エスコンフィールドと札幌ドーム
エスコンフィールド
エスコンフィールドとは
2023年に華々しく北海道日本ハムファイターズの本拠地としてオープンしたエスコンフィールド。
BIG BOSSこと新庄監督を迎え、2024年にはリーグ2位となりプレーオフにも進出して大きな盛り上がりを見せた。
野球を見ない人はあれ?日ハムって今まで札幌ドームを使ってなかったっけ?と思うかもしれないが、このnoteでは移転の経緯から少し考えてみたい。まずは先日エスコンフィールドを訪れた際のレポから。
エスコンの今(2024.12)
約1年ぶりに訪れたエスコンフィールド。
前回はレンタカーだったが、今回は新千歳空港から電車で。北広島駅からエスコンフィールドのあるきたひろしま総合公園までは徒歩で約20分、意外と遠いが歩行者専用道路が整備されており、迷うことはない(ちょうどいい運動になる距離)。
まず駅周辺に多くのマンションやここ数年で整備されたと思われる住宅が数多く建っており、物価・人件費の高騰や「人がいない問題」が叫ばれるなかでも建設中の物件も大小いくつも見受けられた。
この歩行者専用道路から見える北広島市役所も(時間の関係で中を見ることはできなかったが)開口部面積が抑えられて雪国仕様、規模もそれなりにコンパクトで変な意匠・装飾や先鋭的な構造を使ったりしておらず、機能面と経済合理性を優先した仕様となっている。このあたりの感覚がエスコンフィールドを巡る動きにもつながっているのかもしれない。
(※本論から逸れるが近年の公共施設におけるZEB化は、全面ガラス張り+ルーバー、巨大な吹き抜け+換気システムといった脱炭素にマイナスな要素を作りながらそれを別の手法で補ったり、大層な空調設備等のイニシャル・ランニングコスト無視のアクティブ技術に依存したり、本質からは外れたものが非常に多い。北広島市役所のように開口部を抑えて断熱性能を高めたり、無駄な吹き抜け等を排すことで階数を減らして材料の数量を落としたり、杭の長さを短くする方がよほど環境に優しいはずでイニシャル・ランニングコストともに低減できるはず)
今回、ちょうど時間・空きがあったのでスタジアムツアーにも参加した。ホーム側のベンチや監督室は撮影禁止なので写真はないが、チーム入口や監督室にはBIG BOSSお気に入りのアロマの香りがしてステキw
そして、偶然にもオフシーズンだったこともあるが選手の練習している姿も1塁ベンチから見ることができ、なかなかに豪華。
よなよなエールが提供する「そらとしば」では、その場で醸造するクラフトビールを飲みながら野球観戦が可能。もちろん、今回のように野球をやっていない日でも営業しており、芝を眺めながらゆっくりと時間を過ごすことができる。
TOWER11にはホテル(全12室)も整備され宿泊も可能で、後述のサウナは日帰りでも利用可能になっている。
2024年12月現在、エスコン脇には183室の大型ホテルも開業に向けて準備が進んでいる。
球場の外部空間にはこども用の遊具・プレイグラウンド・宿泊棟・グランピング・ベーカリー等が整備されており、球場とまち、非日常と日常をつなぐバッファゾーンにもなっている。
球場内に設置された日帰りも可能な温浴施設は、北海道特有のモール温泉と水着ゾーンのサウナエリアで構成されている。このサウナについては2023年サウナシュランの特別賞を受賞しているが正直、エンタメ系だろうと思っていったら意外と超ガチ仕様でセルフロウリュ可能な2基のHALVIAの大型ストーブが鎮座している。
手前の立ちながら野球観戦をすることを想定したエリアは比較的穏やかだが、ストーブと向き合うガチゾーンは半端ない。水風呂も(温度計がないが)体感15℃ぐらいのわかっている仕様で、十分かつ多様なシチュエーションの外気浴ゾーンも備わっている。
これは近くに住んでたら通うレベルの本格的なサウナであった。
スタジアムシティ長崎との共通項
11月に訪れたスタジアムシティ長崎とエスコンフィールドは、その経緯・規模・対応するスポーツの種類・立地等が大きく異なっているが、プロジェクトとしては多くの共通項がある。
いずれも民間投資によるスタジアムであり、行政からの補助金・交付金等は一切入っておらず(プロスポーツの本拠地になっている前提はあるが)イニシャル・ランニングともに独立採算が大前提となっている。
