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英国シティズンシップ教育(2)ープログラム内容

今回はNational curriculumで設定されているCitizenshipの学習目標・学習内容について紹介します。
イギリスの政府ウェブサイト(GOV.UK)で公表されている資料はこちらです。学習の目的・ねらい・達成目標と教科の内容について記載されています。


Department for Education (2013): Citizenship programmes of study: key stages 3 and 4


学習の目的

Citizenshipは、生徒が ”社会に十分に、主体的に” 関わっていけるようになる(Prepare them to play a full and active part in society)ことを学習の目的としています。特に民主主義、政治、法について理解し関心を持つようになることに重きを置いているとのことです。


具体的な授業の中では、エビデンス(evidence)、ディベート(debate)、根拠に基づいた議論(reasoned argument)を大切にして、政治的・社会的問題に対して批判的に考えられるようになることを目指します。

また、イギリスではCitizenshipの教科の中にFinancial educationの要素も含まれており、お金をどのように管理していくかについてもこの教科内で学習していきます。


学習のねらい

以下のような内容が学習のねらいに設定されています。
・政治のしくみについて理解し、自分がどのように関わっていくか考える
・法と裁判の仕組みについて理解する
・ボランティア活動などに参加してみる(社会参加の第一歩)
・政治的問題について批判的に考え、議論できるスキルを身につける
・短期的・長期的スパンでのお金の管理ができるようになる


達成目標と教科の内容

Key stage3と4で、上記の学習のねらいを達成するためにどんな内容が授業で扱われるべきか書かれています。

Key stage3
Key stage3では主に上記ねらいにあげられた内容について、イギリス国内の社会の仕組みの理解が学習の中心となります。扱う内容は以下の通りです。(筆者訳)

・イギリスの民主主義政治の発展(市民の役割、議会、王室制度含む)

・議会運営について。選挙や投票、政党の役割

・イギリス国民が享受している自由について

・ルールと法律の期限、司法制度(政治や裁判所)

・公的機関やボランティアグループの役割。コミュニティをより良くするために市民ができることについて(学校主体の活動への参加も含む)

・お金の役割や用途。予算を組みリスク管理することの大切さとその実践

Key stage4
Key stage4ではKey stage3の各領域を発展させた内容となり、イギリス国外の国の政治システムなどの勉強や、欧州・国際社会の中でのイギリスのあり方の学習、異なるバックグラウンドの人との相互承認や相互理解についても学びます。(筆者訳)

・議会民主主義とイギリス憲法の主要要素について。政府の権限、市民・議会の役割について(政権の説明責任、行政府・立法府・司法の役割の違いと報道の自由を含む)

・イギリス国内外で採用されている異なる選挙システムについて。市民が地域、国家、それ以上の規模で影響を与えるためにできる民主的/選挙プロセスでのアクションについて

・イギリスや、イギリス国外それぞれの民主主義/民主主義ではない体制での政治システム

・地域、国家、国際的ガバナンスについて。イギリスの、ヨーロッパ諸国/コモンウェルス(イギリスの旧植民地諸国が加盟する集まり)/国際連合/さらに広い世界との関係について

・人権と国際法

・イギリスの法制度、様々な背景から生まれた各種法律と、それらが社会の複雑な問題に対処するためにどのようにはたらくか。

・イギリスにある多様な国家/地域/宗教/人種的アイデンティティと、それらの相互理解とリスペクトの必要性

・市民がコミュニティをより良くするために貢献できる様々な方法について(地域ボランティアやその他の社会的責任を果たすような活動への参加を含む)

・収入と支出、信用取引(クレジット)と借金、保険商品、貯蓄と年金、金融商品やサービスについて。また、公金がどのように集められ、使われるかについて

・・・

以上、National curriculumとして設定されているCitizenshipという教科の内容でした。


次回はCitizenshipがイギリスのNational Curriculumに導入された背景について書きたいと思います。


(2015/12/22執筆記事の加筆修正記事です)

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