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あそぶことは、学ぶこと。そして「生きる力」を育むことだと信じて。【子ども防災講座】
私たちまちのこ団は、あそびを通して“子どもたちの原体験を豊かに”することをミッションに活動しています。まち中どこでもあそび場・居場所にする「移動式あそび場」をつくる活動などをしていますが、実は“あそび”の向こう側には、「防災」というキーワードがあります。
まちのこ団の団長こと増田大和は、子どもたちに防災を教える防災士という一面も持っていて、防災について子どもたちと一緒に学ぶ活動もしています。
今回は、先日開催した防災スクールの様子をお届けします。「あそび」と「防災」がどう結びつくのか。まちのこ団の想いと共にお伝えしていきたいと思います。
一般社団法人まちのこ団
まちで育つ子どもたちの"原体験を豊かにすること"をミッションに活動をしています。 《主な事業》 ▶︎移動式あそび場づくり ▶︎拠点式場づくり(まちのこベース) ▶企画運営事業|防災/地域コーディネート等
【https://lit.link/machinokodan】
『あそぼうさい』あそびながら防災について学ぶ
2022年11月27日(日)。茨城県ひたちなか市の社会福祉協議会主催のボランティアスクールにて、『あそぼうさい講座~「もしも」のために、「いつも」そなえる~』というテーマでお話をしてきました。
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当初は夏休みの8月に開催予定でしたが、コロナ禍により延期。予定では体育館を使って体を動かすようなプログラム内容でしたが、今回は社会情勢を鑑みて、換気や消毒などの対策を徹底したうえで規模も人数も縮小しての開催となりました。
参加者は、ひたちなか市の小学生10人。4年生5人、5年生3人、6年生2人。ちなみに参加した理由は、「災害のことを知りたかった」「楽しそうだったから」「もしものためになんでもいいからしりたいなと思ったから」。「母が勧めてくれたから」は2人いました。
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まずは、「災害」について学ぶ時間。
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アイスブレイクでは、「防災じゃんけん」をやりました。
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ワーク①通学中の「もしも」にそなえる
いよいよワークです。まずは通学中に災害にあったときを想定して、通学路でのキケンを探します。最初に習った「災害」が発生したとき、通学路ではどのようなキケンがあるかを考えます。
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次に、それぞれ出したキケンをグループで共有します。どうしたらキケンがなくなるかを皆で考えます。
通学路に「歩行者は車が見えないし、車からは歩行者が見えない」見通しが悪い道路があるグループ。「できることは、いつもより注意することと、学校にポスターを貼って呼びかけることです」。
歩道がない通学路があるグループは、「歩道のある通学路で登校する」という意見を出していました。
別のグループは、登校の集合場所が用水路の隣にあるそう。「雨がたくさん降ってあふれたらキケンなので、安全な場所に変えたほうがいいと思います」。
通学路には実はキケンな場所がたくさんあることがわかりました。これはどうにかしないといけないような気がします…。
ワーク②「もしも」のときに何が必要?防災用持ち出し袋の中身を考えよう
続いて2つめのワーク。もし何らかの災害で避難することになったら、何が必要?防災用持ち出し袋の中身を考えるワークをしました。
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次にグループごとに、出したものを「情報」「食料」などに分けていきます。
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水、食べ物などの「食料」や、ラジオ、懐中電灯、ヘルメット、防寒着など基本的なものの他に、ひまつぶし用に「ゲーム」や「本」、宝物の「人形」「まくら」など。より避難生活をリアルに想像したからこそ出てきたものなんだろうなと思いました。
大事なのは、自分の「いのち」を守ること
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最後に、一番伝えたいメッセージで締めくくります。それは、自分の「いのち」を守ること。
学校で習う「お・か・し・も」。おさない、かけない、しゃべらない、もどらない。学校ではそう教えられるけれども、それさえ守っていれば絶対に大丈夫なのだろうか。
大きな地震が来て、津波が来るかもしれないとき。「かけない」だから歩かなきゃ。火事が起きたとき。大変だ逃げなきゃ!周りの人にも知らせなきゃ!でも「しゃべらない」って教えられた。
大事なのは、「お・か・し・も」を守ることじゃなくて、自分の「いのち」を守ること。先生が言っているから、大人が言っているから大丈夫。そうじゃなくて、自分の「いのち」は自分で守る。もしものときに、どうしたら自分のいのちを守れるか、それを考えることが防災だというお話をしました。
「自分の命は自分で守ること」「おかしもじゃないときもある」
終了後、アンケートを書いてもらいました。
よかったことは何ですか?