試合が開催されていない日でもスタジアムの客席やコンコースは開放され、多くの人々がお弁当・ビール等を片手に芝生をのんびり眺めたり、コンコースで走ったりする「都市公園っぽい」姿を見せている。
醸造所を備えたブリュワリー、スポーツ関連だけではない商業施設、本格的なサウナを備えた温浴施設、宿泊施設、子育て支援施設などがスタジアム周辺に整備され、プロスポーツ開催時の非日常と日常をリンクさせ、同時にまちとも緩やかなバッファゾーンを持ちながらつながっている。
両者とも今後、この貴重な民間投資の価値をどう高めていけるのか、行政はフリーライドで反射的なリターンを得るだけにとどまらず、民間事業者のビジネス・ビジョンにあわせて対応していくことがポイントになってくるだろう。
エスコン移転の経緯
関連書籍・YouTube等
詳細な経緯は関係者の想いも含めて上記のアンビシャス(文藝春秋)で描かれているが、上記リンクのYouTubeでも(多少の脚色はあるかもしれないが)データも含めて解説されている。
札幌ドームは札幌市の公の施設であり、市の外郭団体である(株)札幌ドームが当初から非公募で指定管理者を担い続けている。当時のファイターズにはダルビッシュ有、大谷翔平などのスター選手が在籍し、球団にとっては選手が最大の資産・リソースなので最大のパフォーマンスを発揮してもらい、怪我の発生を抑制するために天然芝への更新・フェンスをクッション性の高いものへ改修などを提案してきた。しかし、年によっては20億円以上もの施設使用料を納めていながら市及び指定管理者に「公の施設(みんなの施設)なので一営利企業である日ハムの思いどおりにはできない」と改修を含む様々な改善提案・条件の改正等は全く受け入れてもらえなかった。
それだけでなく、飲食・物販・看板等の広告料についても軒並み指定管理者の収益として計上され、その大きな原動力となっていたはずの日ハムには全く還元されない理不尽な構造になっていた。
あまりにも埒があかないので日ハムは次の交渉の材料として「どうしても条件が変わらないなら札幌ドームから出ていく」ことを提示した。そんなことをできるわけないと市・外郭団体ともにたかを括っていたが、その噂を聞きつけた北広島市がきたひろしま総合運動公園をファイターズの本拠地として提供することを提案した。北広島市の人口は約58千人でしかなく、政令指定都市で県庁所在地の札幌市には全く人口規模・交通アクセス・ホテルの受入環境等について足元にも及ばない状況にあった。日ハムから見ても、ビジネスとして北広島市を選択することは選択肢としてありえなかったはずである。
札幌市内の候補地
実際に各種書籍やインターネット・YouTube等の情報を総合すると、日ハムとしても「札幌市から出ていく」のではなく、真駒内公園や札幌大学の構内等を具体的な移転先として検討していたようである。
しかし、候補地となっていた土地は北海道大学の構内の場合は国・北海道大学との調整、真駒内公園の場合は静かな環境を望む周辺住民との合意形成など、いずれも何らかの困難な調整が必要な状況であったことは間違いないが、札幌市として日ハムとともに走り、退路を絶った覚悟・決断・行動することはなかった。
北広島市のガチ度
札幌市と日ハムの交渉が平行線を辿り、札幌市も既得権益・住民や議会の合意等を理由として日ハムにとって魅力的な条件を提示できない状況が続くなかで、北広島市は千載一遇のチャンスをものにすべく考えられるあらゆる手段を講じた。
都市公園条例を改正してきたひろしま総合運動公園に限って建ぺい率を40%(更に立体駐車場で10%の上乗せ可能)にしたうえで、敷地の一部を商業利用できるように公園区域から外すこと、新駅の設置及び駅周辺の整備を北広島市が担うことなどを提案した。更に公園区域については使用料・貸付料を無料とすること、都市計画税・固定資産税を10年間減免すること、未造成エリアの粗造成を市が担うこと、約10haの未買収エリアを市が購入することなどの具体策を提示した。
