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「みんな、こういう場所がほしくて活動してたんだなって感じています」okatteメンバー 大沼 史佳さん【INTERVIEW #03】

2015年4月にオープンしたokatteにしおぎは、もうすぐ10周年。まち暮らし不動産が10年を勝手に振り返る企画として、関わってくださった方へのインタビューを連載しています。第3回は、大沼史佳(おおぬま・ふみよし)さん。

<大沼さん>
2015年4月 okatteにしおぎオープン
2017年6月 okatteメンバーになる(現在も継続中)

聞き手・文:川越恵子(N9.5)
※イニシャルで登場する人の注釈はokatteメンバー向けです


okatteメンバーになったきっかけ

― どんなきっかけでメンバーになったのでしょう。

仕事で都市のハード整備みたいなことをしているので、空き家の活用とかリノベーションを使った“まちづくり”みたいなものを調べていたら、たまたま近所にそういう場所があることを知ったのがきっかけです。
あと個人的には食べることが好きなので、シェアキッチンにすごく興味があって。自転車で5分もかからないくらいの距離だったので、近くならとりあえず行ってみよう、と説明会に参加しました。

― 初めはどんな印象でしたか。

普段生活している中で自分が会う人って限られるので、違う職種とかバックグラウンドを持った人が、この場所でワイワイガヤガヤいろんなことをやっていて、すごく面白い場所だなと思いました。

― 説明会に行かれてすぐメンバーに?

はい。すぐ(笑)。どんな人がいるか、どういう場所か、わかりませんでしたが、すごく素敵なところだったので、近所にこういうところがあって、それを使えるってなんかいいなと思いました。

okatteの中でも外でも

― 当初はどんなふうに利用されていたのでしょう。

月に1、2回ぐらい、たまにふらっと立ち寄ったり、男子メンバーとの集まりで魚をさばいたり、包丁を砥いだり、うどん作ったりと結構色々やりました。あとは、他のメンバーさんの上映会イベントや味噌づくりイベントなど、興味があるときに参加させてもらったり、オープンデーのお手伝いをしたりしていました。

― okatteとのかかわりの中で、印象深いことというと何が浮かびますか?

そうですね。稲作部でお米作りをしたり、今年もやっていましたが、流しそうめんをしたり、お正月に餅つきしたり、そういうことを覚えてますね。
稲作部はメンバーのNさん(※稲作部を提案したメンバー。okatteにある大きな蒸し器はNさん実家からの寄贈です。)のご実家の余っている田んぼをお借りして、田植えや収穫をして、okatteで食べるお米にしたり、販売もしました。

「okatte稲作部」でコンバインを運転する大沼さん。板についてる?

以前、原っぱ公園で行われた「西荻ラバーズフェス」(※1)というイベントでは、okatteでおにぎりと豚汁のお店を出したんですが、たしか、おにぎりのお米の一部は稲作部で収穫したお米だったと思います。

(※1)西荻ラバーズフェス:地元有志が実行委員となって、2017年2018年に桃井原っぱ公園で開催されたお祭り。音楽やダンスなどのステージ、ワークショップなどの催し物、飲食や物販のお店が並んだ。もはや伝説。

「おかって米」のおにぎり。具材いろいろ!
行列ができるokatteの販売テント

― めちゃめちゃ楽しそうです。okatteの外に飛び出した活動も多いのですね。

そうかもしれないです。最近だと、5月にokatteの男子メンバー(※2)同士で飲むみたいなのをしました。Kさん(※毎年、流しそうめんの台を設計してるメンバー。)、Sさん(※うどんを打つノシ棒をリュックにさしてokatteに登場することの多かった元メンバー)、Iさん(※草木染めの職人!最近本も出したよ!なメンバー)。それと、いま(インタビュー時)僕は育休中ということもあって、8月にYさん(※実は人見知りのメンバー)が移住された松本に行って家族ぐるみで遊んだり。Kさん(※以前はokatteに住んでいたメンバー)の住んでいる富士見(長野県)にも行きました。

(※2)okatteメンバーが使うグループウエアには、「男/女」の表示がないので、誰が男性で誰が女性かは、本人が他のメンバーに明示する以外にはわからない。つまり、ほとんどの状況で「自称」の性別となっている。ちなみに、年齢や職業もおたがいイマイチわかっていない。

okatteを中心に、仲良くなったり趣味があったりする人と「今度はこういうので集まろうよ」という話になって、グループウェアで誘ったり日程を決めたりしています。okatteを使う場合は予約するって感じですね。

