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雑な世界に生きる繊細な私たち
HSPについて、以前友人に教えてもらった。
ハイリーセンシティブパーソン Highly Sensitive Personの略で「とても敏感な人」という意味。
大きな音や光がダメとか、周囲の影響を受けやすく、目の前の人が何を考えているのかすぐわかってしまうだとか、環境に左右されやすいとか、そんな特徴を持つ人々。
その簡易テストで、自分はその気質があることを知っていた。
そして、その少し後に「繊細さん」という本がベストセラーになり、HSPという単語も一般的になった。
世間には意外とHSPが多い様子。全人口の15〜20%。私だけじゃない、と安心していた。
ところが、先日とある会社の社長さんに会った時に、彼の発する言葉に驚いた。
「私は従業員のほとんどのことを見抜けているし、把握できている」
と言い切っていた。自信満々。
傍から見て、雰囲気はあまり良さそうに見えないのにも関わらず、だ。…失礼ながら(笑)
全くわかってないんだな。
最初に思ったこと。それは、
この人は絶対に HSP ではない。
最初に思い浮かんだ理由はわからないが、なぜそんなに簡単に「すべて見えている、わかっている、把握できている」なんて言えるのだろう。
この人は、随分と雑な判断をしているなぁと感じた。
従業員は20人規模。
たとえ、たった20人でも、私はそこにいる人を「ほぼ全員のことを見抜けている」とは言えない。
それほどまでに人は複雑だし(シンプルでもあるが)、表面と内側の差は大きく、知っていること知らないことが多すぎるとわかっている。
さらに、お相手に敬意も込めて、わかっていると言うつもりは一生ない。
聞いた話だが、「私はあなたのこと、何でもわかります」と言われると、人間は腹が立つらしい。
簡単にわかられてたまるか、という思いになるのが、人として自然だとか。
だからやはり「あなたのことは見抜けている、完全に把握できている」とは、随分と失礼で、敬意がないから言えない、と思うのだ。
その社長さんは、そんな相手の感情を推測することもなく「全部見抜けているし、把握している」なんて、
あぁなんか雑だ…
雑すぎる
関係ないけど、悲しくなった。
わかっているとよく自信持って言えますね、と。
私はその雑さが逆に羨ましい。
思えば、
世の中は、人の感情に雑な人が多い。
すべての人は、繊細さを持ち合わせているが、HSP気質の人は、その10倍、だと思ってほしい。
だからHSPから見たら、一般的な人たちは、とても「雑」なのだ。
繊細な私たちは、こういう雑な人たちがたくさんいる中で、生きている。
だからがんばれ、と少しその日は慰めてあげたくなった。
雑な世界に生きる繊細な私たち。
以前に読んだ「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」というHSPについて書かれた本のタイトルからお借りしてみた。
繊細さを振りかざすつもりもないし、だから偉いとも、優れているとも思っていない。
ただ、いろんなことに気づいてしまうのだ。
この繊細さは、雑な人たちにはわかってもらえない。
そう確信した。
世間は、このように荒削りで、時々心が痛い。
だからこそ、HSP気質の人は、より自分を大事にして、心の繊細な声に耳を傾けなければならない。
雑な人たちといかに共存していくか。
こうやって気付きをくれて、面白くしてくれるのは彼らだったりもするので、案外ありがたい存在。
ここぞという時には、こちらの気持ちも伝えつつ、私たちHSPは自分のペースを壊さないよう、生きて行こう。
それが一番、平和かなと。
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