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「あの小説を読んでおけ」
巨大な男である
不健康 いや病的肥満の男が
暗い 腐敗臭が漂うような部屋で生活する
太り過ぎて動くこともできない
オンラインで講義を行い
時々来るアジア系の女性看護師
と
ピザの配達人だけが
外との世界をつなぐ
ピザの配達人とは顔も合わせず
ポストの中の金を持っていかせる
しかし
彼は自身の死期を悟っている
大学で文学を教えるインテリなのだ
暗い狭い空間で
きっとさまざまなことを
考えめぐらすのだろう
メルビルの「白鯨」
それがひとつのモチーフだ
タイトルにもそれをかぶせる
クジラは彼なのか
だがしかし
白鯨を読んだこともない僕には
特殊メークの肥満男の末路が
うまく描かれているだけのようで
さほどの感動もない
オスカー受賞はできすぎだ
だが
白鯨を読んでいたら
感じるものはまた別だったろうか
白鯨くらい読んどかないと
また大先生に叱られそうだ
今週末は
用事があってその講義も欠席するのだ
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