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2024/09/05日記_流麻溝十五号

まず朝イチで店内工事をしてくれている大工さんと打ち合わせに向かった。プロは仕事が早く予定よりも早く終わるかもしれない。任せてはいるものの人にやってもらう以上思い通りにはならないし、そうであればそれを抑えるためにもなるべく足を運ぶのが安心する。家で細々したことをしてから午後は映画を観に行った。知名度のない作品だし、上映回数も少ない。

『流麻溝十五号』(原題:流麻溝十五號、英題:Untold Herstory)は白色テロ時代に政治思想犯を捕まえて教育し直すため離島での話だった。日本が敗戦して台湾から撤退した後に大陸から国民党がやってきた。その指導者たちが元から台湾の文化を自分たちのものにそっくり入れ替えようとした。それに異をとなえたものは捕まって島流しにされてしまった。島では過酷な労働が課されて「更生」させられる。こういった白色テロ時代の映画はいくつか観たし、島での出来事はグラフィックノベル『台湾の少年』の第2巻にも描かれていた。実写で描いたものは初めて観た。

実際の緑島の状況がどんなであったかは知ることができない。映画でも酷いと思ったけれどもっと酷かったのかもしれないし、収容されている人は生活の自由をどのくらい奪われていたのかもわからない、劇中のように会話ができていたのか、食べれていたのかわからない。女性の看守が囚人に同情する場面があったけど実際にそんなこともあったのだろうか。

残酷な世界だけれど、その世界を作ったのが人間であるけれど、指導層の人々でさえそうしたくてそうしているわけではない、そんな人間らしさも描かれていたように思う。監督は信念をもって生き延びようとする収容者だけでなく、蒋介石を除くすべての人に希望を残した描き方をしている気もした。

台湾に興味をもっている人も殆どがグルメで歴史まで関心がある人は少ない。中国と台湾の関係性について知らない人もいる。かといって自分がすごく詳しいわけでもないけれど、こういった作品は観てほしい。今回、思想犯にされた者に外省人(大陸から移ってきた人)がかなり含まれていたことを知った。余談だけど、女性の歴史のことをherstoryということも知った。

パンフレットも購入できた。映画が始まる前に買おうとしたら完売で、終わった後にちょうど入荷していて買うことができた。中国語がわからなかったり、歴史の知識が足りなかったりで、描かれたもののメッセージを受け取れていなかった。解説が読めて改めて良い作品だと思った。

『僕と幽霊が家族になった件』の2回目を観終えた。あらためて観ても面白かったし、結構忘れているものだと思った。許光漢の演技はやっぱりよかった。全体的にコメディやアクションが多いけど肝心なところで魅せてくれる。

ネットで『「台湾菜」の文化史』を購入した、楽しみだな。

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