今、じわじわ感じていること

 お引越しをされたり、環境が変わったメンバーの方との交流も楽しそうです。ご自身の環境が変わられたこともありますし、以前とokatteの使い方は変化していますか。

そうですね。最近は正直okatteにはあんまり行けてないんです。メンバーになった当時は独り身だったので、わりと気軽に行けたんですが、結婚して子供もいるとなかなか行けなくて。okatteにはお子さんやちっちゃい子を連れてきている方がいっぱいいらっしゃって、自分が親になってみると、okatteに連れてきたくなるっていうのが、すごくよくわかるようになりました。そういう場所があるのはすごくいいなって思います。振り返ってみると、みなさん、こういう場所がほしくて活動してたんだなっていうのを、今、じわじわ感じています。
やっぱりokatteが好きですし、行って誰かがいる、みたいなのもすごくいいなと思います。今やりたいのが、子供を連れて板の間で遊ばせつつ、自分が好きなことをするみたいなことですね。頻繁に行けなくても都合が合えばオープンデーにおじゃますることもあるし。うん。何かあれば行きたい場所だなと思います。

― みなさん、状況や環境などで、okatteをよく使う時期とゆったりの時期があるようです。

自分や家族の状況で使い方やかかわり方は変わりますよね。自分を考えてもそう思います。もうすぐ10年ということで、そのときどきで使ってる人も、かかわり方や使われ方が変わるところが、すごく面白いと思います。例えばオープンデーで、メンバーそれぞれが何かしら自分のスキルとか、僕もそういうものを持ち寄ってイベントができていくのがいいなと思います。最近入ったメンバーとは会ったことない人も多いですし、、、まずは気軽に集まって、一緒にご飯食べたりお酒を飲んで、みたいなことができたらいいなと思います。

みんなの共有地をつくる

 大沼さんと言えば「カエルの人」のというお話をうかがったのですが。(笑)

あはは。カエルの人!(笑)「善福寺川を里川にカエル会」っていう善福寺川を親しみある川に再生することを目指している会があって、会の愛称が「善福寺蛙」なんです。元々、川の勉強や仕事をしていたこともあって、ボランティアのひとつとして関わっていました。地元の小学校と、川を使った環境教育を一緒にやったり、最近だと、小さな自然再生と言って、川の中の石を少し並べ替えたりすることで水の流れを変えて、生き物の住む環境を改善する活動をしています。そのほかにも、池袋で「道路と公園を使ってまちなかを居心地よくする」ということを目指したマーケットイベントで運営スタッフをしたり。いろいろな活動をやっていました。

 okatteのメンバーになる前から、自宅と仕事以外の場所の活動をされていたんですね。

仕事半分、趣味半分ですね。なんだろう、みんなの共有地を作るじゃないけど、この場所をもっと使っていこうとか、どんな空間が居心地がいいか、どうやったら居心地よくなるか、どうやったら使えるのかみたいな活動ですね。

okatteは建物の中、川や公園は外ですが、どうすれば居心地いい空間になるのかを考えるのは、okatteと似ているなと思います。あと“探り探り”っていうのも一緒だなと思うんですよ。使い方ややり方はみんなそれぞれなので、共用するときに、どうやって使えばいいのかな、これだったら大丈夫かなと、やりながら何かを体得してくみたいなプロセスが似ているなと思います。

―okatteの中で、これはこうやって調整していったなと覚えていることはありますか。

なんでしょうね。やはり、キッチンを使っている方が多くて、みなさん使い方に違いがあるので、みんなはどんなふうに使ってるかなと様子を見ながら(笑)、自分だったらこれができるかなみたいな感じで使っていったと思います。

【大沼さんのベスポジ】

― みなさんにokatteのベストポジションっていうのをうかがっておりまして。

そうですね。キッチンと土間でしょうか。全体がなんとなく見えて、いろんな人がいろんなことしていることが感じられる場所がいいなと思います。

― それぞれに動いているのを見るのが好きなのですね。

そうかもしれないですね。

土間のダイニングとキッチン、板の間や畳のスペースもあり。それぞれの居住まいで、いろんな人が、いろんなことをしていられる。



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