球場そのものの建設費に対する補助はしていないものの、日ハムから見れば自社が所有する球場で完全な民間施設であることから自由に経営できること、これまで指定管理者に支払っていた球場使用料が全額自社の収益になることとなった。北広島市として考えられうる・実現しうるあらゆる方法論、日ハムにとって受け入れやすい条件を日ハムに提示したわけである。もちろん、ビジネスベースで条件が成立したことが大きいわけだが、何より北広島市の本気度・熱意が日ハムを動かしたことは間違い無いだろう。
相手を口説けるだけのリソース
このあたりの詳細な経緯は、前述のアンビシャス(文藝春秋)にも記されているのでご確認いただきたいが、北広島市は「北海道日本ハムファイターズに対して提供しうる全てのリソース」を出し惜しみすることなく全て出し尽くした。
PPP/PFIの大原則は対等・信頼の関係であり、上記のnoteでも記したように相手に何らかのリソースの提供を求めるのであれば、まずは自分がそれ以上のリソースを提示すること、そしてお互いのリソースを足し算・掛け算してクリエイティブなプロジェクトに持ち上げていくことが重要である。まさに北広島市と北海道日本ハムファイターズの関係はこれを高次のレベルで具現化したものであると言える。
一方で札幌ドームの今
2024年3月期の決算
一方で日ハムに逃げられてしまった札幌ドームはもがき苦しんでいる。2023年に主要コンテンツであった北海道日本ハムファイターズが本拠地を移転した結果、札幌ドームの純損失は、固定資産の一部を札幌市に寄付及び減損処理を行ったうえでも、ステイホームで無観客試合が続いたコロナ禍を圧倒的に下回る過去最悪の651百万円/2024年3月期となってしまった。
(株)札幌ドーム及び札幌市はファイターズ移転後も黒字化できるとの見通しを示したり、2023年には利用率を向上させるためドーム中央を暗幕で仕切る新モードも約10億円かけて整備したが、同年の利用実績が3件(ラグビーワールドカップの無料パブリックビューイング_1,800名、残り2件はeスポーツイベント・企業展示会との情報もあるが、web上では確実な情報が見つけられなかった)と大爆死とも言っていいほど悲惨な状況となっている。
「通常のドームを埋められないアーティストとして見られるという理由で敬遠された」「ドームは音響が良くなく、スタンドからの距離もあって見づらい。4~5万人集める全国ドームツアーの1カ所という付加価値があったから、これまで利用していたアーティストもいました。2万人以下の新モードを利用する必然性はない」「道内には北海きたえーるなど、1~2万規模の箱は他にも存在する」。
これらはなんとも象徴的な言葉であり、10億円を投じた新モードで自ら札幌ドーム価値を毀損してしまっている。このあたりも「こうあったらいいな、多分こうなるだろう」という楽観的観測・プレーヤー不在(・コンサル依存)・点としてしか見ておらず全体を見ようとしない「令和版失敗の本質」でしかない。
爆死状態に対する責任の希薄さ
しかし、そのような悲惨な経営状態でコロナ禍の2020年度と比較しても圧倒的に売上高が減少し、1株あたりの当期純利益も爆死状況となっていながら、第25期と比較して取締役の報酬は増加し、かつ(なぜか監査役も含めて)人員増強まで図っている。
「やろうと思ったことがうまく進まなかった」ことと「結果が伴わない」ことは、経営者としての責任が問われるべきことだろうが、残念ながら「見通しが甘かったに抵抗がある」と言っているようでは反省も責任を取ろうという気概も見えない。そして、こうした経営をしていることに対して最大の株主である札幌市、出資に対する監視を求められるはずの議会も表立った動きを見せないのは、やはり悪い意味でのWin-Win-Winの関係が構築されていると見られても仕方ない。
関係者のなかで誰か、本気になってこの問題に取り組もうとする人はいないのだろうか。手を拱いている間にも札幌ドームにはハコと(株)札幌ドームを維持するためだけに、多額の税金が流し込まれている。札幌市民が不憫でならない。
「だって日ハムに逃げられちゃったんだもん。。。」は言い訳にならない。
負の連鎖
札幌市・(株)札幌ドームは前述の新モードの爆死だけではなく、残された唯一のプロスポーツ、サッカーのコンサドーレ札幌も2024年シーズンでJ2に降格してしまったことで、観客動員・入場料収入が激減する恐れがあると報道されている。
