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あの頃の友に会いたい(2) マカピーの日々 #1090
マカピーです。
旧友スズキの話が続きます。
スズキと出会ったのは、学内であった派米実習選考試験でした。
そもそも一年間米国に行って農業実習するってちょっと変わった連中が集まっていました。
大学を卒業してから参加する人も数人いましたが、マカピー達のように3年生で応募して研修後、もう一年してから卒業する方が多かったですね。
本来は移住して農業をする「拓殖学科」学生向けのプログラムだったようですが、「時代が変わって拓殖の学生が応募せずに他の学科からの学生が多くなってしまった」と、学科長が嘆いていました。
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一緒に行った仲間では、タケムラとヤマダが拓殖学科で他はマカピーが農学科、ホシノが農業工学科、イデが農業化学科、スズキが農業社会学、それから畜産学科、造園学科それに短期農業科とかなり全学科にばらけて参加していました。
さすがに「栄養学科」の学生は農業実習から遠い存在だったから参加者がいなかったなあ(笑)
さて、学内試験は「体力勝負」が基本でその数年前までは、試験管前での「俵(たわら)担ぎ上げ」があったそうですが、マカピー達の頃は60㎏バーベルを持ち上げるだけでした。
英語能力試験はあったようですが、記憶がありません(笑)
3月に台湾の飛行機で成田を出発しサンフランシスコまで飛んで、オリエンテーション。別の学校と日本農友会という団体に所属する会社からの社員数人加わって人種が増えました。
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その後は、全米各地の受け入れ農家や会社に配属され、一年後にカナダのアルバータ州カルガリーに集合し最後の研修をしてサンフランシスコまで戻ってくるプログラムでした。
基本的に一年間同じ場所で実習作業にあたるのですが、以外的に夏はアイオワ州内の、冬に中部州の研修生が集まるInternational Farmers Association(国際農友会)の研修合宿では、世界各国からの実習生が加わり講習会や国対抗サッカー大会があったりしました。
冬の集まりでは、久しぶりに同じ学校の仲間にあうのですが中西部地区は畜産関係ばかりで、西部地区のカリフォルニア州やアリゾナ州の野菜農家配属の連中とは別でした。
昔の投稿でも書きましたが、我々は配属先へはバス・チケットを貰い目的地まで自力で行くのでした。
もっとも同じ方向の中西部州の連中は、同じ日のサンフランシスコからシカゴに向かう同じグレイハウンド・バスで車中泊をしながらそれぞれのバス・ステーションで降りて行くのです。
タケムラはミネソタ州でスズキはウィスコンシン州だったので、そこから更に別のバスに乗り継いで行ったはずです。
マカピーの場合はアイオワ州の州都デモインで乗り継ぎでした。
そしてホストファミリーとはオトモア郡のバス・ステーションに迎えに来てもらいました。
冬のウィスコンシン州マディソンでの大学施設を使っての研修では、研修抗議以外にも、久々に会うスズキたちの体験を聞くだけでなく街に出て「大学そのものが街を形成」している様子に驚きました。
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長いようで短かった一年の実習が終わると、カルガリー集合まで2週間ほどの自由な時間があったのでした。
マカピーはシカゴでホシノと合流し、ニューオリンズそしてディズニーランドのあるフロリダ州、ワシントンDC, ニューヨークを回ってカルガリーに行く計画を実行したのでした。
最終目的地も研修の一環でカルガリーのNantonという小さな町でホームステイがありました。
そこでマッシュルーム栽培をしている「タイガー後藤」さん(故人)が実習生を町で受け入れてくれるのでした。
実習生は総勢で30人ほどいたと思いますが、数人ずつ別れて地元のお宅に泊めてもらいました。
また歓迎パーティーがコミュニティセンターで開催され、実習生側も何か披露する事になったのでマカピー達は伝統?の「大根踊り」をやるのですが、「タイガー」も加わって学校の先輩だと分かりました。
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お酒も入り賑やかになると、どこからか「スズキ、おまえ何かやれ!」と声がかかりました。
スズキがニコニコしながら、マイクの前に立ち自己紹介します。
そして、やおらポケットから小さなハーモニカを出して奏で始めたのは日本の歌唱「あかとんぼ」でした。
これはダメでしょう!
