アジア生活者の健康意識に関する調査レポート
アジア各国では経済の成長と共に一人当たりの医療費が増加し、各政府は国民の健康状態の改善・維持を重要課題と捉え、健康増進政策に前向きです。昨今では身体面だけでなく、コロナ禍の影響で精神面の健康も重視されています。
このような背景を踏まえ、当社グローバルリサーチチームがアジア(日本・中国・台湾・韓国・タイ・ベトナム・インドネシア)で調査を実施。今回はトピックスを抜粋してご紹介します。
1. 健康意識は、東南アジア(ベトナム、インドネシア、タイ)で高い傾向
アジア各国の健康意識の高さについて、“健康関心度”と“健康に関する情報収集意識”の2つの質問から見てみます。 「とても関心がある」と回答した人の比率が高かったのは、「ベトナム」「インドネシア」 「タイ」で、他の国・地域に比べると突出していることが分かりました。「日本」は他の国・地域に比べて低い結果となっています。【図1・図2】
この背景に、日本は東南アジア3カ国に比べて経済が成熟し、生活・食環境が整えられていることが挙げられます。日本では“健康は当たり前”と捉えられているため、よほどのことを行わない限り自身では健康意識が高いとは思わない人が多く、一方の東南アジアでは近年の経済発展と共に健康に対する意識・欲求が強まっているようです。
2. 新型コロナによる生活変化がメンタルヘルスに影響。台湾・韓国・インドネシアでは将来への不安も影響
メンタルヘルスの観点から、アジア各国の生活者のストレスについて見ていきます。
最近1カ月間に感じたストレスについて尋ねたところ、「台湾」や「韓国」では、「落ち着かない」「イライラしている」や「何をするのも面倒」と感じた人が多く、一方で「日本」と「中国」は半数が「特になかった」と回答し、ストレスを感じている人の割合がその他の国よりも比較的少ないことが分かりました。【図は非表示】
ストレスを感じるシーンでは、「コロナによる社会、ライフスタイルの変化」が全国・地域で高く、また、 「台湾」「韓国」「インドネシア」では将来や健康状態など「自身の不安」が相対的に高いことが分かりました。【図3】
3. アジア各国共通で「ストレス度が高いと、持病が無くても体調は悪い」
ストレス度と健康状態の相関関係を国・地域別に見ると、いずれの国・地域においても、「ストレス度が低い程、健康状態は良い」「ストレス度が高い程、持病がなくても健康状態が良くない」という傾向が明らかになりました。 【図4】
ストレスの感じ方には個人差があるものの、ストレスを感じることで体調不良を感じる生活者が多く、今後アジア地域では、メンタルケアの重要性が高まっていくと考えられます。
4. 「食と健康」の関連が強く、韓国・ベトナム・タイは「美容と健康」、中国は「利便性と健康」
健康意識について8つのセグメンテーション【図5】を導き出し、傾向を分析しました。
「Food」セグメントはいずれの国・地域でも大きな割合を占め、食と健康の関連性の高さがうかがえます。韓国、ベトナム、タイでは「Beauty」セグメントが2割を超え、美容と健康を結び付けて考える人が他の国・地域よりも多い点が特徴的です。中国では、利便性を求める「Convenience」セグメントが多く、健康のために我慢や無理をしたくない、他調査項目でも、健康器具・家電を利用したいという生活者が多いことも今回の調査結果で分かりました。【図6】
当調査レポートについて、当社グローバルリサーチチーム 長谷川恵介のnoteで詳細解説記事を公開予定です。アカウントはこちら。