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町の小児科、コロナ対応の最前線へ

しばらく、記事の更新をできずにいました。

最後に記事をアップした2021年6月以降、
コロナとの闘いの最前線が町の診療所となりました。

私たちのクリニックでは、
発熱外来で1000人以上の患者さんを診察。
コロナの陽性患者さんは150人に達しました。

ワクチンはのべ3000人以上の方に接種しました。


この記事は、
みなさんのお役に立つ内容ではないかも知れないけれど、
私自身の備忘録も兼ねて書くことにしました。

コロナは子どもの病気ではない
(子どもはほとんど重症化しない)
多くの小児科医は、
この事実と
社会が取り組む感染予防対策との間で迷いながら
2年近くの間、診療に当たってきました。

コロナの診療に力を入れると
必然的に大人の患者さんの受診が増えることが
予想されました。

‥本来の子どもたちの診察や子育て支援に
かける時間が少なくなる‥
‥発熱外来を始めることで
風評被害を受けたりしないだろうか‥
‥小児科にワクチンを受けに来て下さる
高齢者がいるだろうか‥

何より、
普段通って下さっている子どもたちに
ご迷惑をかけないかが気になりました。

今、求められていることはなんだろう?

そう考えた時に答えが出ました。
一診療所の力は小さいけれど、
「できるだけ多くの人が検査を受けられるようにしよう」
可能な限りワクチン接種をして、救える命を救おう」
「家族がコロナにかかって悲しむ子どもを減らそう
最前線に立つ覚悟ができました。

第4波がピークを迎えた5月下旬、
高齢者へのワクチン接種が始まりました。
予約開始と同時に鳴り止まない電話。
かかりつけで予約を取ることができなかった方々の
受け皿となることができたようでした。
やっと予約が取れたと何度もお礼をして下さる声の主。
スタッフのやる気も満ちました。

予約リストを眺めると、
親の世代より年配の方が多くを占めていました。
小児科診療所にとって、
一日何十人もの高齢者への対応は未知の世界でした。

見やすく、分かりやすく、動きやすく。

何度もシミュレーションを行なってから、
初日を迎えました。
緊張した様子で来院された皆さんが、
安堵の表情で帰って行かれる様子が忘れられません。

慣れない業務で
ご迷惑をお掛けしてしまったことも
ありました。
しかし、
地域の皆さんや
SNSなどで応援して下さった方々の
ご理解とご協力により、
これまで小中学生を含む多くの皆さまに
ワクチン接種を行うことができました。

当院の新型コロナウイルスワクチン接種成績
(2021年11月20日現在)
のべ接種者数 3037
アナフィラキシー 1
血管迷走神経反射(接種後30分以内の気分不良や息苦しさ、
手足の痺れなど) 3
その他重い副反応の報告なし

電話が鳴り止まない!

高齢者のワクチン接種が落ち着き、
私たちも夏休み気分になりかけた8月、
第5波の波が押し寄せました。
発熱外来を掲げた当院には、
保健所からの検査の依頼と
コロナにかかったのではないかという相談の電話が
連日鳴り響きました。

感染拡大状況は最悪であり、
コロナでないことが確実でない限り、
発熱などのある患者様は全て一家族ごとに隔離させて頂き、
防護服を着て診察をしました。

1日20人以上の検査を行い、
陽性率7割を超える日が何日もありました。

濃厚接触者となり、
小さな兄弟を自転車に乗せて来院されたお父さん、
生後数ヶ月の赤ちゃんと共に陽性となったお母さん。
突然、家庭に訪れた危機に
気丈に立ち向かう姿が印象的でした。

ご家族皆さんを一度に検査し、
小さなお子さんの診察や薬の処方をさせて頂けること
小児科の大きな役目であることがわかりました。

8月下旬、
市内では夏休み中に数百人を超える小中学生が感染したと
情報がありました。
学校における感染拡大が心配されましたが、
今は想像以上に落ち着いた状態です。

子どもたちへの影響はこれからも

楽しみにしていた行事の縮小や中止、
部活動の自粛、マスク着用、おしゃべり禁止。
子どもたちはこれまで
大人よりもずっと速やかに感染予防対策に順応してきました。

今年春の学校や保育園・幼稚園での健康診断では、
例年より肥満傾向が目立ったり、
体幹の弱さが見受けられるお子さんが多いように
思いました。
全体的な幼さも少し気になりました。

日々の遊びや運動、
目標に向かって
皆で準備や練習をする行事の体験などが
子どもたちの成長にとても重要である
ことを
改めて認識しました。

今、通常の生活に戻りつつあり、
急な活動の増加によって
疲れの出てきた子どもたちも
見受けられます。

これからも
さまざまな影響を受け続けると思われる
子どもたちに少しでも寄り添う診療を
続けていきたいと考えています。

最後に、
せめて、
コロナ禍で体験した悔しさや虚しさやがまんが、
子どもたちがこれから生きていくための
心の糧となることを祈ってやみません。


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