『質問力 話し上手はここがちがう』齋藤孝
「リーダーシップをとるにはどうしたらいいか」というテーマの社外研修に参加した。
私はまだ対象の中堅社員じゃないのだけど、会社でも演劇でも、自分に足りない力だと思ったから受けることに決めた。
案の定、他の参加者は自分よりも目線の高い、役職のある方々ばかりで始めは肩身が狭いような気がしたが、結果的に参加してよかったと思える研修だった。
普段は出会う機会もないような、他の業界で働く人たちの仕事の話を聞くのは面白かった。
特に興味を惹かれたのは、公園を管理するお仕事をしている人たち。
公園が好き過ぎて、休みの日もいろんな公園に散歩に出かけ、それぞれの特色を見るのが好きだと話していた。ある種の職業病と言っていたけど、公園のことを話しているだけで楽しそうだった。
私も公園が好きで、できるなら緑の公園の近くに住みたいと思っていたけど実現していない。
公園を管理してくれている人がいるのだろうことは漠然と知っていたような気はするけれど、会社員をしている自分と同じようなかっちりとした職業として思いを馳せたことはなかった。
研修を受けてよかったと思った要因は他にもある。ちょうど自分が読んでいた"質問力"を磨くための本と研修の内容がリンクしていた。
最近、人から聞いた話をもとに脚本を書いてみたい、という思いがざわざわと存在していた。そしてたぶん人の話を聞くには質問力が必要だろうと考え、手に取った本だった。
極端な成功例では、初対面の人から3分で面白い話を聞き出すこともできるらしい。
本の中で挙げられていた良質な質問の例では、ダニエル・キイスと宇多田ヒカルの対話が印象に残った。小説と音楽という他のジャンルであっても、書くこと、生まれた町などの共通点がある二人。その二人が、互いへの質問を通して、新しい作品のアイデアを得る。
質問の技術を職場のような毎日会う人に対する場合と、インタビューの場で活用する場合は、視点が違ってくるのだろう。
職場で活用する場合は特に、相手に普段から関心を持っていないと、うまく質問ができない、ことや、まず自分からはたらきかけることの大切さについて学んだ研修だった。