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読書感想文「父滅の刃」

本書は「父性」に着目した本です

正直、樺沢紫苑先生の本で「私が読みたいと思わない」タイトルナンバー1でした。
なぜかというと、自分の父娘関係にいまだに「しっくりこない」ことが未消化なままあることや、夫の「父親」としての振る舞いなど、と照らし合わせて、読むと絶対に気分が悪くなる、と思っていたからです。しかし、今回、ギリギリになってKindleが版が出てしまったことと、樺沢先生の「インセプション」の記事がどうしても読みたい!と思い、応募するためポチりました。
本の感想、と言うよりも、本書を読んで自身を振り返ってみたことを書いていきます。

自分の父娘関係を振り返る
私は兄が2人の3人兄妹の末子です。生まれた時は祖父母、父方の叔母2人、母方の叔母1人が同居していて10人の世帯でした。人数が多かったので入浴の順番の関係もあり、全員が一緒に夕食、ということは少なかったです。父は無口な方で、
幼い頃、あまり遊んでもらった記憶がないのですが、子供が言う事を聞かないと、冬でも外にに出される、まさに「規範をしめす」存在でした。私は三番目なので兄達が怒られる姿を見て、自分はそうならないように容量よく、父とぶつからないで過ごしていたように思います。中学生のとき「お父さん嫌い」となったのは、正常な発達だったのでしょう。
高校生になり、進路のことなどを考える年頃、ここで母が急死します。その時は、兄達はもう別に暮らしていて、祖父母、父、私の生活が始まりましたが、今までろくに話をしたことがなかったので戸惑いました。でも、もともと話していないから、会話がないからギクシャクすると言う感じもなく、私はスルスルと進学し、就職し、結婚しました。本書を読んで、私に「父親殺し」はあったのか、と考え回想してみたのですが、よく分かりませんでした。

夫の「父親としての存在
私は看護師で、結婚しても、出産しても仕事は続けるというのははじめから決めていたことでした。夫も協力的でおむつ替えも、保育園の送り迎えも、お散歩も、離乳食作りもなんでもやりました。ただ、ある時「やらせすぎた」と反省する事件が起こりました。食事を食べない娘(1歳前)にヒステリックに怒ったのです。この時は本当にまずいと感じました。「お母さんが2人いる」みたいになってきたと感じたからです。本書の中で父親として関わることで父性が生まれる、とありますが、母親と同じような関わりをあまり求めてしまうと、それも父性を喪失する原因になるのではないかな、と私は感じています。私は先に書いたように大家族で育ったので、親がかまってくれなければ兄が、兄がダメなら叔母達が、と、かまってくれる人がたくさんいました。なので父は「父」としての存在だけでよかったのかもしれません。今は夫婦2人に子供ひとりかふたりの世帯が多く、父、母は一人で何役もこなさなければなりません。単に女性が強いとか男性が弱いとかではなく、現代は請け負う役柄が多すぎて、母性、父性の切り替えがうまくいかないと言うのもあるのではないかと感じました。

「アナ雪」の解説にみる樺沢紫苑の父性
以前、樺沢先生が「アナ雪」に出てくる男性をあんなにヘタれに描く必要があるのか、と批判的な論調で話しているのを聞いた時、「仕方ないじゃん。今時の男性はヘタれなんだから!」と感じ、所詮、樺沢先生もは女性が強くなるのが鬱陶しいと思ってるんだわと思っていました。
しかし、そう言う事を言っていたのではない、というのが本書を読んで分かりました。
世界的な影響力を持つディズニーがやって良いのか、いくら時代に受けるからと言って、こういう描き方は「道徳的に問題」ではないか?という事ですね?この部分はとても樺沢先生の「父性」を感じた節でした。

本書全体を通して感じた事
樺沢先生と世代が近いこともあり、本書に取り上げられた映画の多くは、特別映画ファンというわけでない私も知っている映画でした。映画の隅々までを見て、作品を大切に大切に取り上げているのがとても伝わってきました。樺沢先生の語りは読んでいて優しいな、といつも感じます。
この度は正直、感想文の締め切りに間に合わせようとしてかなりスピードを上げて読んでしまいました。なので、この後、時間をかけて文章を味わいながら再読したいと思います。
読んでよかったです。ありがとうございました。



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