I am a Comedian
現在NY在住のウーマンラッシュアワー村本大輔さんに単身渡米までの3年間密着したドキュメンタリーが本作。
熊本での上映2日目、舞台挨拶があるという。それでも、もともと観るつもりはなかったが舞台挨拶が終わったあと、独演会があるらしい。ある意味、その舞台挨拶も独演会の一部。ならば映画作品も観らんと。
2019年にはじめて行ってからその後何度か村本さんの独演会に行った。渡米前最後の独演会終了後、「帰って来たらまた、必ず熊本来てくださいね」そう伝えたことを彼は覚えているだろうか。
ちゃんとまた、来てくれた。覚えていようがいまいがそんなことは関係ない。
舞台挨拶では3年居るつもりで行ったが昨今の円安で貯金が早くも半分になったと、“出稼ぎ”に来た経緯を語っておられた。熊本での独演会はソールドアウト、映画も盛況。全国各地で同じ状況。
熊本地震の直後、相方の中川パラダイスと共に熊本・益城町を訪れた時の様子も映し出される。コンビでネタを披露しているそのシーンでちょっとだけじんわり。
炎上芸人とかおもしろくないとか世間一般では言われているけど、そんな人間が渡米前に渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)をフルハウスにするのは痛快。
ご両親や幼馴染とのシーン。パーソナルな部分もちょっとだけ伺い知れた、なんてわかったようなことをいうつもりはない。
韓国で現地の若い世代との対話。その経緯を質問されて、実際に(現地が)どうなのか?が知りたかったと村本さんはいった。行動力の源には好奇心がある。
今回の渡米にしてもそうだ。スタンダップ・コメディの本場でどれだけ通用するか。その好奇心、そして向上心。
村本さんが扱うネタはとてもデリケートでセンシティブ。それゆえ“テレビ向け”ではないことが多い。
「テレビから消えた男」との副題もあるが、自分から離れていったんじゃないか?といっていたのは、映画好きならお馴染み、同じ芸人の大島育由(やすおき)さんだ。
テレビサイズの芸人ではないな、と僕も思っていた。
ご本人も“イジって”いたけど、『ドキュメンタリー』とか『情熱大陸』が密着していてもいい、そんな良質なドキュメンタリー映画。
そう遠くない将来、流暢な英語でメモを見ずにニューヨーカーの爆笑をかっている姿を見られるだろう。いや、現在もメモ見ながらカタコトの英語でウケてるんだぜ。凄くない?
「(テレビに出ている芸人)アイツらはタレント。俺はコメディアンだから」
自身の父に対して語ったこの一言、一お笑い好きでも考えさせられる。
カヴァー画像 撮影:Makoto Sakaguchi(写真下手クソか!!)
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