鉄砲のタマを噛む? ”Bite the Bullet!”
英語の表現ってものすごくドラマチックなものが多い。本日の言葉、”Bite the Bullet” もそんなオーバーリアクションでドラマチックな表現の一つだ。
第一次世界大戦中の戦場を想像してほしい。ケガをした兵士が治療を受けている。痛み止めのモルヒネは底をついた。困った医者は兵士が持っていた鉄砲の弾を布巾にくるんでそれを銜えさせた。状況を想像しただけで彼らの痛みと悲痛な叫びが聞こえてくるようだ。
我慢している状況を表現する言葉として "Bite the Bullet" が使われ始めた。アメリカ人は我慢が大の苦手だ。日本人だったら「そんなことでピーピー言うかな...」という些細なことでも "I'm going to bite the bullet" を連発する。
私が渡米してからこの言葉に巡り合うのにそう時間はかからなかった。今でも私の中でトラウマになっている "Bite the Bullet" の例がある。
アメリカの大学に入った私は1年生だけが集まる寮に住んでいた。キッチンも無い部屋だけの寮だったので夜な夜なピザの宅配を友達とする。その夜もニューヨーク・メッツの試合を見ながら3人でピザをオーダーすることとなった。
アメリカのピザはとても大きい。直径40cm程の大きさがスタンダードサイズ。食器なしでもすぐに食べられるよう8枚にスライスされて届けられる。寮生活の大学生にはとても便利だ。
だが問題はこの8枚という数...
四人で折半すると一人2枚づつで問題は起きない。でも3人で折半しようとすると二人は3枚食えるが一人は2枚だけになってしまう。これは貧乏な大学生にとって非常に大きな問題なのだ。
あの時も「待ってました!」と届けられたピザ。溶けたチーズと焼けたクラストの香ばしい匂いがたまらない。私は大きなスライスを二つ折りにしてチーズが冷めないように片手で食べるのが大スキだ。
しかし...今回もピザの枚数は8枚...僕たちは三人。
しばしの沈黙の後、一番体のデカいアメリカ人が口を開いた。
"Hey Mac, you’re small so you bite the bullet "
うん、なん、だと? ”Bite the bullet”って何よ? 「体が小さいお前が2枚で我慢しろ...」と言われたのだ。ショックが大きすぎて瞬時に何も返せなかった。
彼らは一瞬を「商談成立」とみなし3枚づつ自分の前に寄せて勢いよく食べ始めたのだ。反撃の糸口が思いつかなくて3・3・2の不公平な分け前を黙って受け入れた結果となってしまった。
不覚だった。
これが今でもたまに思い出す私の悔しい大学時代の思い出。後になって考えるとピザの代金も3・3・2で分ければ公平に収められたはずだった。あの頃は何故かそんなロジカルな発想も思いつかなかったから悔しい。
皆さんも英語を話す時は「どう」思いを伝えるのかに重点を置くことが大切。日本語と違い英語の会話は曖昧な表現が少ないので注意が必要だ。
気を付けないと ”Bite the Bullet" させられる可能性があるので注意したい。言いたい事をしっかり言ってあなたのピザの分け前を確保しましょうね。
by マック・タナカ
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