好きなものを選ぶときの諸条件
好きな物を何でも選んでいい、って言われても迷ったり悩んだりします。
同じ物なら迷いませんが、選択肢が多いほど迷います。
ただの決断力の問題、と長年思って来ましたが、
それは「他者のことも考える場合もあるから」という事実に気づきました。
◯子供に与えた自由は
いとこが当時4歳の頃、母親(私にとっての叔母)が、嘆いていました。
「この子は、自分の好きなもが決められないのよ」
聞くと、スーパーへ行ったときに「何でもいいから1つだけ買ってあげる」と言ったのに、「選べないのよ、この子ったら」
自由に選べるチャンスがあるのに、全然選ばないし、選べないということ。
叔母の言葉を聞いて、おや?と思いました。
なぜなら、そのいとこは、好き嫌いがはっきりしていて、主張もするタイプだったからです。
何か問題があるはず。
よくよく聞くと、問題があったのは母親(叔母)の方でした。
◯自由に条件をつけている
“何でもいい“と言いながら、おもちゃ付きのお菓子は「ダメ!」、1000円以上のものは「ダメ!」と全部ダメダメ言っていたのです。
叔母曰く「そんなのは親なんだから、当たり前のことだ」という言い分もわかります。
でも、いとこにしてみれば、好きな物どれを選んでも全部ダメで、もうどうしていいかわからない。
自由を与えられたようで、こんなの全然自由じゃない。
それでも追い討ちをかけるように「好きなもの選びなさい」「なんでアンタは選べないの」って…若干4歳が選べるはずがありません。
当時若干10歳くらいの私が、はっきり違和感を感じていました。
◯子供であっても他者のことを考える
結局、いとこはそんなに好きでもないお菓子を一つ決めて、買ってきたようでした。
喜ばない、ということにも叔母は文句を言っていましたが、私は心の中で「そりゃそうでしょ、自由に選べないんだもの」と、いとこに同情していました。
自由に選んでいいと言われても、当時4歳のいとこのように、他者のことを考えて選べなくなるケースが大人でもあります。
選択する時に、その人の顔が浮かんだりして。
簡単な例で言えば、いただいた菓子折りを開けた時、自分の取り分をいざもらおうとしたのに「種類がたくさんあって選べない、私はみなさんが取ってから、最後でいいです」と言う人。優しいですね。私はそうはしませんが(笑)
もしかしたら、心から好きな物を、心の思うままに、自由に選べる時というのは、他者が存在しない場合が多いのかもしれません。
大人になって私はその機会が増えました。それはそれで自由でいいけれども。
好きな物を自由に選べない時は、その人に取って、大切な他者の存在あるのかもしれません。
選択肢に影響する他者が。大切な他者。だから選べない場合もあるのです。