「あるといいながあるところ。」――町田の里山×カフェ×訪問看護×コミュニティースペースで働く楽しさとは?
イントロダクション
「あるといいながあるところ。」――ヨリドコ小野路宿は、東京都町田市の小野路の里山にある、訪問看護リハビリステーションとカフェ(キッチンとまりぎ)が一体となった、地域の方々のための複合施設です。
今回は、ヨリドコで働くメンバーにインタビューをしました。ヨリドコのイメージだけでも受け取っていただければと思います。
所長・古賀さん
まずは、「訪問看護リハビリステーションヨリドコ」の所長の古賀看護師にインタビューを行いました。
経歴
若いころからずっと看護師でした――そのように話し始める古賀さん。
平成18年から10年間は八王子で地域の子育て支援をする団体を立ち上げ、活動をしていました。看護師をやりながら、地域にかかわりを続けているうちに在宅にかかわるようになります。
ヨリドコに就職する前は、訪問看護、社会福祉法人の障害者施設(身体・知的・精神)、障害児の通所・入所施設で勤務経験があり、経験豊富な 頼れる看護師です。
「救急現場の仕事よりも生活にかかわる看護師の仕事が多かった」 と語る古賀さんがヨリドコに就職するきっかけはどういったものだったのでしょうか?
ヨリドコにかかわるようになったきっかけ
施設で働いていた時に「訪問看護をやりたいな」と思っていて、立ち上げをしていたヨリドコを見つけた。と語り始めます
今のヨリドコは古民家を改修して出来上がった施設です。当時の想いをこのように表現します。
地域活動をしている訪問看護はほかにもあるが、「病院が、これだけの規模で地域とともに歩む訪看はワクワクする」だから応募したのだと言います。ちなみに、ヨリドコの看板は古賀さんの自信作です。
ワクワク感を持ちながらヨリドコで勤務を開始した古賀さん。働き出して感じたヨリドコの魅力を教えてもらいました。
実際に働いてみて感じるヨリドコの魅力
さらに、ヨリドコの魅力を「新しいことを積み上げていける場所」と表現していきます
ここで、聞き手の理事長の藤井も、エンジンがかかってきました。2人はこのように語りだします。
藤井:訪問看護は訪問することがメインだけれど、ヨリドコのように地域の人が集まる場があることで、訪問以外のかかわりもできるし、ヨリドコにかかわってくれる人が、いつか訪問看護を必要とするかもしれない。双方向のかかわりができるのではないか?
古賀:訪看のご利用者の家族の方が、ヨリドコに併設されているカフェでランチを食べにくることがありますし、ヨリドコで行われるイベントに参加してくれるということもあります。家でお会いするのとは、違う一面が見れるので、より親密になれます。訪問看護師としてだけではなく、人と人としてのコミュニケーションが取りやすくなりますね。
ヨリドコの今後
最後にヨリドコの今後について古賀さんに語ってもらいました。
看護師・吉岡さん
経歴
インタビュー前から元気なエネルギーを感じる、吉岡さん。吉岡さんが自らの経歴を説明しだす第一声は
でした。そんな、吉岡さんの経歴は、看護師になる前、特別養護老人ホームの介護職員をしていました。ですが、働く中で「利用者さん、一人ひとりに丁寧な介護ができない。ベルトコンベヤーのような介護」になっていることに疑問を抱きます。当時の同僚の方から、「看護師になっちゃえば?」 と勧められたことをきっかけに、社会人として看護の道を目指します。看護学校卒業後は2年ほど病棟業務を経験し、自らがなりたかった訪問看護師の世界へ。キャリア15年の大ベテランです。
今年度から就農し、インタビュー翌日も畑の仕事で飛び回るというパワフルな看護師です。
ヨリドコにかかわるようになったきっかけ
そんな訪問看護大好きの吉岡さんとヨリドコの出会いはどのようなものだったのでしょうか。意外にもご自身が趣味としている農業がきっかけとなります。
インタビューの最中、話が広がり、世界的な食糧難の話になりました。そこで代表の藤井は吉岡さんをこのように説明します。
実際に働いてみて感じるヨリドコの魅力
「自分の作った野菜をキッチンとまりぎやそれ以外の場所で、すぐに食べてもらえることが喜び」と話す吉岡さん。
「自分の作った野菜をどんなふうに食べているのか」「どんなものを食べたいか」というようなお客さんの声を直接聴くことができると言います。
訪問看護師としては、同僚に頼りにされることで、自分のキャリアを十分に生かせているようです。
さらに、このように語ります。
ヨリドコの今後
「誤解を生んでしまうかもしれませんが、このままでよいと思います」と話し始めました。あそこを目指すんだ!とハードルを上げ過ぎるときつくなる。その理由を、吉岡さんはこのように説明します。
代表の藤井も次のようにまとめました。
山北さん、後藤さん
経歴
看護師の山北さんは、看護師資格を取得後、さまざまな病院や福祉施設で勤務、ある時、ヨリドコを見つけ、初めての訪問看護勤務となりました。
事務の後藤さんは社会人経験を経ていく中で、以前より、医療事務に興味があったとのことで、最初はまちおかに応募、面接でヨリドコを紹介され、ヨリドコの事務となりました。
ヨリドコにかかわるようになったきっかけ
山北さんは訪問看護の仕事を探していく中で、小野路の環境 にひかれたといいます。山北さん自身の看護師としてのキャリアを積んでいく中で、イチから組織を作っていくことに面白みを感じ、ヨリドコを知ったときには、”ヨリドコをひとつひとつ創っていく” ことに興味があったといいます
後藤さんは、最初はまちおかの医療事務に応募したそうですが、ご自身のライフスタイルに合う働き方ができるヨリドコを紹介され、ヨリドコに配属となりました。
実際に働いてみて感じるヨリドコの魅力