北海道日本ハムファイターズも2025年シーズンは(エスコンフィールド移転後も札幌ドームで一部開催してきた)オープン戦も行わず、全てエスコンフィールドで対応することを発表し、「札幌ドームとお別れ」と報道されている。
札幌市・(株)札幌ドームは札幌市に本拠地を置くプロバスケットボールクラブのレバンガとも連携を模索し、2023年12月にはコンサドーレ札幌とともに連携協定を締結するに至ったが、先日の報道によると25年ぶりの球場でのバスケットボール公式戦はエスコンフィールドで行われるようだ。
実際にスタジアムツアーでもバックヤードでは着々とバスケットに向けた準備が進んでいることが確認できた。
これだけなく、北海道日本ハムファイターズの移転と並行して、札幌市は多様な要因があるとはいえ必死になって誘致を進めてきた2030年の冬季オリンピック・パラリンピックの招致活動からも手を下ろすこととなった。
残念ながら人生でも同じだが、負のスパイラルに陥ると次から次へとその輪は大きくなり、連鎖していく。
民間からの提案
日ハムのエスコン移転を契機としたネガティブな現実が次々と表面化するなかで、札幌市は2022年に策定した「札幌ドーム周辺地域におけるスポーツ交流拠点基本構想」を策定し、2024年1月にはサウンディング型市場調査を実施した。
この基本構想・サウンディングにおいてはアリーナ・屋内スポーツ施設・にぎわい施設の整備及び札幌ドームの利活用を前提として実施されているようである。
残念ながらこの期に及んでもビジョン・コンテンツや「誰が何をやるのか」といった経営サイドの論点ではなく、「ハコモノを整備」することで活性化・一発逆転を図ろうとする。NGワードの「にぎわい」を使ってしまっているあたり、なかなか根が深い。
このサウンディング調査には10者が参加したが、例えばアリーナ部分だけ見ても民間事業者からは「BTO方式のPFI、DB」など巨額な行政負担を前提とした意見が出されている。行政がハコモノ整備を前提にしてしまっており、そうした対話を求めるから、民間事業者も「どうやったら整備できるか」の意見に終始してしまう。
ザ・公共施設マネジメントやザ・PPP/PFI、民需なき官製都市、喰われる自治体に陥る構造がこうしたところにも潜んでいる。
このサウンディングに続き(当該2者かどうかは不明だが)札幌市に対して社会システムデザイン(株)、前田建設工業(株)の連名で「PFI法に基づく6条提案」と(株)まちのミライ、HOKの連名で「その他の提案」の2件が提出された。
いずれの提案も札幌市の大きな財政負担を前提にしたものであるが、大赤字で現状の延長線上では活路を見出しにくい事態に陥っている札幌ドーム及び周辺エリアに対して札幌市がどのような対応をしていくのか、非常に興味深いところである。(ちなみにPFI法に基づく民間提案に対しては、行政に法律上の応答義務が生じ、一般的にはホームページで方針を公表することとなっている。)
もし札幌市に、民間提案で寄せられているようなプロジェクトを実施できる財政的体力があるのなら、もっと別の選択肢もありえたように思えてならない。
自治体としての生き方
特殊事例ではなく「あるある」
本編で取り扱っている札幌ドームは特異事例に見えるかもしれないが、筆者の経験上、多くの自治体で似たような構図が存在する「あるある」事例にすぎない。
多くの元上司が天下っていて、行政が出資している三セクであること、多額の指定管理委託料や補助金で赤字を誤魔化し続けた過去等からなかなか意見を言いにくい・切り込むと特大ブーメランが返ってくるパンドラの箱のような存在。
誰かがそこにメスを入れないと事態は加速度的に悪化していくし、新モードのように表面上を取り繕っていくことで更なる悪循環に陥っていく。
そして取り繕うためにも多額の税金を投下してしまうことから言い訳すらできなくなり、実際に事業を行うわけでもないコンサルに委託して黒字化可能といった絵空事で更に自分の首を絞めていく。
誰も「自分が」なんとかしようと覚悟・決断・行動をしない。
何が起きたのか
