#3 万歳千唱
「そうさヤツらの敵は 君のハチ切れそうな その笑顔と声さ それで木っ端みじんだ」
これはRADWIMPSの『万歳千唱』の一部分の歌詞である。
今の自分の笑顔が、本当の笑顔なのかどうかを教えてくれる、そんな曲になっている。
もし仮に、自分を嫌う人や邪魔する人が周りにいて、最大限に人生を楽しむことが出来なかったら、それはマイナスでしかなく、その敵にとってプラスでしかないということを教えてくれた。
私の高校は2年生と3年生のクラスが変わらず、二年間という月日を経て、それなりに仲良くなることができる。もちろん私にも仲の良いといえる友達が何人かいた。その中でも特に一番仲の良い友達がいた。その子をS君としよう。そのS君とは実家が近かったことから学校終わりだけでなく、休日も一緒に遊ぶ仲で、同じバイトを受けたり、卒業旅行に行ったり、親友と言えるほどであった。
しかし、その仲が突然切れてしまったのである。不思議で仕方なかった。大学に入ってからのことである。学部は異なったこともその一因なのかもしれない。時折、キャンパスですれ違ったとき、いつも通り絡みに行くのだが、素っ気なくあしらわれたのである。以前同じクラスだった友達からも「お前らなんで最近仲悪いの?」って聞かれることが多々あった。その時、私は決まって「いや俺も知らねえよ」って答えるだけだった。何か自分に非があって、謝って仲が回復するなら楽だった。しかしそんな心当たりもなく、人間関係の難しさを痛感したのである。
それなりに私は凹んだし、自己肯定感もズタボロだった。第一志望だった経営学部に入れなかった自分と、入れたS君という事実だけで負けているように感じて、大学に入ってできた友達と笑っているときも、自分といて本当に楽しいのか不安でしかなかった。
また、曲のサビの歌詞には、
「君の中のカナシミを喜ばせて 君の中のクルシミを勝ち誇らせて なぁどうすんだよ おいどうすんだよ その影に隠れ震える 笑顔を手に取れるのは 君だけだろう」
ちなみにこの曲は、たまたまYouTubeで映画『君の名は』の主題歌『前前前世』を久しぶりに聴いていたときに、その関連動画欄にあったのである。18祭という18歳の様々な想いをもとにアーティストが新曲を作り、1000人の18歳と一緒にパフォーマンスで共演する番組動画があり、そこでRADWIMPSが歌ったこの曲に感動したのである。
上述したサビの歌詞は、そんな友人関係で悩んでいる当時の私に突き刺さった。野田洋次郎のワードチョイスは天才だと思った。”なあどうすんだよ”って、このまま引きずったままでいいのかよって、叱られた気分になった。
さらに最初に書いた歌詞こそ、その後の私の行動の軸になっていったのである。S君よりも人生楽しんでやるって。そして、こう考えるようにしている。
【一人の敵に何もおびえることは無いでしょ、世界にはもっと沢山の人がいるのだから】
だから、そんな自分の中にあるカナシミやクルシミを笑顔に変えて、万歳三唱、いや万歳千唱してやろうと思った。そして、これからの人生、打ち上げ花火みたいに周りを感動させるくらいの笑顔で過ごしてやろうと思った。
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