ヨリドコの魅力については、こんなことを聞かせてもらうことができました。
山北:業務に余裕があるときには、ヨリドコが管理する竹林でたけのこがほれます。訪問看護についても、地域に根差していて、車で20分圏内を回っています。 ほかの訪問看護よりも、余裕をもって回れているのではないでしょうか。病院が母体ということもあり、病院のバックアップがあるという安心感があります。
と体制の良いところを説明してくれました。さらに、
山北:ひとりひとりの患者さんとお話しながら、余裕を持った看護ができます。医療者―患者という関係だけでなく、人と人との関係として向き合っています。 人生の1ページに私も参加させてもらえていると感じています。これは、長い病院勤務があったからこそ、病院と訪問看護の関わり方の違いを感じています。
シャイな表情を見せる後藤さん。後藤さんが思うヨリドコの魅力も教えてもらいました。
後藤:事務は一人でやるイメージが強いですが、ヨリドコは、集会場やカフェがあり、地域の人とかかわることが多いです。 逆に一人で仕事をする場面が少ないです。
後藤さん自身、人見知りで、最初は話しかけるのにも勇気が必要だったとのことですが、仕事が楽しい とも語ってくれました。
また、ヨリドコのスタッフは、ママさんが多く、「ママ友のつながりができている」 というほっこりする話も教えてくれました。例えば、使わなくなったおもちゃや洋服をメンバーの中で引き継いだり・・・ということが起きているようです。お二人とも、「事務所の中が楽しい。子供のために休む時も、お互い境遇が分かるのでやりやすい。」と話してくれました。
ヨリドコの今後
そんなヨリドコですが、お二人はどのようなビジョンを描いているのでしょうか?
山北:訪問看護内のチームワークを強化して、ケースを積み重ね、看護の力を強化したいです。ヨリドコは、地域に根差しているので「ご近所のためにある訪問看護」 を目指したいです。
後藤:私は、ヨリドコの中にいることが多い分、皆のサポートをしていきたいと思っています。カフェもあり、子供も来るので環境を整えてお待ちしております。
さらに、スタッフが帰って来た時にくつろげるよう、ステーション内の環境を整えておきたいと思っています。
看護師・新行内さん
経歴
新行内さんは、看護学校卒業後、大学病院に勤務、その後結婚や出産を機に大学病院を退職されました。その後、障害者のデイサービス事業所で勤務し、その時に利用者の生活を支えたいと思うようになり、のちの訪問看護の世界にかかわるきっかけになりました。
訪問看護師6年の新行内さんは、今では 「訪問看護は私にとって天職だ」 と話しています。
ヨリドコにかかわるようになったきっかけ
そんな新行内さんがヨリドコに入ったきっかけは、何だったんでしょうか。
最初は、「たまたま」で見つけたヨリドコですがホームページに書かれていた理念に共感できたり、自宅だけではなく、「地域」で患者さんを支えることができる点が魅力に映った と語っていました。「自然が好きなので、キャンプを一緒にやれる方はぜひ!」というメッセージもいただきました。
実際に働いてみて感じるヨリドコの魅力
「利用者さん家族があたたかく、スタッフがみんな良いひと」 そんな言葉でまとめてくれました。
また、自身の子育てのことで悩まれていた時期もあるようでしたが、「そのことも、みんなで考えてくれた」と言います。時には、お子さんをヨリドコに連れてきて、庭の土をいっしょに運んだりすることで、「子供にも役割を与えてくれたり、大人たちが話しかけてくれたことで、子供にも良い影響があった」と話されていました。
ヨリドコの今後
新行内さんは、インタビューの最後をこのようにまとめられていました。
理学療法士・大関さん
経歴
大関さんは理学療法士の専門学校を卒業後、回復期のリハビリ病院に4年勤務、その後、フィリピンへ留学後、一度、日本に帰国し、介護付き旅行会社に勤めた後、ヨーロッパにあるマルタ島へ留学。
マルタ島で働いた後、日本に帰国し、ヨリドコに就職したという異色の経歴をもっています。
ヨリドコにかかわるようになったきっかけ
そもそも日本に帰国するきっかけは、ヨーロッパでのコロナ拡大により大関さん自身、負担を感じる様になったからだといいます。さらに、海外で働いてみたものの、日本が良かったとも感じたといいます。
帰国後、相模原で活動する理学療法士のつながりでヨリドコを紹介してもらったとのことでした。
今の働き方について
メインの業務は、理学療法士として、利用者さんの自宅に行き、リハビリを提供しています。その他の業務は、地域の方々が健康でいられるように体操教室を運営したり、健康に関する情報誌を発行したりしています。 ここまではリハビリ職としての色が強いですが、休日はヨリドコの裏にある竹林の整備 のために、地域の方々を巻き込みながらリーダーとして活動しています。
竹林整備を始めた頃の印象を代表の藤井と次のように振り返ります。
藤井「整備を始める前はこのようなインタビューが外でできるような環境じゃなかったですね。ジャングルでした。」
大関「YouTube動画に教えてもらいながら、また、お隣さんに竹林整備の方法や、足場を作るための階段の作り方を教えてもらいながらやっていきました。理学療法士のスキルとは違う、サバイバルスキルが身につきました。」
ヨリドコの今後
ヨリドコの今後については以下の次のように考えているといいます。
おわりに
いかがでしたでしょうか。ヨリドコのメンバーは今回インタビューさせていただいた人たちだけでも、個性的な人が揃っています。
訪問看護は「縁がないな」と思っている方でも、一度ヨリドコ小野路宿内の古民家カフェ「kitchenとまりぎ」に、まずはランチだけでもお立ち寄りください!