「楽しくひなん(ぼうさい)について学べてよかった」「もしものためにそなえることが分かったから良かった」「じゃんけんとかが楽しかった」
わかったこと・覚えたことは?
「自分の命は自分で守ること」「どうしたらキケンをさけることができるのかわかった」「災害には、自然災害と人災があることがわかった」「ひなんするときに持って行く物がくわしく分かった」「おかしもは、けっこうきけん!」「おかしもじゃないときもある」
「あそび」と「防災」。あそび場を通してつくりたいのは「顔の見える関係性」
まちのこ団の主な活動のひとつが、「移動式あそび場」づくりです。プレイバスという車にあそび道具を詰め込んで、公園、道路、イベント会場やセミナー会場などまち中をあそび場・居場所にする活動です。
あそび場をつくる先にあるのは、あそび場を通して地域の緩やかなつながりができること、「顔の見える関係性」ができることです。
地域にあそび場があることで、近所の人たちがあそびに来る。何回か来ているうちに自然と顔見知りになる。あれ、いつもと様子が違うなと気づいたり、何かあったとき、ぱっと顔が浮かぶ。あのおじいちゃん一人暮らしって言ってたけど大丈夫かな。あの子のおうち小さい妹いるっていってたな。
その関係性は、災害などのもしものときに助け合える関係になります。実際、東日本大震災で生存率が高かった地区と低かった地区の違いのひとつに日常の関係性が作れていたかどうかという例があるそうです。いわゆる「避難の連鎖」という、一人の人が避難しようと決めて、隣近所にも伝え、避難すべきか悩んでいたところ避難しようと踏み切って避難したという事例です。
この関係性は、日頃から隣近所であいさつをしたり、地域の清掃活動などに参加していれば築けるものではありますが、新興住宅地やマンションが多く立ち並ぶエリアなどご近所付き合いや地域活動が希薄な場所では、あそび場がその役割を果たせるのではないかと考えています。
子どもたちにとって「あそぶこと=学ぶこと」
「あそび」と「防災」がつながるもうひとつの理由は、まちのこ団・団長、増田大和が子どもたちにとっては「あそび」=「学び」だということを知った経験にあります。
2011年3月11日に発生した東日本大震災の際、現地でボランティア活動をしました。そのつながりから、NHKが主催する「防災パーク」という子どもたちがあそびながら防災について学べるイベントの手伝いをすることになりました。そこで、「あそび」の魅力と出会います。
子どもたちにとっては、遊ぶこと=学ぶこと。子どもたちは楽しくあそんでいるけれども、知らず知らずのうちにちゃんと防災について身についている。あそびってすごい。そういう体験をしました。
詳しくは、以前インタビューをした記事にまとめてありますので、よろしければご覧ください。
そして、生きる力を身につけること
防災に限らず、私たち大人はきっとあそぶことから色々なことを学んできたと思います。やっていいこと、悪いこと。痛いこと、人を思いやる気持ち、勝つ喜び、負けるくやしさ、勝つ人がいれば負ける人がいること。身体を動かして、身体で感じて、少しずつ成長してきたと思います。
子どもたちにとって大切なその環境が、大人の都合によって無くなっている。残念ながら今の社会は、子どもの成長よりも他に大事なことがあるようです。
子どもたちがあそびながら学ぶ、生きる力を身につける環境を無くすわけにはいかない。そういう思いで、まちのこ団はあそび場をつくる活動を続けています。まちのあそび場づくりは、私たちだけでは力不足です。もし同じ思いをお持ちでしたら、一度お話しましょう。
あそび場でお待ちしています。
(写真・文=サトウミキ)