北広島市はエスコンフィールドがオープンした2023年3月の地下上昇率で住宅地・商業地ともに上位を独占し、日本初の本格的ボールパークであることやビッグボス効果もあって一躍全国区のプロジェクトとなっていった。
1年ぶりにエスコンフィールドや北広島駅周辺を訪れた際にも、冒頭にレポしたようにあちこちで新築住宅やマンションが建設されており、平日の試合がない日にも関わらずエスコンフィールドにも見学・スタジアムツアー・修学旅行・サウナ等で多くの人が訪れていた。
何よりも北広島市としてエスコンフィールドから発せられる様々な熱をこれからまちに還元していくことで、その効果は更に大きくなっていくだろう。
アンビシャスには北広島市の担当者の「移転が失敗したら公務員を辞めようと思っていた」とのエピソードも記されているが、まさにエスコン移転は担当者にとって自分の公務員人生をかけたプロジェクトだったのだろう。
札幌市及び(株)札幌ドームがPPP/PFIや指定管理者制度の本質を理解せず、既得権益優先・前例踏襲の対応をとってしまったことにより主要コンテンツたるファイターズとの溝が生じた。本来であればファイターズを誘致するときから「どのような場を目指していくのか」を共有すべきであったし、本気でファイターズやまちと向き合い、これまでの様々な幻影・亡霊等と真剣に対峙できていればエスコンフィールドのような世界がいち早く展開されていた可能性もある。
冬季オリンピックも「札幌市だったら流れを変えられるかもしれない」という期待を背景に世論を動かし、全く異なった世界線が存在したかもしれない。
「たられば」の話をしても意味はないが、自らポジティブな選択肢を閉ざしてしまったことは勿体無いとしかいえない。
「道はどちらか」しかない
北広島市と札幌市の非情なまでのコントラストは、北海道日本ハムファイターズという日本に12しかないプロ野球チームの本拠地を巡る極端で特殊な事例に感じるかもしれないが、その本質を見ていけば「そのまちがどこを向いて生きているのか」であることがわかる。
道の駅、体育館、博物館、文化センター等で天下りを中心とした指定管理者が管理委託の延長線上で何の経営努力も行わず自主事業も一本もしていない。高額の指定管理委託料を払いながらその実態は役員報酬に消えてしまい、サービス向上を一切図ろうとしていない・満足度も圧倒的に低いのに見ないフリをし続けている施設は目の前にないだろうか。
それに対して「あなた」は居酒屋でグチっているだけでなく、プロとして何らかの具体的な覚悟・行動・決断をしているだろうか。
三セクや指定管理者の制度が悪なのではない。運用の仕方が悪いだけである。
三セクも指定管理者制度も使い方によっては非常に柔軟で自由度の高い仕組みであることは間違いない。セコい発想や後ろめたい背景を制度で誤魔化して「正しく」運用していないだけだ。
自分たちの保身や外郭団体への過剰な配慮のために、まちの未来を捨ててはいけないし、そんなことのために貴重な税金を溶かしてはいけない。
エスコンフィールドのスタジアムツアーでは、当時ファイターズが最大の経営資源である選手のパフォーマンスと故障リスクの低減のため、自己負担でも改修したいと主張していた天然芝・クッション性の高い外野フェンスも「エスコンならではのコンテンツ」として実現し、これらを紹介している。
このような細部にわたるところまで北広島市と札幌市の姿勢や覚悟・決断・行動から滲み出るコントラストの違いはあまりにも際立っている。
皮肉なことに、エスコンフィールドと札幌ドームは広い北海道において約16km、車でわずか30分の距離でしかない。
このような覚悟・決断・行動は全ての自治体が問われていることである。
不具合やこのままではいけないと(本能的には)わかっていながらハレーションを恐れて、昨日と同じ今日を取り繕い続ける「行政運営」をしていくのか、非常に多くの困難や突破しなければいけない多様な課題を認識しながらもプロとして一つずつ試行錯誤していく「自治体経営」をしていくのか、道はどちらかしかない。
まさに「二極化する自治体」、明日はどっちだ?
(おまけ)
アンビシャスといえば。。。
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