ナントンの人たちと、酒を酌み交わしていた実習生の動きが止まり会場がシーンとする中、つたないスズキのハーモニカの音が響き渡るのです。
「夕焼け小焼けの赤とんぼ 追われてみたのは何時の日か」最初はマカピー達人実習生がハーモニカに合わせて唱和するのですが、やがて歌声が途切れ途切れになり、それが嗚咽に変わっていました。
マカピーも涙が止まりませんでした。
1年間の実習中にホームシックになった事はありませんでしたが、あと1週間で帰国するんだというこの段になってスズキのハーモニカでノックアウトされたんです。
近くにいたホシノもタケムラもしきりに涙を拭いています。
普段はアホな話もするけれど、スズキってこんなパーフォーマンスができる奴だったんですね。
派米実習に行って来た連中とは、卒業年次の一年間の間に一緒に過ごすことが多かったのは、そうした経験の共有があったからだと思います。
いわゆる「同じ釜の飯を食った仲間」でしょうかね。
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それからスズキはその風体とは似合わず、とても美しいペン字を書き卒業論文の清書はマカピーがほれぼれするほど見事でした。
そうです、当時はパソコンもワープロもない時代で、すべて手書きだったんです。
スズキとは農村社会学研究室に泊まり込んで卒論の仕上げをして、明け方になると校舎の屋上に上がると新宿の高層ビル群に朝日が当たって光っていたのを思い出します。
スズキはその卒論で「学科長賞」を貰ったそうですが後でその事を知り、喜びました。
えーと、マカピーは寝過ごしてしまい自分の卒業式に行ってないので後で証書を貰ったのでした。ヤレヤレ
新潟で米作りに戻ったスズキを訪ねたのは、それから数年経った頃でマカピーはマレーシアでの協力隊を経験を終え、「農家への見合いに失敗し」た後で半年ほど東南アジアを旅した後でした。
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「海外での仕事と結婚」についてどうしたものか、スズキに相談したかったからでした。
当時乗っていたオートバイ(Yamaha XS650)に乗って、スズキの家に向かったのは秋の収穫時期でした。
家に着くと近くの田んぼでスズキはコンバインに乗って一人で稲の収穫をしていました。
手を振るとスズキはマカピーを認めて手を振り返し、マカピーは彼の作業が終わるのを、ゆっくりとあぜ道で待ったのです。
次第にマカピーのざわついていた心が落ち着いてきて「いいところだなあ」ってボーっとしていました。
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その後、スズキは地元の同級生数人を呼んでの酒盛りをしてくれ、翌日も忙しい中なのに車で周辺を案内してくれました。
やがてマカピーは帰る頃になりバイクにまたがるのでした。
マカピー:「じゃあ帰るね。突然来ちゃったけど、いろいろありがとう」
スズキ:「そうだ、オレになんか相談したいことがあるって言ってたっけ?」
マカピー:「いや、ここにいたら消えて無くなった!」
スズキ:「・・・そうか。じゃあまたな!」
マカピーはあの後結婚してフィリピンを皮切りに色々な国で暮らすことになります。
そしてスズキも米国から新潟に来た女性と結婚してカリフォルニアに行き高校の先生をしているって聞いたのです。
へー、あのスズキが学校の先生にねー!
もしかしたら、農業をやるのよりも似合ってるのかも!
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あれから随分時間が流れました。
なあスズキよ、たまには日本に帰って来るのかい?
いつか会って、思い出を肴に一緒に一杯飲もうかね。
マカピーもあの頃より飲めるようになったんだぜ!
マカピーでした。
最後までお読みいただき感謝します。スズキの思い出はいつも楽しい
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