
ふるさとに帰省したい
この状況になり、実家がより遠くなった。
私にも田舎がある。
だから、時々帰っていたのだが、この状況になって、帰りづらくなった。
実際、帰れなくなった。
少し穏やかになってきて、世間でこの状況も落ち着いてきた6月の上旬、実家の親と電話で話した。
こんな時代に、古き良きガラケー愛用者の二人だ。
だからテレビ電話なんかできるわけもなく、ただ声の会話を楽しんだ。
「7月、帰りたいと思っているよ。状況によるけどね」
そんな言葉をかけて、きっと喜ばれるだろうと思っていた。
なんせ、久しぶりの帰省なのだから。
ところが、「うーん……」と歯切れが悪い。
そして出てきたのは「当分帰ってこなくていい」の返事。
とても言いづらそうに、でもはっきり断られた。
都会から来る人間を拒むような感じ。私の住むところは、人が多い街だから。
万が一の場合、私からもらいたくない、広げてほしくないというのが本音のようだった。
そうか…
気持ちはよくわかる。
何があるかわからないからね。
でも残念だ。
初めての感覚。
拒絶されたような感覚。
相手にそんなつもりなくても。
私の存在を否定されたわけではないけれども、まるで私がNOと言われたようで傷ついた。
街=危険、とされ、そこに個としての私がいないようで、その区別。分別されたことが悲しかった。
家族でもそう思うのか。
ということで決めた。当分の間は帰らない。
地元の友達に「当分の間、帰れないから」と、この話をした。
「えぇー会いたかったな」と言ってくれると期待していた。
ところが、「いや、親御さんの言うことの方が理解できる」「この地域はまだ何もないから、街から来る人を嫌がるでしょう」
という反応で、
またもや、そうか…と、少し悲しくなった。
わかる、わかるけどね。なんでそんなに拒絶するの。
一言でも「会いたいけどね」の前置きくらいほしかったな。
家族友人に全く歓迎されていない悲しさ。
こんな状況で、もっと大変な人に比べて私はまだ幸せな方だから…
悲しいけど、仕方ない。
仕方ないけど、悲しい。
このまとまらない思いをどう処理したらいいのか。
今日、哲学者、岸見一郎先生のオンライン講演会があって、この質問をしてみたかったけど、残念ながらチャンスがなくできなかった。
アドラーの教え「他者の期待に応えない」として、振り切って帰省するか。
しかし、如何せんこの状況では、それはやってはいけない気がする。
あぁふるさとに帰りたい。
この強い思いで気が付いた。
今まで、年老いた親のために帰っていると思っていたけど、私のためだったんだな。
次、いつ帰省できるんだろう。
当分は帰らない。
自分が帰省しないのは、みんなを守るため。
そう思って、モヤモヤを消化するしかないのかな。
だからそれまで、とにかく。
みんなが元気でいてくれますように。
いいなと思ったら応援しよう!
