笑系、罵倒系のものが入っている場合もあるので

  • 現場に行って全員と飲みニケーションする

    • 1on1とともに入社2週間以内にこれができたのは結構大きかったと思います。

  • いまはプロダクトを立ち上げる時期ではないと決断する

    • 今やってもプロダクトアウトになるのでダメです。今はエンジニアも採用しません、とゴリ押し説明しました。

  • 各アカウントの棚卸し

    • SaaS系サービスのアカウントが無駄に残っていたりしたので…

  • オフィス移転の準備

    • 弊社、東京本社の他に仙台支社と福岡支社があるのですがそれぞれの移転準備を進めています。

  • サービスブループリントの作成

    • 業務フローをMiroで整理してどこに課題があるのか、誰に負担がかかっているのか、今後どうしていくのかを議論しています。

  • 事業戦略の図式化

    • 企業だけでなく行政機関が絡むこともあるのでステークホルダーを整理したり、どこの仕組みを変えれば世界はもっとよくなるのかを考えたりしています。

  • 完璧を目指さない

    • アウトラインはしっかり定めますが「まずやってみよう」の精神で取り組んでいます。

  • とにかくSlackで盛り上げ系の反応をする

    • そろそろ「おじさんウザい」「無理してるなぁ」と思われているかもしれません。だが、それで良い。

  • とにかく言語化する

    • 言語化とは図解化であるという信念のもとに、テキストだけではなく図にすることを重視しています。百は一見にしかず。

      • にしてはこの記事に図が全くないですが…

  • とにかく代表の小野をイジる

    • これは自分のポリシーとして立場が上の人をイジるということを心がけています。

      • 上から下へのイジりはイジメになる可能性を含んでいますが、下からであれば親しみに変わるので。

      • 年齢的に・立場的に自分が上になることが多いので自分イジりも増えています。

    • とはいえ小野さんの懐の広さにはいつも助けられていますいやマジで。

  • とにかく明るく振る舞う

    • よく笑顔を出すようにしています。胡散臭い笑いと思われないように顔を「クシャッ」とすることを意識しています。

  • とにかく最後は「まー大丈夫っすよ」「まぁ、なんとかなるでしょ」で締める

    • 同僚が見てたら疑われそうですが、予想の範疇に収まっているので本当になんとかなるとに思っていますよ?半年後、1年後にご期待ください。

最後にあるこの「締め」に関連して地味PM meetup 第二回の @_mmakiyama さんの記事でとても大事なことが書かれているのでこちらもご覧になってください。

私の記事は以上になります。
引き続き地味PM Advent Calendar 2022をお楽しみください。
それではまた。

追記:参考書籍

今回いろいろとアクションを起こしていくにあたって参考にした2冊の書籍を紹介します。

こちらは今のVALT JAPANという組織が初めて経験するようなアクションを自分発信で今後取っていくぞ、という覚悟を支えてくれるような内容でした。もうタイトルだけで心強い。

こちらは言いっぱなしにならないように、自分も含めてみんなで実行に移していくために、そして継続していくためには具体的にどういう視点・考え方・手法があるのかを学ばせてもらいました。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集