『東京都同情塔』
『東京都同情塔』九段理江
第170回芥川賞受賞作の一冊。
170回も芥川賞やってるんだ、すごいな〜って思いつつも、この作品の話題はもう一つある。生成AIを使った小説とのこと。作者曰く、全体の5%程が生成AIとのことで、ネットなどで話題になった。色んな意見があるが、この作品を読んだ人と読んでない人で、きっと解釈が変わると思う。読んだ後に思うことは、「そりゃAI使うに決まってるだろ」である。
作中で生成AIが使われてるシーンがいくつかあり、そのAIのセリフを作成するのに、生成AIを使用しただけらしい。
猫の鳴き声を書きたいから実際の猫に鳴いてもらったくらいのことである。
どーでもいいわけじゃないが、生成AIを使ったことよりも、本の内容について、皆語り合うことの方が大事だ。
「東京都同情塔」のテーマはいくつかあると思うのだが、身近に感じるのは“言葉”である。言葉が出てくることで考えが生まれ出してくるのではないかと私は考える。作中では、ネグレクトやヴィーガン、マイノリティなどのカタカナ言葉を嫌悪しているように思える。それらは、日本人から発せられる本当の言葉なのだろうか?
その一つで犯罪者のカタカナ言葉は「ホモ・ミゼラビリス」。
そのホモ・ミゼラビリスを収容するための刑務所こそが東京都同情塔なのである。
生成AIの話に戻ると、これからはもっと使われるようになって行くと思う。賛否はあるけど、時代の流れには逆らえない。個人的には生成AIを使っていようがいまいがどちらでもいい。心が動いたり、ワクワクしたり、考えさせられるような面白い本が読めればそれでいいのだ。
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