【つぶやき詩】「PERFECT DAYS 公園にて」
時折 コーヒー豆を焼く匂いが漂ってくる
下町ながら ポツポツと
おしゃれな店がある このエリア
小さな公園のベンチに僕は座る
近くのスーパーで買ったサンドウィッチなど
飲み物と合わせて500、600円 時に700円
そんなものを食べる
空を見上げる
とうに 夏の空ではない
きょうは薄曇り
隣の小学校から
おせじにも うまいとはいえない楽器の音
それが聞こえなくなった―
すると 体育館から子供らの喚声が聞こえる
公園にはいつものように
離れたベンチごと
一人ひとりが 「自分の時」を過ごす
午後1時を過ぎ 人はそれでも何人かはいて
僕と同じように
遅い昼休みを とっている
午前の仕事はどうでした?
叱られず 難くせつけられることなく
平穏にすみましたか?
そう問いたくなる
自分が瑣末なことで叱られたから
このトシでもそうなんだよな
叱られるのだ このトシになっても
相手を さぞイラつかせたのだろう
女上司は「イラッとくんだよね」と吐き捨てた
ごめんね ごめんね
と軽く まじめに謝ることもなく
その場をやりすごす
そんな僕の内心は すっかり読み取られ
「あんた 何度言ってもできないね」
と言われるのだ
スーパーで
「カードを作りませんか
きょうはポイント3倍です」
そうもちかけられてポイントカードを作った
さっきそれを 初めて使った
レジの女は
先日カードを勧めた人だった
昼食用のサンドウィッチなど 700円ちょっとを買う
支払い時にカードを出し
「これってあんまり使えるところないんだよね」
と僕は言ってみる
彼女は
「チリも積もれば―ですよ」
と
ほほ笑んでみせる
おねえさん 客あしらいうまいね
そう 言いたくなった 言わなかったが
軽い笑い声をあげた僕は
彼女の「接客」に学ぶべきだろう
日々これ勉強
我以外みな我が師
謙虚な姿勢―
そんなの 今から持てないよ
ムリむり無理
今
「この仕事」にしがみつく要はなし
ただ
他人はいろんなことを教えてくれる
聞きもしないのに 教えてくれる
右から左に抜けてゆくのだけれど
それが 我が身に届き残ることもある
ああ また
コーヒー豆を焼く匂いだ
そろそろ職場に戻ろう